こんばんは。グラフィックデザイナー、カラリストの藤田です。
今日は「藍」についてのお話。
藍が持つ二つの意味
藍色。
みなさんもご存じの、あの渋い青色。
藍染は薄い色から段々と染め上げて、濃い色へと仕上げていきます。
その移り変わりの段階で名前が虹のように変わる面白い色でもあります。
昔まとめたので、ご覧ください。
今日の藍の話は、その「藍色」とは少し離れたお話です。
藍には先ほど述べた蓼藍を使った藍色の他、
呉の国より伝わった「呉藍」という色が別にあります。
呉藍はどんな色?
さて、この「呉藍」。
いったいどんな色なのでしょうか。よければ考えてみてください。
チクタク、チクタク、チクタク。
正解は…
紅花を使った紅色(赤)です。
「呉藍(くれあい)」を、何度か口に出して読んでみましょう。
呉藍、くれあい、くれない、紅。そう、「呉藍」は「紅」なんです。
赤なのに藍?
なぜ、赤いのに「藍」が使われるのか。
それは「藍」という言葉の意味を紐解く必要があります。
日本において藍は、古くから親しまれている「染料」でした。
そのため藍は「青」を指す他に、「染料」という意味にもなっていたのです。
なので「呉から来た染料である紅花 = 呉藍」と呼ばれていたんですね。
二つの色、中間の色
ということで、「藍」は染料である「藍と紅花」そのものを、そしてそこから得られる「藍色と紅色」を指すことが分かりました。
こうして生まれた2つの色は、さらに新たな色を紡ぎます。
赤と青を混ぜた色といえば、そう紫ですね。
二藍は、「藍色&紅色」という意味の他にも、
「二つの藍を掛け合わせた色 = 紫」の意味も持ちます。
どれだけダブルミーニングなんでしょう。
割合によって、紫にも、青紫にも、赤紫にも変わるので、
本来は「全般的な紫」を指しますが、
日本の色名としては以下のような色合いを指します。
「藍」という漢字1つで、ここまで扱う色や意味が変わっていくとは…。
藍そのものの重要性も浮き彫りになりますし、
他の色では見られない言葉の広がりも見えて、大変勉強になるお話でした。藍って面白いですね。
参考文献
『日本の色辞典』吉岡幸雄 著 / 紫紅社
『失われた色を求めて』吉岡幸雄 著 / 岩波書店