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映画1000本観るプロジェクト#2 アニメ映画『アシュラ』

『アシュラ』のあらすじ

舞台は中世の日本。干ばつ、飢饉、戦争などの災厄もあり、世はまさに生き地獄と化していた。そんな中、一人の女性が赤ん坊を産み、飢えながらも育てていくが、自分の食べ物すらない状況で女性の飢餓感は限界に達し、ついにはその赤子を食べようと火の中に投げ込むのであった……、というお話。



個人的な感想

そんな「いきなり暗すぎるわいっ!」と思わずツッコミたくなるような展開から始まる。

火の中に赤ん坊を投げ込んだ女性は、ハッと我に返り赤ん坊を助ける。その後にどうなったのかが描かれていないのでわからないが、その赤ん坊がある程度大きくなっていたため「あの後、死なずに助けられたんだな、よかったよかった」とわかり少しホッとするのもつかの間、

「あっ、この子、超でかい斧持ってる……」

その斧を持って民家へ侵入し、人を襲って人を食べ始めるシーンに続き、「この映画ずっと暗いタイプのやつだわ……」と確信したのである。

その後に斧を持った子はお坊さんと出会い、お坊さんに襲いかかるも返り討ちにあう。お坊さんが「自分は敵ではない」とその子に粥を与え、その子に「アシュラ」という名前を与えて、また「南無阿弥陀仏」という言葉を教える。

そこで「お坊さんと旅をしてこの子が変わっていくお話なのかなぁ」と思いきや、次のシーンでは何の説明もなくすでにお坊さんは消えており、結局アシュラはまた別の人を襲い始めて、

「お坊さん、もうちょっと育ててから世に解き放ってやれよ……」

と思わざるを得なかった。

とにもかくにも、
ケダモノのような子がトラブル(という名の殺人)を起こしつつ、ケダモノから人になる
という筋書き。

ただその重要なケダモノから人になる、ところが端折られていて、実際ではケダモノから半ケダモノになったところだけを観るという、どこか腑に落ちない感はあった。ブッダの出家までを見る、みたいな感じで、

この端折った部分が(殺伐としてなくて)面白そう!

と素直に思ってしまった。

最後の説明不足感と、端折り方的に「もしかしたら原作があるのでは?」
と思い調べて見ると、やはり原作があった。いつか読むかもしれないが、グロそうなのであまり気は進まない。


総じて、暗い映画で物語も正直に言うとあまり面白くはなかったが、本当につまらない映画だと途中で飽きてしまうわけで、何か惹き込まれる映画でもあった。そういえばアクションシーンの作り込みはものすごかった。

あとはそもそも「人に育てられなかった赤ん坊が死なずに生き延びた時、一体人の子はどのように育つのだろう」という疑問が浮かび、そのことをずっと考えながら観ていたら、いつの間にか映画が終わっていた。

人には勧めないが、記憶に残る作品だった。


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