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就職氷河期世代の転職|リスキリングでキャリアを再構築する
バブル崩壊後に始まった就職氷河期。
その波をもろに被った現在の40代後半から50代前半の私たちは、社会に出る最初の一歩から厳しい現実に直面してきました。
限られた正社員の椅子を奪い合い、運良く採用されたとしても、昇給やボーナスは他の世代に比べて著しく低水準。
周囲が働き盛りの20~30代を経てキャリアを積み上げるころ、私たちは「正社員でいられるだけマシ」という空気の中で足踏みを余儀なくされました。
私自身はこの氷河期世代のど真ん中に属し、銀行員として長年働いてきました。
大企業とはいえ、リストラのささやきも絶えず、決して安穏とした環境ではありませんでした。
そんな私が45歳(2018年)という節目に銀行を飛び出し、東証プライム市場(当時・東証一部)上場企業の経営企画部門へ転職したのは、正直なところかなり勇気のいる決断でした。
しかし、その一歩が私の人生を大きく変え、結果的には大きな満足感とキャリアの再構築につながっています。
本記事では、就職氷河期世代が置かれた厳しい現状と、そこから抜け出すためのヒントを、私自身の経験も交えてお伝えします。
就職氷河期と私たちが直面した厳しい現実
1990年代後半から2000年代初頭にかけての就職氷河期は、まさに「人生の基盤形成」を阻む大きな壁でした。
実際、厚生労働省の統計データでも、当時の就職率は大幅に低迷し、新卒採用そのものが急激に縮小。
正社員のポストを得られず、非正規社員として働かざるを得なかった人も少なくありません。
正社員になれたとしても、バブル期に形成した「十分な初任給」「手厚いボーナス」といった恩恵とは無縁でした。
私が就職した頃は「いずれ景気は持ち直すだろう」という淡い期待がありましたが、実際にはデフレが長期化し、いつまでたっても給与は伸びない。
こうして氷河期世代の不遇は慢性化していきました。
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さらに、近年では世界的なインフレの波が日本にも波及し、若年層の賃上げが行われる一方で、40代後半~50代前半の賃金はわずか数千円の上昇、あるいは下落傾向が見られるという現象が起きています。
企業は若手確保に全力を注ぎ、経験豊富な中堅~シニア人材の処遇が後回しになっています。
私自身も、銀行員として40歳以降は目に見える昇給はほとんどなく、このまま歳だけ重ねてしまうのではないかという不安を常に抱えていました。
働き盛りを迎える40代での転機
私が転職を決意したのは45歳。
銀行でのキャリアを捨てるのは相当に大きなリスクでした。
周囲からは「この年齢で転職なんて考えられない」という声もありましたし、何よりも年功序列の文化がまだ根強い日本企業の中で、40代後半の転職は決して一般的ではありません。
その一方で、就職氷河期を経験した世代だからこそ抱いていた「もっと自分の可能性を試したい」「今のまま終わりたくない」という気持ちが強くありました。
実際に動き出してみると、当時はまだ「人材不足」がそこまで顕在化していなかったとはいえ、「マネジメント層の人材不足」の課題を抱える企業は多くありました。
バブル崩壊後の採用抑制が長引き、中堅管理職の空洞化に悩んでいる企業が増えていました。
私の場合、銀行での業務経験や金融知識、さらには複数のプロジェクトを率いたリーダーシップが評価され、東証プライム市場(当時は東証一部)の経営企画部門で幹部候補として採用されるに至りました。
自分自身も「銀行しか知らない」狭い視野から抜け出し、新しい業界で経営戦略を学ぶ日々に刺激を受けました。
リスキリングと50代の学び直し
転職後、さらなる高みを目指そうと考えた私は、50歳を迎える年にMBAを取得する決断をしました。
一般的に「学ぶのは若い時期に限る」という先入観がありますが、ビジネスの世界が目まぐるしく変化する今、学びの機会はむしろシニア層にも大きく開かれています。
私がMBA取得を目指した理由の一つは、「より俯瞰的に経営を理解し、経営企画部門での役割を最大限に果たしたい」という思いでした。
実際、大学院での研究では行動経済学やファイナンス、組織論など、実務と直結する知識を体系立てて学ぶことができました。
その過程で、同年代だけでなく、20代・30代の若い世代とチームを組んでプロジェクトに取り組む機会もあり、刺激的な学びを得ることができました。
リスキリングという言葉が近年注目を浴びていますが、50代であっても学び直しは十分可能です。
むしろ、社会人として長く働いた経験を土台にすることで、若い頃には得られなかった視点や洞察力を持って学びを深められると思います。
実際、私自身はMBAの学びを経て、経営企画における戦略立案や数字の分析だけでなく、組織を動かすためのリーダーシップや説得力のある提案手法など、多くのスキルを手に入れました。
管理職不足がもたらす転職チャンス
就職氷河期世代は、社会から「不遇の世代」として扱われてきた面があります。
しかし、今は少子高齢化が加速し、人材不足が深刻化するなかで、逆に「管理職候補の不足」が企業の大きな課題になっています。
新卒を大幅に絞り込んだことで、中堅~シニアの層が薄く、マネジメントを担える人が足りません。
その結果、私たちの世代でも、これまでの経験やリーダーシップをしっかりアピールすれば、転職で大幅な処遇アップを期待できる可能性があります。
私が転職した際も、銀行で培った交渉術や分析力、そして複数プロジェクトの経験を評価され、実質的な年収アップにつながりました。
決して楽な道のりではありませんでしたが、「どうせもう年齢が…」とあきらめていたら、このチャンスをつかめなかったと思っています。
不遇を越えて未来を切り開く具体策
社外の情報に常にアンテナを張る
転職サイトやビジネスSNS、異業種との交流会などを活用し、どんな企業がどんな人材を求めているのかを定期的にチェックしましょう。思わぬところから転職や新規プロジェクトの話が舞い込む可能性もあります。リスキリングの優先度を上げる
AIやデジタル化など、ビジネス環境は刻々と変化しています。オンライン講座や夜間・週末の専門スクールを活用すれば、働きながらでも新たな知識やスキルを習得できます。50代でも「学び直しの成果」を活かせる企業は数多く存在すると思います。マネジメント経験の棚卸し
氷河期世代の多くは、厳しい環境の中でもプロジェクトリーダーなどの役割を担った経験があると思います。その経験を言語化し、実績として整理しておけば、転職市場や社内での評価は上がるはずです。自分の市場価値を客観視する
現職の待遇に満足していないのであれば、遠慮なく社内外のオファーを比較検討するのも手です。自分で「たいしたことない」と思っていた経験が、別の企業では高く評価されるケースも少なくないと思います。
まとめ:決断は自分次第
50代を迎えた私たちは、若手のように時間が無限にあるわけではありません。
とはいえ、人生100年時代とも言われる昨今、働ける期間はまだ長く、大きな可能性が残されています。
私自身、45歳の転職と50歳でのMBA取得を経て、銀行員としての知識を基盤にしながら、新しい組織や人脈との出会いを通じて大きく視野を広げることができました。
おかげで収入面だけでなく、自分の仕事観や生き方そのものが豊かになったと実感しています。
就職氷河期をスタート地点とする不遇なキャリアを嘆き続けるのは簡単ですが、それでは何も変わりません。
今はむしろ、デジタル化と人材不足が重なり、市場が大きく動き出す時期でもあります。
管理職の経験や、専門知識を持っていれば、氷河期世代の存在も、これからの企業にとって欠かせない戦力になり得るのではないでしょうか。
ですから、「もう今さら…」と尻込みするのではなく、一歩踏み出してみる価値は十分にあります。
人生の転機は、いつ訪れるか分かりません。
しかし、そのチャンスをつかむか否かは、自分自身の行動とマインドセットにかかっていると思います。
不遇を嘆くだけではもったいない。
むしろ、私たち氷河期世代が歩んできた苦労や経験こそが、今後のキャリアアップや社会貢献に活きる大きな武器になるのではないでしょうか。
あなたもぜひ、自分の可能性を信じて、行動を起こしてみてください。
私の経験が、同世代の皆さんの背中を少しでも押すきっかけになれば幸いです。
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