MBAでの学び⑨「フレームワークを語るより、現場に立て」
フレームワークは経営戦略の土台として広く用いられていますが、その有効性には限界があります。
MBAで学ぶ理論が現実離れしている例を挙げ、フレームワークがどのようにビジネスシーンで役立つか、または失敗するかを考察します。
分析が意味をなさないケースから、フレームワークを超えた戦略的思考の必要性について探ります。
MBAにおけるフレームワークの限界
MBAで学ぶフレームワークは、経営の全てを理解したかのような錯覚を与えます。
たしかに、フレームワークは、複雑なビジネスの問題を理解しやすくするための重要なツールの一つです。
しかし、フレームワークが全ての答えを提供するわけではありません。
ビジネススクールで学ぶ理論と、それを実際のビジネスシーンで適用する際のギャップは、多くのMBA卒業生が直面する課題です。
現場での状況は、学んだケーススタディとは大きく異なる場合が多く、理論だけでは対応できないことは多々あります。
フレームワークはMBAでなぜ重視される?
ビジネススクールでは、複雑なビジネス環境を理解し、戦略的な意思決定を行う能力を学生に身につけさせるために、様々なフレームワークを使用します。
ただし、フレームワークは情報を整理し、論理的な思考を促進するツールに過ぎません。
実際、ビジネススクールでは、フレームワークによって戦略の答えを導き出すような講義はしません。
あくまでもケーススタディの中で、情報の整理をするために使用するだけです。
フレームワークとしては、例えばSWOT分析、5フォース分析、BCGマトリックスなどが有名です。
ただ、これらのモデルは市場の機会やリスクを明確にするだけで、何をすべきかの答えは出てきません。
また、フレームワークによって導き出した答えが、現実の市場環境や個別の事情に必ずしも合致しないケースはよくあります。
なぜなら、経済環境は常に変化しており、過去のデータや一般的なモデルだけでは捉えきれない新たなビジネスが常に生まれているからです。
フレームワークは答えを持っているわけではない
ビジネスの現場では、フレームワークに沿って計画立案するのは可能ですが、それが成功を保証するわけではありません。
市場の変動、消費者の行動の変化、技術の進歩など、予測不可能な要素が常に存在することを忘れてはいけません。
フレームワークはあくまで情報整理のツールであり、全ての状況に適用可能な万能薬ではないと知っておくのは非常に重要です。
理論から実践への落とし穴
MBAで学ぶフレームワークは、理想的な環境や限定された変数を前提にしています。
しかし、実際のビジネスでは、予測できない多くの要素が絡み合います。
この「理論と現実のギャップ」を埋めるためには、現場の経験が不可欠です。
ただ、残念なことにフレームワークを使いたがるのは、本部人員などの現場を知らない人たちが大半です。
そのため、本部の考えていることが現場で実践できないのは、組織の「あるある」ではないでしょうか。
革新を阻害するフレームワーク
またフレームワークは、時に革新的な思考やクリエイティブな解決策を阻害することがあります。
新しい問題に対して、古いフレームワークを無理に適用すれば、創造性を損なう結果を招くのではないでしょうか。
さらに、フレームワークに頼りすぎるのは、独自の判断力や問題解決能力を低下させる可能性があります。
ビジネスリーダーはフレームワークによって得られる洞察を活用しつつも、自らの直感や経験に基づく判断も大切にするべきだと考えます。
新たなビジネスへの適応
市場や技術が日々進化する中で、過去のフレームワークが現在の問題に適用できないケースもあります。
具体的には以下のようなケースが想定されます。
特に以下のような状況で見られます:
デジタル技術の進展
デジタル技術の急速な進化により、従来のビジネスモデルが時代遅れになっているケース。例えば、リアル店舗に基づく小売業のフレームワークは、eコマースの台頭により、顧客行動や在庫管理、顧客サービスのアプローチを再考する必要があります。消費者行動の変化
ソーシャルメディアやモバイルの普及は、消費者の購買行動や情報収集の方法を根本から変えています。従来のマーケティングのフレームワークでは、これらのプラットフォームでの双方向のやり取りや、データの流れを捉えきれないでしょう。サステナビリティと環境問題への高まる意識
環境への配慮が求められる現代において、過去のサプライチェーンのフレームワークは、環境への影響やリサイクルなど、新しい要求に対応するために見直しが必要でしょう。
従来のビジネスではカテゴライズしやすかったものが、現代ではその境界線が不鮮明になったため、フレームワークを使えなくなっています。
例えば3C分析では「競合先(competition)」を網羅する必要があります。
しかし、自身のビジネスの競合相手が同業では無いケースは今では当たり前です。
野菜や果物を買うのは、昔は八百屋でしたが、少し前ではスーパー、今ではドラッグストアやネットスーパー、フリマアプリでも売っています。
このようなビジネス環境の中で、わざわざ時間をかけて3C分析を丁寧にやる必要性はあるでしょうか。
おそらく、時間の無駄になってしまうのではないでしょうか。
フレームワークを超えるMBAの学び
これらの例からわかるように、ビジネス環境や技術の変化は、フレームワークの適用性を限定します。
フレームワークは、あくまでも情報の整理のツールであり、それ自体に意味はありません。
むしろ、フレームワークに縛られることで、現場の解決策を見失ってしまう可能性もあります。
過去の成功モデルに依存するのではなく、未来に即してフレームワークを適宜更新し、柔軟に適用するほうが優先度が高いと言えます。
フレームワークを必要に応じてカスタマイズすることが、現代のビジネスリーダーに求められる能力ではないでしょうか。
私は、フレームワークを超え、現場で直面する具体的な問題に対応できる能力を身につけることが、MBAの真の価値だと考えます。
理論にとらわれず、実際のビジネス環境で柔軟かつ創造的に対応できるよう、常に学び続ける姿勢こそ重要です。
まとめ
フレームワークは、単なる情報の整理をするためのツールです。
それに過度な期待を抱くのは止めた方が良いと考えます。
しかし、中にはフレームワークを多用する「現場を知らない偏差値だけ高い人」が組織には必ずいます。
なんとなく論理的な人物に思うかもしれませんが、おそらく現場では何の役にも立たないと思います。
私は「フレームワークを語るより、現場に立って実態を把握しろ」と言いたくなります。
そのようなビジネスリーダーにはなりたくないので、できる限り現実のビジネスを肌で感じながら仕事をしたいと思っています。
皆さんは、どう考えるでしょうか。
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