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「数学の授業づくり」 酒井 淳平

本書の整理

良い授業の6条件

1.授業のねらいが明確であり、生徒が目指すべき学びの方向を理解できる。
2.生徒にとって意味があり解決可能と感じられる課題が設定されている。
3.授業の進行や学習内容の展開が、生徒にとって予測可能である。
4.生徒一人ひとりの実態に応じた適切なサポートが提供されている。
5.生徒が意欲的に取り組める工夫がされている。
6.生徒が成長を実感し、教師の授業改善の材料になる学習評価が行われている。
良い授業を実践するためには、授業改善のPDCAサイクルを回していく

「できること」と「わかること」の違い

できること」:問題を解く知識や技能があること。
わかること」:解法がなぜ成り立つのかを理解し、深い学びへ導くこと。
授業作りでは、「できること」を担保しつつ、「わかること」への到達を目指していく。

数学の意義と良さ

・数学の意義
1.実用的な意義:数学は現代社会で不可欠なツールであり、日常生活や社会の中で重要な役割を果たしている。
2.陶冶的な意義:数学を学ぶことを通じて培われた力は、他の分野や人生の様々な場面で役立つ。
3.文化的な意義:数学は文化としての価値も高く、歴史を通じて多くの貢献をしてきた。
 数学は万国共通の言語であり、多くの理論や数式に触れることで、数学の夢や可能性を感じることができる。

数学の良さ
1.基本概念や原理の明確さ:数学の基本的な概念は多くの人々に共有され、教科書などで明文化されている。
2.数学的な表現や処理の良さ:定理や法則を用いることで、複雑な問題を簡単に処理することが可能になる。
3.数学的な見方・考え方の良さ:数学的な思考を通じて、問題を論理的に整理し、発展させる力が身につく。
4.社会における有用性:数学は日常生活や社会で頻繁に利用され、その有用性を実感することができる。
 これらの良さを生徒が実感するためには、授業での体験や問題意識を持たせる工夫が必要である。そのため、授業の振り返りを通じて、学びや発見を記録し、数学の意義を深めることが重要である。

新学習指導要領について

 数学は、問題解決や現状分析のための数理的思考を育む学問である。数学的活動を通じて、生徒が自ら課題を発見し、解決策を導き出すプロセスを重視している。この活動では、事象を数量や図形などの視点から捉え、その関係性を論理的に解釈する力(=数学的な見方考え方)を養う。

学習評価と主体的で深い学び

学習評価の3つの目的
1. 学習目標への到達度を説明する
2. 学習内容への取り組みの改善点を伝える
3. 自身の成長を振り返り、次の学習を調整できるようにする
 生徒が探究的に学べる課題設定を行い、対話を促進する仕組みを工夫することが大切である。また、単元ごとに明確な学習目標と評価基準を設定することで、評価の透明性と一貫性を確保する。

授業設計のための準備

 授業設計では、生徒の立場に立って「なぜこのように考えるのか」を重視し、日常生活での活用例を取り入れることが求められる。
効果的な授業設計のポイント
1. 教科書を読み解く力の育成
 「なぜこの解法なのか」と問いかけ、深い理解を促す。
2.バランスの取れた知識・技能
 「教えてもらう」ことへの依存を防ぎ、自ら考える力を養う。
3.考える力の育成
 既存の知識を組み合わせ、新しい発見につなげる授業を設計する。
4.数学の本質を伝える
 数学の自由さや創造性を伝え、生徒の探究心を育む。
5.生徒の可能性を信じる
 努力次第で能力を伸ばせる信念を教師が持つことが重要である。
6. 新学習指導要領に基づいた授業づくり
 数学的な見方・考え方、課題解決力を高める授業を目指す。

まとめ

数学の授業を振り返る際の2つの問い
数学的活動が生徒にとって意味のあるものになっているか。
生徒の成長を促し自身の授業改善につながる評価方法となっているか。
これらを検討し、より良い数学の授業をつくりあげていきたい。

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