「学校の生成AI実践ガイド」 特定非営利活動法人みんなのコード
本書の整理
AIの仕組みと活用のポイント
AI(人工知能)は、機械学習技術を活用し、多くのデータから最適解を導き出すシステムである。効果的な活用には、以下の3つのステップが重要である。
ステップ1:適切な問いを立てる
生成AIに伝える目的や必要な情報を明確に設定する。
ステップ2:欲しい情報を引き出す
自分が求める情報かどうかを確認し、必要に応じて質問を調整する。
ステップ3:情報を適切に扱う
生成AIから得られた情報をそのまま受け取るのではなく、補助的な役割として活用し、自分で吟味し判断する。
生成AI活用時に注意すべきポイント
1. ハルシネーション(幻覚現象)への対応
誤った情報が出力される可能性がある。信頼性を確認するためファクトチェックは必須である。
2. 得意分野と苦手分野を理解する
生成AIはテキスト要約や画像・動画生成、プログラミングといった分野で力を発揮するが、ローカルな情報や最新情報の取り扱いには弱い。
3. 著作権に関するリスク
出典元が不明確な場合が多く、著作権侵害のリスクがある。商業利用や公的利用には、慎重な対応が求められる。
4. バイアスへの配慮
生成AIの出力は、学習データに基づくため、偏見や先入観が影響することがある。
教育現場における生成AI活用の方向性
生成AIの導入は、以下のステップが推奨されている。
1.段階的な導入と生成AIの理解
限定的な活用から始め、生成AIの仕組みを理解した上で本格的な活用へと進めていく。
2.学びの本質的な目的に沿った活用
子どもたちに学びの目的を伝えた上で、生成AIを「思考の壁打ち相手」として利用し、思考力や想像力を向上させる。
3.質問方法と判断力の育成
質問方法の工夫(役割設定、タスク分解)やファクトチェックの指導を通じて、最終的な判断は人間が行う意識を醸成する。
生成AIを活用する教育では、以下の力を伸ばすことが求められる。
・分析的思考力
・好奇心
・自己肯定感
・協働的活動力
・創造的思考力と実行力
生成AIを活用する力が伸びることで、子どもたちが自律した学習者と成長していくことが期待される。
教師は伴走者として子どもたちの学びを支え、生成AIの効果的な活用について保護者の協力を得ながら模索していく必要がある。
まとめ
生成AIを効果的に活用するためには、言語能力や問題発見能力が重要な基盤となる。そのため、これらの資質・能力をどのように育成していくか考えていく必要がある。また、生成AIの活用には、情報活用能力や問題解決能力を高めることも欠かせない。学習の基盤となるこれらの資質・能力を再整理し、実践を積み重ねていきたい。