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夏休み明け時期の子どもの心の健康

本日9月10日から16日は厚生労働省が定めた「自殺予防週間」です。
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001139342.pdf

自殺防止に向けた広報ポスター

令和4年では子どもの自殺者数が過去最多を記録し、令和5年も1人少ない513人と同水準の深刻な状況が続いています。

なかでも、学校では2学期に当たる9月の夏休み明けの時期は子どもたちがメンタルヘルス上の不調を抱えやすい時期だといわれています。

平成27年版自殺対策白書では、18歳以下の自殺者数が9月1日に最も多くなったことを報告し、夏休み明けの児童への支援が早急の課題として認識されました。

https://www.mext.go.jp/content/20200824-mext_jidou01-000009294_011.pdf

なぜ9月かというと、長期休み明けに当たる9月は子どものプレッシャーが大きくかかる時期だからとされています。学校生活という特殊な環境に再び身を置くことになるという環境の変化は無視できないほどの大きなストレスになります。

また近年の報告では、9月以外の月についても高い推移を示しています。令和5年度10月に関しては、小、中学生で最多になり児童生徒全体での月別自殺者数が9月を超えました。

自殺に至るまでの背景には、学業不振や入試・進路、学友関係などを含めた学校問題やうつ病やその他の精神疾患や身体の病気などの悩みによる健康問題、保護者の不和などの家庭問題、その他が挙げられており、複数の要因が重なることでより危険度を増します。

https://www.mext.go.jp/content/20240227-mxt_jidou02-000034230-01.pdf

不登校の児童生徒についても、令和5年の文部科学省の不登校児童生徒数の推移についての報告では小学校、中学校ともに増加傾向にあります。

特にコロナ禍においては、環境変化・ 学校生活の様々な制限が交友関係等に 影響し、登校意欲が湧きにくくなったと分析しています。https://www.mext.go.jp/content/20231004-mxt_jidou01-100002753_1.pdf

こうした不登校の児童生徒の増加を踏まえ、文部科学省では「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」(COCOLOプラン)として、学びの多様化学校(不登校特例校)や学校支援センター(適応指導教室)の設置や強化など、子どもたちの学習の機会を失わないための対応を行っています。
https://www.mext.go.jp/content/20230418-mxt_jidou02-000028870-aa.pdf

その他、学校に通えなくてもICT(コンピュータやインターネット、遠隔教育システムなど)を活用し、自宅にいながら学習活動を行ったり、フリースクール等の民間施設での活動を出席扱いにするなどの児童生徒の社会的自立に向けたより柔軟な対応も行っています。https://www.mext.go.jp/content/1422155_001.pdf

長期休み明けの子どもたちのリスクも踏まえ、すべての子どもたちを無理をさせてまで「学校」という枠組みにはめ込むのではなく、子どもたち1人ひとりにマッチする学習環境での活動が尊重されるようにシフトしたことは大きな変化だといえます。

今後はさらに、精神面、健康面においても子どもたち1人ひとりに対して、「誰一人も取り残さない」支援が求められています。


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