桜と珈琲とシナモンロール
おはようございます。
今日は桜が満開の朝。
お花見日和が今日以外最適な日などあるだろうか?と本気で疑い、わざわざ眠い目をこすらせながら、外へ出た。
今日の食日記
春があまり好きではない。
これは桜がどうのとか、やっとあったかくなってきたから嬉しいとかそいじゃないとか。そんなことは置いておいて、とにかく気持ちがふわふわする春(厳密には3月と4月を指す)が僕の精神をむしばみ過ぎて本当にきつい。
毎年こんなにも桜を楽しみにしているのに、心穏やかに桜を見る(そう、お花見!)ことができただろうか。
願えど願えどなにかしら始まるこの季節、清らかな桜のような穏やかな気持ちで空をゆっくりと見上げてみたいものである。
が、しかし、今年はそれが叶うようだ(最初から僕の心が大人になるかならないか。そこが肝心なことくらいわかっているのだ)。
分かったことは、”満開の桜はそうさせてくれる”。
今日は朝から1人お花見に出かけると決めていた。
楽しみが突き抜け、早起きしてしまったではないか。
出発前、はやる気持ちを抑えるべく丁寧にカップ二杯分の珈琲をドリップし水筒に流し込んだ。
冷凍庫に大量にストックしてあるパンから選ばれた今日のお供は、”シナモンロール”。フィンランド留学を経て、時計の刻みを遅くさせるのはあの味なのだ(故郷の味わい。たっぷりのシュガーとシナモンが優しい北欧の産物)
駐車場に車を止めると、そこは満開だった。
桜になってしまったのではと錯覚するほどに、桃色の世界が一面に広がっている。
水彩画で描くのなら一色だ。
こんなに満開だと、桜の粒さえもどこかに行ってしまう。
花びらが幾重にも重なり、直射日光をも包み込む。
吹き抜けの公園を縁取る桜並木。
屋台をが立ち並び、まさしく春のお祭り。
長い冬がやっと開けたのだ。そう思うと力が湧いてくる。これこそ春なのだ。
その実感と共に、僕は顔を上げ歩き出す。
どこまでも続く桜並木を今年はちゃんと噛み締める。パシャリパシャリと眼のシャッターを何度も押す。
なんだか地に足ついているじゃないか。
社会人2年目、きっと自分を少しは認められるようになったのだと思う(少なくとも去年よりは)。
迷いはある。でも、そんなことより今を楽しみたい。
「桜くらい祝おうよ」
そう思った。
僕は芝生に遠慮なく腰を下ろした。
桜並木は相変わらず大きな傘をさしてくれている。
ホカホカの珈琲を啜り、シナモンロールを食べた。
まさしくフィンランドで過ごしたシナモンロールと共にあった時間だった。
シナモンシュガーにはカルダモンの爽やかさが必須だ。
バターの香りは川の流れのように北欧のスパイスを口いっぱいに運んでくれる。
珈琲を啜れば、近所のカフェでおばあちゃんと会話したあのシナモンロールが浮かんだ。
今日はゆったりしてる。
何よりも、その落ち着きの中、この時間を享受する自分を認められた自分がいる。
毎年毎年、桜の満開の日、こうやってシナモンロールと珈琲を選ぼうか。
美味しいひと時に、ごちそうさまでした。
では、また次回。
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