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’連携’というビッグワードな概念を紐解く

在宅医療介護の現場では、さまざまな職種が関わり、チームを形成し、連携して仕事をしていきます。先日も2件終末期の患者さんをお看取りしてきましたが、看取り直前の数日はどちらも多くのやりとりを訪問看護さんと重ね、時間をかけた印象があります。

こういった事例を経験すると「連携は大事」という想いを新たにします。しかしながら一方で、そうではない連携不全な事例があるのも事実です。もちろん、そこまで複雑な状況ではなく患者さんや家族も比較的穏やかな事例で連携する密度が高くなくてもワークしていくという場合もあります。しかし、密に連携したいのにすれ違う、そんなに密な連携ができていない・・・という現実もしばしば目の当たりにします。

では、連携自体はどんな要素が集まればうまくいくのでしょうか?

そんな問いを立て、最近の経験からその要素を言語化し、つむぎ出してみたいと思います。

連携がうまくいく6つの要素


私の経験から連携がうまくいく要素を6つ挙げてみました。

・連携がうまくいくときは、関係性が先にできている
・連携がうまくいくときは、相手方の事情や思考の癖、性格なども把握できている
・連携がうまくいくときは、相手もこちらの事情や思考の癖、性格などを一定理解している
・連携がうまくいくときは、相手も連携に慣れている
・連携がうまくいくときは、時間外でもコミュニケーションを測っている
・連携がうまくいくときは、問題点の目線・目指す目標がチーム内で合っている

それでは、1つ1つ見ていきましょう。

連携がうまくいくときは、関係性が先にできている

こちらは、成功循環モデルという提言にもありますが、結果を求める前にはまず関係性からという考えです。

実際、毎回数値や結果だけを求めてきてフォローもない、冷徹な上司を相手にすると誰しも嫌に思いますよね。それと同じで、連携をする相手先ともよそよそしい状態で始めると結果が悪くなるという話です。

そんな観点から思い返してみると、うまくいく連携先は関係性ができていることに気づきます。淡白な連携でもスムーズに流れる場合もたまにありますが、その場合は相手かこちらが大部分の仕事の複雑な部分を掌握しているためだったりします。

連携がうまくいくときは、相手方の事情や思考の癖、性格なども把握できている

これは経験値からなのですが、例えば看護師さんの場合、せっかちな看護師さんなのか、フランクな看護師さんなのか、慎重な看護師さんなのか、などなど連携する先の相手のスタンスのイメージできている状態で話をしていると、連携がうまくいく印象があります。

連携がうまくいくときは、相手もこちらの事情や思考の癖、性格などを一定理解している

そして、相手も私の性格を理解してくれている、という状況も大事なのだと思います。私もそう思うと話しやすくなり、議論や情報共有が進みます。心理的安全性を感じるという要素もあるでしょう。自然と話し方も、話の持って行き方も滑らかになるので、スムーズな方針の擦り合わせができ、結果、良い連携ができているという状態になります。

連携がうまくいくときは、相手も連携に慣れている

これは、相手の臨床能力やコーディネート能力、配慮に助けられる場面で感じます。このタイミングで電話をくれるとはわかっている!とか、絶妙な言い方で聞いてきてくれる、というのが一番連携する医師にとってありがたいのですが、そこに行き着くまでにお相手が様々な経験をされてきたから、というのが背景にあるからこそだと思います。

連携がうまくいくときは、時間外でもコミュニケーションを測っている

この要素は必須ではないのですが、振り返ると一定時間外にコミュニケーションをとっているところがあります。もちろん就業時間内に話がまとまるのが一番なのですが、看取りなどに熱心な訪問看護と組むことが多い我々の状況では、忙しくて引き合いの多い訪問看護さんが帰ってきてから今後の方針について相談する電話ができる、という状況にもなりやすいため、必然と時間外に電話コミュニケーションやzoomカンファを行う場面が出てきます(私が忙しいときは逆にお待たせして夕方から相談開始になることもあります)。そんな大変な状況も共有し、分かち合うことができてこそ、連携が深まるのだなと思うのですが、時間内にできるのがパーフェクトなのは事実です。でも、お互い大変でしたね、よくがんばりましたね、という感覚が連携を強くしていくのだとも思います。

連携がうまくいくときは、問題点の目線・目指す目標がチーム内で合っている

これも大事な要素で、どこに目標を置くかは患者さんの病気、家族の介護力、ご家庭の価値観で異なってくることから、その問題点に関する目線や目標がチーム内で合っていてこその連携になっていきます。ある職種は、これは入院させるべきだ!の一点張りで、ある職種は自宅で家族がみたいと言うからもう少し見て行く方が・・・と真っ向からぶつかったりすると連携も何もなくなったりします。


連携がうまくいくためには、原理原則があるかもしれない

書き出していて思ったのですが、これは在宅医療介護の現場における他の職種との連携というだけでなく、社内での連携、チームワークに大事な要素かもと思いました。そして原理原則的なものがあるようにも感じました。

在宅の業界はどうもビッグワードに溢れている印象です。連携は非常に大きなテーマですので、引き続き私なりに言語化していきたいと思います。

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