自分の内なるイノベーションを起こすのはそんなに難しいことじゃない [シュンペーターによる新結合]
企業が変化をもとめて色々なことにチャレンジし続けていることもあり、イノベーションにかんする研究というのは世の中にたくさんある。
かつてイノベーションの祖と言われたシュンペーターはイノベーションとは「すでにあるものの新しい組みあわせ」であるという定義をしてその後のイノベーションの研究を加速させた偉大な人だ。
全く新しいものをゼロから発見したり生み出すということは大発明レベルであって、世の中の大半のものはすでに人類が知っているものだとしたらこの考え方はかなり当てはまる。
ぼくの勤める日本企業ではどちらかというとなにかの技術に磨きをかける方の仕事が大半で、新たな組み合わせを発想するような活動はほとんどないに等しい。新事業の話をしていても今あ技術がベースにあってそれを生かして事業領域を広げるというような発想がせいぜいだ。
イノベーションとは本来、そういった研究開発のみならず、いろいろな新しい組み合わせを作っていくというマーケティング要素が強いはずだが、BtoBのメーカーにつとめていると営業が重視されマーケティングが軽視されがちであることも手伝って、なかなか新しい組み合わせを考え出すような活動に重きが置かれていない。
iPhoneがそれまでバラバラにすでに存在していた技術の組み合わせだったことを考えると、こういった活動がいかに重要であるかということを知っておく必要がある。
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このすでにあるものの組み合わせという考えは言葉を言い換えれば「それまでその存在がなかったところに別の業界では当たり前だったものを導入する」ということに他ならない。
A産業では別に普通のことだったものがB産業にいけばおどろかれ特別なことのように扱われる。ニーズや価値というのは同じフィールドにいればそれ相応の価値しかないが、別のところにいけば全く違う輝きを生む可能性があるということだ。
もちろんその逆もあって、自分の産業ではとても重要なものとして考えられていることが他の産業に行った途端、なんの価値もないものになってしまうことも多い。
こうかんがえると新しい組み合わせというのはドンドン発想してドンドントライしていく必要があるのにも関わらずそういったトリアルアンドエラーの繰り返しというのをなかなかしないとなると、やはりイノベーションは生まれにくい状態に陥ってしまう。
うちの会社は「イノベーションがおきない」とか「特別な強みがない」とか「イノベーション人材がいない」といったことを嘆く前に新しい世界を知ろうとする動きをどれだけやっているか考えてみた方がよっぽど建設的だったりする。
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このように書いてみて思ったことだが、イノベーションというのはな人も会社単位でやることばかりでもなく、「自分の中でも起こせるイノベーション」というものがあるような気がしてきた。
たとえば個人と組織の組み合わせ。
今まで自分が知っているもの、もっているスキルや経験は今の会社では評価されていないとしても、別の業界にいけば強みになる可能性も秘めているのではないだろうか。いまは職場で活躍の場が少ないとしても、他の会社にいけば自分のような人材を必要としてくれるのではないだろうかと考えれば自分の可能性が広がる。
他にも自分の中のイノベーションとして新たな知の探索をすることだってできる。自分が付き合っている人を変える、いつもの通勤ルートを変えてみる、いつもとらない行動をとって知らない店でご飯を食べたりルーティンと違うことをしてみる。
そんな小さな変化だってやってみると「すでに存在している自分」と「すでに存在している今までしらかなかった場所」の組み合わせがイノベーションを生む可能性もあるということだといえる。
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自分の中でちょっとした違いを作っていくことで領域を広げる、いわば自分の既知の領域を広げることは自分の幅を広げることにつながるといえる。また、自分を違う環境にあえてシフトしてみると今までは無価値とされていた仕事やスキルが重宝がられる可能性もある。
そう考えると会社でやる気が出なかったり、まわりにうんざりするときには「自分の内なるイノベーション」に注目してみると良いかもしれない。
人や組織というのは権限や現状を維持しようとする従来からの体制が抵抗勢力になることもあって、自分の力ではどうすることもできないことばあかりだ。ぼくらはそんなことにストレスをかんじ、自分の貴重な感情を荒立たせて心にダメージをくらいながら仕事している。
そんなことにあまりにも毒されるようであれば、スポットを会社ではなく意識的に自分に当ててみようと思う。自分の内がわにあるイノベーション。それを魅力的なものにするちょっとした変化を起こしてみる。大きな変化はストレスになり負荷になってしまうのでちょっとした道順を変えたり部屋を片付けたりするような私生活の変化でいいからとりいれてみる。
そして余裕があれば自分を新しい場所に置いてみることも想像したり、検討をしてみて、自分の居場所はここではないのかもしれないと考えてみる。
そんなちょっとした前向きになれる考えをイノベーションと読んでもいいのではないかと感じた朝の通勤タイム。
今日も揺られて会社に体を運ぶ。
今日は一駅手前から歩いてみよう。
Keiky.