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価値(バリュー)を分解して真のバリューを提供できるようになる

ぼくはどちらかというと物欲は旺盛な方だ。一方で断捨離も積極的に行うので必要なものは奮発して買うけど無駄なものは一切買わないと決めてメリハリをつけながらも大きな出費をバンバンしてしまうタチだ。

昨年は新しい一眼レフ、ゴープロ、新しい家のPC、子供の電子ピアノ、スーツ、リュック等、まあいろいろなものを買った。散財というと博打をしてスったようは気持ちになってしまうのでそうは思いたくないが、投資と言えば投資で、必要な自己投資を積極的に行った結果お金はなくなったけど、「いいことをした」と自分を説得している。

昨年はそんな感じの出費をたくさんした気がする。贅沢なことはできない普通のサラリーマンの給料なのでしばらく節制しなければならないと引き締まる思いではある。

そんな物欲がいろいろと湧いてくるときにぼくはいつも「そのものを買う価値はあるのか」ということを狂ったように深堀りして考えるクセがある。

長く使える良いものを安く買いたいという気持ちがかなり強いらしく徹底してリサーチしてなぜそれを買うのかということをずっと考える。

「とりあえずその時間が無駄なので買ってから考える」という人からしたら信じられないほど頭の中がそのことでいっぱいになってしまう。そんなに悩むくせに買ったあとに対して使わずお蔵入りしてしまうものもあるから消費というのは不思議な行為だ。

この「価値があるか?」というときの価値はもちろん自分にとっての価値であり、自分がビジネスをしている仕事の場面でいえば「製品やサービスを提供する相手に対する価値だ」。価値があるかどうかは消費者側が考えることではあるが、企業では「付加価値」が顧客のためであることを忘れ、自社の製品には価値があると思い込んでしまうほど、「価値」という言葉には何か魔力を感じる。

今日はこの価値について、少し考えてみることにした。

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■価値には利用価値と交換価値がある

「価値がある」といったときに、だいたい2つの意味が含まれている。一つは利用する価値と、もう一つは交換するときの価値である。

例えばカードダスのようなカードゲームにも種類があって、カードを使って相手と対戦する(利用する)ときの価値があるが、一方でレアなカードはショップで売ればプレミアムがついて高い値段で交換してくれることもある。

マンションも住んでいるうちは利用価値があるかどうかということが一番大切になるが、すまなくなったら売って現金と交換するための価値の方がウェイトがあがる。

株式投資は例としてはどうだろう。株を持っている間は配当を得られるという意味では利用しているという意味に近く、株を売って株価の差益をキャピタルゲインとして得る場合は交換価値といえなくもない。

このようにすべてのものには利用価値と交換価値というものが2つあるということを抑えたうえで、基本的には製品を提供する企業は「利用価値>交換価値」となるようなことを念頭にビジネスをしているといってもいい。ただ、これは有形なものである場合でサブスクリプション的なサービスについては交換できないので利用価値のみといことになる。

高価なアクセサリーは資産性が高いので交換価値は高いといえるが、最初から交換価値のためのアクセサリーを買うような消費者は少ないといえる。やはり利用して満足感を得たり自己満足度を高めたり相手への愛を示すといった利用価値が交換価値を上回るのが普通だ。

またものによっても変わる。基本的に交換価値まで考えて買うものと、買った瞬間に交換価値がなくなるに等しいものもあって、例えば家電や服などは交換価値まで考えて買うことはあまりない(iphoneなど高額だったりビンテージジーンズなど交換価値があるものも中にはあるけど一般的な話として)

■利用価値には中核価値、実態価値、付随価値がある

基本的な価値は利用価値>交換価値というものがあるとして、さらにこの利用価値は3つの概念で分けることができる。

利用価値=中核価値、実態価値、付随価値

中核価値というのは大前提としてハサミなら紙を切れることという必要不可欠な価値のこと。実態価値というのは例えば品質が高いとかブランドがいいとか信頼がおけるとかそういった実体的な価値を示す。

この「中核価値+実態価値」というのが商品のもっともコアな価値といえる。これに付随するもう一つの価値である「付随価値」というのは例えばサービスだったり、品質保証だったり、基本性能とは関係ないが付随するその製品の良さというものといえる(オマケなども含まれる)。

そういう意味ではこの利用価値を構成している3つの要素は「中核価値>実態価値>付随価値」ということがいえる。

■過度に意識すると危険な「知覚価値」

実は価値には「利用価値(中核価値・実態価値・付随価値)」と「交換価値」意外にもう一つ「知覚価値」というものがある。

交換価値というものは一部の物質的な製品にしかないものだが、知覚価値というのは利用価値と同じくいろいろなサービスについても言えることができる価値として経済学では考えられている。

この「知覚価値」というものは製品やサービスを提供する側としてちょっとした要注意が必要な価値とされている。あまり製品やサービスを提供する側が知覚価値を上げすぎると危険なので注意した方が良いと一般的に言われているのだ。

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知覚価値というのは英語ではperceived valueと言われていて、人は本当の価値を判断できないという前提に立って考えられた価値を指している。例えばデザイン、製品の先入観、ネーミング、企業イメージ、値段など、ある種広告やブランディングなどで底上げできる価値のことだといえる。

例えばアマゾンで買い物をするときにかっこいい製品紹介の絵やサクラっぽいレビューを見て物欲を掻き立てられて、実態に買ってみたら大した製品ではなくて失望したような経験は誰しもあるのではないか。

これは広告や販促活動を一生懸命やりすぎて、期待値を上げまくった結果、実際の利用価値を超えて知覚価値を上げすぎてしまったことで実際の利用価値が下回ってしまうことで起きる失望感だといえる。

ということで、あまりに本体と比べてきれいすぎる写真や画像を製品の説明欄で使ってしまうと実際に商品を買って実物を見たときに妙にちゃちく感じてしまうので、知覚価値というのは利用価値よりも低くなるように意識して、企業は自社製品やサービスの紹介をした方が良いというセオリーがあるのだ。

SNSで自分の顔をかなり加工した写真を載せていて実物とは全然異なってしまう場合や、お見合いなどで写真と現物があまりに違う場合。あまりに盛りすぎると実際にあった時のがっかり感が強いので良い結果にはならないのだ。

知覚価値というのは良い消費だと思ってもらったり、認知してもらう上ではとても重要な要素であり、買ったあとの満足感を高めることもできる利点がある。一方であまりにイメージが良すぎても落胆が大きくなると期待外れということになり、人間は期待外れだったことを誰かに言いたくなる傾向が強いのでブランドは口コミレベルでどんどん既存していく(アマゾンでのネガティブレビューのように)。

ということで基本は優先順位としては以下のようになっていることがのぞましいのではないかなと思っている。

「中核価値>実態価値>付随価値>知覚価値>交換価値」

※最初の三つが利用価値

■どこの価値を上げて売れるようにするかを考える

この価値の分け方というのは戦略を考えたりするうえでのフレームワークとしても使える面がある。この「中核価値>実態価値>付随価値>知覚価値>交換価値」という価値の分解は自社の製品で戦うポイントを明確にするときにも大いに使えるものだ。

中核価値というのはおそらく普遍的な価値なのであまり差別化はできないが、それ以外であればいくらでも他社製品に負けないポイントを磨くような発想が生まれることがある。

付随価値でいえば他社より保障がないとか、アメニティーがついてくるとか、他社の有料サービスが無料になるとか、そういた付随的な価値を上げることができる、

中核価値、実態価値、付随価値がそれぞれ全く差別化できないとしたら、今度は広告やPRをすることで他社品に比べて「なんかよさそう」というイメージを植え付けたろ、ブランディングで本来その製品が持っている価値を上げたり、製品や成分としては他社と同じかもしれないが自社のサービスや製品の所有欲を上げるような手段を考えられる可能性がある。

このように価値を分解していくことで、他社との比較もしやすくなるし、自社の製品やサービスはどこを特徴にして商売をしていくのかということを考えるきっかけにもなる。

■まとめ

他社に負けているとき、自社のビジネスがうまくいっていないとき。

そんな時に自分の製品やサービスはどういった価値(バリュー)をお客さんに提供できているのか。競合に比べてどういったところが優れているのかということを客観的にとらえる必要があって、そのためにこの価値の種類を分けるというやり方は結構有効だったりする。

ぼく自身は暇で街をぶらぶらしている時や、ちょっとしたときに目に入った商品に関する価値を分解して妄想してみることが多い。「この製品はどんな価値があるのか」というように考えて日々の仕事から思考を切り離してリフレッシュしている。

自社の製品やサービスが売れなくて困ったときは3Cや5Fなどのフレームワークを使って競合や顧客などの情報から客観的に自社の製品について分析するのも重要だが、自社の製品起点でまずは価値を分解してみることも有効だと思っている。

こういった価値に関する分解とターゲッティングの基本となる「誰にとっての価値か?」というユーザーにマッチしているかということを合わせて考えると少しすっきりすると思うのでおすすめしている。

この価値を分解することと、誰にとっての価値を上げるか?という2点を身が行けば必ずその人のビジネスは成功する確率がグンと上がるとぼくは思っている。

ちなみに人間に当てはめることは決して考えてはダメかと。価値は誰にでもあるし比較するものでもないのでパートナーに交換価値とか付帯価値とかいわれたらぼくは悲しくてシュンっとしてしまうので・・・。

今日はこのあたりで失礼します。

いつも読んでいただきありがとうございます。

keiky.

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