ライターの取材の質を上げる方法
ライターの取材において、相手の話を聴く「傾聴力」と適切な問いを投げかける「質問力」は必須です。
さらに私は、「相手の具体的な行動・言動の根底にある価値観を見つけて言語化するスキル」も必要だと考えます。
これを身につけることで、取材の質がワンランク上がるはずです。
事実の中にある価値観を探れ
なんだか難しそうですが、簡単にたとえると「チョコとクッキーとケーキが好きです」と相手が言ったことを単にメモしてそのまま記事に書くのではなく、「あっ、この人は甘党なんだな」と気づくスキルのこと。
この「具体的な行動・言動の根底にある価値観」に取材中に気づけると、質問の幅が広がります。
たとえば相手が「大福は好きじゃない」と言ったとき、甘党だと気づいていれば「なぜ甘いものがお好きなのに大福は苦手なんですか?」と深掘りすることができます。
もしかしたら、大福にまつわるエピソードが何か聞けるかもしれません。
「根っからの甘党ですが、大福だけはどうも食べれなくて。小学生の時、母が買ってきた大福の中に……」みたいな、面白い記事になる可能性もあります。
一方、こうした質問が取材中にできないと、「チョコとクッキーとケーキが好きで、大福が嫌いです」という、事実を羅列しただけの記事になってしまいます。
テープ起こしをひたすらまとめていた新人時代
新人の頃、私は「具体的な行動・言動の根底にある価値観」をまったく見つけられず、単にテープ起こしをまとめるような取材記事を書いていました。
まさに、「チョコとクッキーとケーキが好きで、大福が嫌いです」のような記事です。
当然、上司や先輩か赤字が入ります。
「この人はたぶん、こういうことが言いたいんだと思うよ」
そう指摘されても、「だって取材中にそんなことまったく言ってなかったじゃん。勝手に決めつけていいの?」と理解ができませんでした。
でもとりあえず指摘された通りに直し、「こんな言ってもいないこと書いて、怒られないかな」とドキドキしながら取材先に原稿チェックをお願いしたものです。
すると結果は、毎回OK。
むしろ、「これが言いたかったんです!」と感謝されることもありました。
「え、もしかして取材記事って、聞いたことまとめるだけじゃダメなの?」
そう気づいてからはひたすら勉強。
本を読んだり、先輩が書いた記事と取材のテープ起こしを比較し、どうやって相手が言葉にできていない価値観を掘り起こすのかを研究したりしました。
取材の勉強におすすめの本
当時は苦戦した価値観探しですが、今はそれが取材における最高の面白みだと思っています。
取材内容をまとめるだけなら、AIでもできるでしょうから。
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