病院を飛び出し、ピラティスインストラクターになった理由
「なぜ理学療法士の資格を取得し、臨床で働いていたのに、今はピラティスインストラクターをしているの?」
これは、私がよく聞かれる質問の一つです。
「せっかく国家資格を持っているのにもったいない!」と言われることもあります。
確かに、一生懸命勉強して理学療法士の資格を取得し、臨床経験も積んできたのに、今は病院で働かずにピラティスレッスンをしている。
もったいないと思う方がいるのも無理はないのかもしれません。
でも、本当に「もったいない」のでしょうか?
今、私が感じているのは、これまでやってきたことすべてが今に生かされているということです。
過去の経験があるからこそ、今の私があり、そして未来にもつながっている。
そう思うと、理学療法士として過ごした日々も、今ピラティスインストラクターとして活動している時間も、すべてが充実しているのです。
理学療法士としての経験が今につながる
病院で理学療法士として働いていた日々で得た医療の知識、臨床での経験は、今でも私の大きな財産です。
特に、患者さんとの関わりを通じて学ばせてもらったことは計り知れません。
数え切れないほどの患者さんと接する中で、多くの言葉をいただきました。その中でも、特に印象に残っているものをご紹介します。
① 体が動くうちに、好きなことをたくさんした方がいい
理学療法士として働いていると、日常生活の中で「できなくなったこと」に直面する患者さんを数多く見てきました。
「もっと旅行しておけばよかった」「あの時、挑戦していれば…」そんな言葉を聞くたびに、やりたいことは先延ばしにせず、今やるべきなのだと強く感じるようになりました。
② 働くのも大切だけど、自分のための時間も大切
「仕事は大切。でも、それ以上に自分の心と体を大事にする時間を持つことがもっと大切なんだよ。」
長年、家族のため、会社のために懸命に働き続けてきた患者さんが、病気を機にそう話してくれました。
仕事を頑張ることは素晴らしいことだけれど、それだけで人生が終わってしまってはもったいない。
自分の時間を作ることの大切さを、この言葉が改めて気づかせてくれました。
③ お金を持っていても、健康には敵わない
これは、多くの患者さんが口をそろえて言っていた言葉です。
一生懸命働いてお金を貯めても、それを使って楽しめる体がなければ意味がない。
「退職したら世界中を旅行しよう!」と長年計画を立て、定年を迎えた翌日から旅に出るはずだった患者さん。
ところが、その直前に病気を発症し、入院生活を余儀なくされてしまいました。
「命があるだけありがたい」と前向きに話されていましたが、計画していた旅は実現できず、リハビリの日々に。
そんな中で、
「やりたいことは、できるうちにやった方がいいよ」
と何度も繰り返し伝えてくださいました。
この言葉は、人生の先輩からの大切なメッセージだと思っています。
ピラティスインストラクターとしての今
理学療法士として働いていた頃、私は患者さんのリハビリをサポートしながら、同時に「この先、この人は本当に元気になれるだろうか?」と考えることがありました。
病院でのリハビリが終わった後も、患者さんが健康を維持し、より良い人生を送るためには何ができるのか—— その答えの一つが「ピラティス」でした。
病院の中で関わることができるのは限りがあります。
でも、ピラティスなら、病気になる前から、リハビリ病院を退院してから、もっと自由に、もっと長く、人々の健康に寄り添うことができる。
理学療法士としての経験を生かしながら、より多くの人の「動ける喜び」をサポートしたい。
そんな思いで、私はピラティスインストラクターとしての道を選びました。
今、私は自分の選択に後悔はありません。
むしろ、これまでの経験があるからこそ、今の活動がより充実したものになっていると感じています。
「もったいない」と思うかどうかは、人それぞれの価値観次第。
でも、私は理学療法士としての経験も、ピラティスインストラクターとしての今も、すべてがつながり、意味のあるものだと思っています。
そして何より、大切なのは—— 「やりたいことを、できるうちにやる」
そう思いながら、今日も私は、ピラティスを通して多くの人に「動く楽しさ」をお伝えしています。
2025年5月からPTOT対象の「臨床ピラティス コース」を開催予定です。
詳細はホームページやInstagramなどに載せていきます。
情報を逃したくない!今すぐ知りたい!という方、お気軽にメッセージくださいませ^^