世界を旅するキッチン:ロシア料理
今回の自宅で世界を旅するキッチンでは、ロシア料理に挑戦しました。
最初に日本のロシア料理の歴史を紐解くと、江戸末期、戊辰戦争の頃に旧幕府軍の五島英吉という男が、函館で敗走してロシア正教会のニコライ神父に匿われ、料理を学んでその後ロシア-西洋料理店「五島軒」を開いたとのこと。実は日本のカレーの味は、ロシア料理を学んだ初代五島が創始し、二代目が帝国ホテルで学んで味を完成させたものだそう。
また大正時代にワシリー・エロシェンコというロシアの詩人が来日し、新宿のパン屋・中村屋の文化サロンを通じて交流する中、ボルシチなどのメニューが紹介された歴史も。
あと、ロシア革命時に国を捨て、神戸に逃れたモロゾフ親子が、高級チョコレート店(お菓子のモロゾフ!)を開始したことも。その息子ヴァレンチンが、なんと自分の名前を付けて、日本でヴァレンタイン・デーにチョコを贈る提案を考案した人でもあるそう!調べていくと面白すぎますね。
さて、ロシアの家庭料理は、とてもスローフードな世界。夏の間は郊外のダーチャ(別荘)で野菜や草花を育て、森のキノコやベリーを摘み、冬に備えて保存食を作るという生活だそうです。自然の素材を活かしたシンプルな味付けは日本人好みで、その再現を目指してみました。
まずランチは、ピロシキにオリヴィエサラダ(鶏肉やジャガイモをサイコロ状に和えたサラダ)を、イクラとキャビアのカナッペ(イクラってロシア語なのご存知でした?)、ペリメーニ(シベリアの水餃子)、そして定番のボルシチ(ウクライナの郷土料理)を。キャビアで全体原価の半分ぐらいいってしまいしたが、まあここはご愛嬌w
そしてディナーにはビーツの色鮮やかな冷たいボルシチと、野菜の酢漬けサラダ、サワークリームたっぷりのウクライナ風ビーフストロガノフを作ってみました。
お酒は今回ウォッカではなく、旧ロシア王室・クレムリン御用達だった「ロシア・シャンパン」と、ロシアの絶滅寸前だった品種クラスノストップを復活させた赤ワインで。本当はライ麦を発酵させた、ロシアの飲料クワスも自家製で作りたかったのですが、酒造法違反気味なのでw今回は断念。
どの料理も食べやすく、娘にも好評でお気に入りに(キャビアも知ってしまった)。改めてシンプルで美味しいロシア料理の魅力を実感しました。