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モノやサービスを作ることを楽しむことの落とし穴!?
みなさん、楽しく仕事してますか?
そして楽しく仕事をしているということを買い手に伝えていますか?
Journal of Marketingの最近の論文で面白い内容があったので、ご紹介。
Paley, A., Smith, R. W., Teeny, J. D., & Zane, D. M. (2024). Production Enjoyment Asymmetrically Impacts Buyers’ Willingness to Pay and Sellers’ Willingness to Charge. Journal of Marketing, 88(6), 85-102.
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/00222429241257913
私の周りには、クリエーターさんがたくさんいるのですが、忙しくて不機嫌だったり制作に行き詰まって苦しそうにしている方は、あまりいない印象です。どちらかというとみんな「楽しい!」って言っている(買い手にも伝わっている)気がします。
上記の論文は、作り手が楽しく仕事をすること(Production Enjoyment)が、買い手の支払い意欲と価格設定にどう影響するかっていう内容のものです。
いろんな実証をしているのですが、この論文の結論で興味深かったのは、以下の2点です。
① 売り手(作り手)が「楽しんでいることを示す」と、買い手は(おそらく品質がよいだろうと思い)高い金額を払おうという意欲が高まる。
② 売り手は、作ることを楽しんでいるモノやサービスには、(自分が楽しんだからその分おまけしちゃうという気持ちで)より低い価格をつけてしまう。
クリエーターのみなさん、②のようなことをしていませんか?!つまり、買い手は高く買ってくれるはずだったのに、逆に安く値付けしてしまっているということないですか?
・・・「それダメ!」ってやつです。
テキストや音声配信で楽しそうに活動していることを表現しているクリエーターさんは、楽しいからって安易に価格を下げる必要はないということです。逆を言えば、より高く買おうとしてくれる人を増やすには、楽しく活動していることを買い手に伝えないといけない、ということになります。
制作期間は潜っちゃう(発信が少なくなる)人というのもいると思いますが、発表するときには「集中してたからなかなか発信できなかったけど、制作活動すごい楽しかった」ということをぜひ伝えるようにしてみてください。
モノやサービスが良いものかどうかは、他の要因にも左右されると思いますので、どんな時にもこれが言えるかというのはわかりませんが、Production Enjoymentという概念(私も初めて認識しました)、ちょっと面白いなあと思った次第です。
どうぞ参考にしてみてください。
(了)