高齢の親と感染予防
日本でもようやく緊急事態宣言が出されましたが、イタリアから見ていると、やはりとてものんびりしているようで、心配はつきません。
特に気になるのは、日本にいる高齢の両親のことです。私自身が無症状感染者の可能性もあるので帰国はやめたのですが、国内にあってもご家族に高齢者がおられる方は、きっと私と同じような心配を抱えていらっしゃると思います。
そこで、イタリアでは別居している家族・親戚ヘの対応がどうなっているかを書いてみました。
政府のサイトを参考にすると
・(大前提として)不要不急以外の外出、同居していない他者との接触を避けること。
・同居していない家族や親戚と食事をする為に会う、等といった行為は不要不急の用事とみなされない。よって禁止。
・介助を必要とする家族や親戚ヘの訪問は可。ただし、相手が高齢者や持病を煩っている場合は、彼らが最も感染しやすく、感染した場合には重篤になりやすいということを十分理解した上で、可能な限り接触を制限すること。
・不要不急の外出の為、同居していない者が複数で車両に同乗する場合、同乗者の対人距離を最低1mはあけること。(例えば座席が前後2列の車の場合は、運転席に1人、後部座席に1人。)対人距離が保てない場合、同乗は禁止。
などとなります。
実際の生活を見てみると、
私の場合)
家で仕事をしている夫と2人暮らし。夫のお父さん(82歳)とは別居。
・夫のお父さんは介助の必要はなく、買い物も自分で行えるため、封鎖が始まってからは会っていない。
・頻繁に電話で様子を確認。
*日本のスーパーマーケットなどでは感染予防対策が十分にとられているとは言いがたいので、日本にいる私の両親には買い物に行かないようにしてもらいました。食料購入はすべて、生産者直送の宅配サービスを使っています。ただし、すれ違う人とは対人距離をあけ、(マスクをしていない人とは)会話をしないことを条件に、散歩に行くことは勧めています。
友人Aの場合)
本人は平日出勤。高齢のお母さんが近所で別居。
・お母さんは過去に大病をしたことがあるので、外出は一切していない。(他者との接触がないせいか、物忘れがひどくなった。)
・買い物は友人が行ってお母さんの家まで届けるが、家の中には入らない。その場合も、マスクとゴム手袋で予防。
友人Bの場合)
本人は語学学校の先生だが、学校は休校。在宅で出来る範囲でネット授業を続けている。高齢のお父さんは施設に入居中。
・面会は一切禁止。
・電話で様子を確認。
「高齢者をひとりにするなんて可哀想」という声は、イタリアでも聞かれました。他者との接触がなくなった高齢者の認知症がすすむ、というような問題もあります。ただ今回の場合、「可哀想だから会いに行く」という行為そのものが高齢者の命を危険にさらしてしまう、という、なんとも悩ましい状況です。国は「不要不急でなければ訪問は禁止」というスタンスです。
高齢者と同居されているお勤めの方は、自分が外からウイルスを持ち込むことにならないか心配ですよね。そこで思い出しのは、感染の疑いがあったため、家庭内隔離を実行した友人の例です。
彼はある手術の為に入院していたのですが、同室だった方が後になって感染者と判明しました。友人には症状がなかったため自宅隔離となりましたが、家族と同居しています。つまり、家庭内隔離をすることになりました。
・幸運にも家にバスルームが2つあったので、そのうちのひとつを彼専用とした。
・奥さんは別の部屋を寝室とし、彼専用の寝室を用意。
・自宅内だが、彼専用の寝室とバスルーム以外には行かない。
・寝室から出る時にはマスクと手袋をつける。
・彼の衣服とその他の家族の衣服をいっしょに洗わない。
・食事は家族が用意して、彼の寝室の前に置いておく。食べ終わった食器は扉の前に置くようにし、家族と直接の接触がないようにする。
*直截確かめておりませんが、彼の使った食器や衣服を扱う時、ご家族の方は手袋をしておられたはずです。
*バスルームがひとつしかない場合は、使用するたびにトイレの便座や手で触れた場所を消毒するのが良いそうです。イタリアでも消毒液が不足しているので、漂白剤で作る消毒液のレシピ(下参照)を高等衛生研究所が公表しています。
市販されている漂白剤を消毒液として使用する:
塩素の割合が5%の場合は1リットルの漂白剤を9リットルの水で、塩素の割合が10%の場合は1リットルの漂白剤を19リットルの水で薄めて使う。こうすることで塩素濃度は0.5%となるが、ウイルスを殺傷するのには十分である。ただし、有害物質を生成する可能性があるので、漂白剤は他の製品とは混合しないこと。
幸運にもこの友人には症状もでず、無事に検疫期間を終えましたが、やはり相当なストレスだったとのこと。ただ、ここまで厳しくなくとも、高齢者を守るためのソーシャルディスタンスを家庭内でもとることは、感染防止に有効かもしれないですね。
イタリアの首相が言った「Teniamoci distanti oggi per abbracciarci più forte domani(明日強く抱きしめ合うために、今日は離れていよう)」という言葉は、本当に的を得ていると思います。感染予防は大げさな方が良いと、イタリアから声を大にしてお願いしたいです。
日本の皆様、どうかどうかお気をつけて。
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