イタリアの全土封鎖の今 規則について、ざっくり訳してみました
4月1日には、3月10日から続いていた全土封鎖が、そのまま4月13日まで延長されることが発表されました。
しかしこの発表に驚いたイタリア人は少ないでしょう。「今警戒をとくということは、これまでの犠牲が無駄になるということ」と国民の多くが理解していると思います。もうひとつ、首相の記者会見で印象的だったのは、「緊急事態を抜け出した後は、コロナウイルスとの共存という第2ステージ」という表現。再出発はまだその先。長い戦い。この認識もまた、イタリアでは多くの人に共有されている気がします。
封鎖延期が決まったので、今一度、現在イタリアで施行されている法令を、政府が出しているQ&Aを参考に、ざっくりと訳してまとめてみました。
http://www.governo.it/it/faq-iorestoacasa
大枠は
・不要不急な場合をのぞき、外出は禁止。
・社会インフラと日常生活に必要とされる以外の活動を休止。
ということですが、この3週間の間に、細かい法令が次々に追加されてきました。
移動について
・仕事、病院や薬局、食料と生活必需品(新聞や雑誌、ペットのための食品やその他の商品は含まれる)の買い出しのための外出(ただし家の近くですますこと)、犬の散歩は許可されるが、氏名や住所、外出の目的や行き先をかいた申告書を持参する。(子供や老人に同伴者がひとりだけついての家の周囲での散歩、つまり必要最低限の範囲で身体を動かすことは許可されている模様。ただし、買い物などのついでにすることが望ましいとある。)
・陽性判定を受けて自宅にいる者は、絶対に外出禁止。
・呼吸が苦しいとか37.5度以上の熱がある者には、家にとどまることを強く要請。かかりつけ医に連絡し、極力他人との接触をたつこと。
・社会医療行為や市民保護局の活動に関わるボランティア要員の移動は許可される。
・3月22日の段階で、仕事のために住居のない場所にいた労働者が自宅に戻る移動は許可されているが、自分の住居があるにもかかわらず、休業中を理由に実家等へ移動することは禁止。
・別荘等ヘの移動は、やむをえない場合(住居の水道が故障するなど)をのぞき禁止。
・親戚や親宅への訪問は、その人物が介助を必要としている場合以外は禁止。
・子供を祖父母に預けるための送り迎えは極力さけ、どちらかの親が可能な限り在宅するようにすること。これは、高齢者が最も感染したときに重篤になりやすいから。
・許可されている移動の途中に、自宅からもっとも近い場所にある宗教施設にたちよることは許可されているが、ミサや集会は禁止。
・ゴミ捨ての為の外出は可。
・軽い運動の為の外出は、家の周囲で1人で行う場合は可。
・公園や庭などへの入場は禁止。
・許可されている理由での外出の際の自転車使用は可。
・同乗者が同居している人物である場合をのぞき、複数人で車両を使用する場合は対人距離を1mあけること。不可能な場合(例えばバイクの2人乗り)、車両の使用は禁止。
・外国から戻った際に、同居している人物に駅や空港に迎えに来てもらう事は可。ただし、入国者は当局に連絡し、帰宅後自宅で検疫期間をすごすこと。
・観光目的のための国内移動は禁止。
交通、運輸について
・宅配便や許可されている業種の荷物の運搬は可。
・各自治体の判断で、必要とされる公共の交通機関は確保すること。
仕事について
・日常生活と社会インフラを保つために最低限必要と判断された業種以外は休業、もしくはテレワーク。
・雇用主にテレワークを可能とするための設備を供給する義務はないが、可能とする努力をするよう要請。
・自治体機関(役所など)は通常通り。
・日常生活に最低限必要とされていない商品を扱っている販売業者でも、宅配やオンラインを通じての販売は可。
・飲食店の営業は、持ち帰りや宅配でのサービスのみ可。
・車、バイク、自転車の修理工場は営業可。ただし、車の販売業は含まれない。
・不動産業は営業不可。
・第一次産業(農業、牧畜業、漁業)は通常通り。
・宿泊業は、許可されている移動や業種に関する客を宿泊させる限り可。
教育機関
・幼稚園、保育園、学校、大学は休校だが、オンライン授業などでの授業を奨励。
リクリエーション、各種イベントについて
・すべてのイベントは、宗教的なものも含み禁止。
・映画館、劇場、博物館、公文書館、図書館、文化施設は休館。
・ミサ、結婚式、葬式は禁止。
・死者の埋葬は可。
・すべての集会(マンションの住民会議等も含む)は禁止。
罰則について
・陽性と判明している者が外出規定に違反した場合、3ヶ月から18ヶ月の禁固刑と500ユーロから5000ユーロの罰金。
・外出規定に違反した場合、400ユーロから3000ユーロの罰金。尚、車両を使用した場合は最高4000ユーロの罰金。
・企業が法令に違反した場合、最大30日間の営業停止。違反をくり返した場合は、800ユーロから6000ユーロの罰金。尚、車両を使用した場合は最高8000ユーロの罰金。
実際には、もっと細かい指定や、個別の例に関する説明もされています。全てを訳するのは余りにも時間がかかるので、これくらいでご容赦ください。また、訳に間違いがあれば、どうかご指摘ください。
「イタリアはどうですか?」というメールを頂くのですが、上のような規則に従って封鎖が継続中ということでご理解いただければ、と思って書きました。
イタリアでは、買い占め等によるパニックは起こっていません。(最初に少しだけあったようですが、私の地区ではありませんでした)これもひとえに、生活必需品が手に入るよう、それに該当する企業がちゃんと動いてくれているからです。私が安心して家に籠っていられるのは、今も働いてくれている人たちのおかげ。感謝しかありません。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?