日本との温度差
昨日の20時すぎに、ミラノの日本領事館から緊急メールが届きました。
そのまま以下に、内容をコピーします。
●アリタリア航空は,同社日本語ホームページにおいて,4月2日から4月30日までローマ・成田便が運休となることが発表されていますが,本24日午後5時現在,同社ウェブ予約ページにおいて3月29日と31日のフライトの予約ができない状況になっており,欠航となる可能性が高いと思われます。
●また,同ページにおいて,ローマ・羽田便が3月29日より運航予定となっていますが,こちらも本24日午後5時現在,3月29日以降の予約ができない状況になっています。
●なお,日本航空ホームページにおいて,パリ,ロンドン等欧州各都市と日本との間の直行便も,3月29日から4月30日までの間(区間によって期間が異なる)の運休がそれぞれ発表されています。全日空についても,同社ホームページで3月末から4月24日までのヨーロッパ各線の減便や運休が発表されていますので,注意が必要です。
私はいつも全日空を使っているのですが、予定されていたミラノから日本への直行便開設は、5月まで延期になりました。ロンドンとフランクフルトをのぞき、他の欧州の主要都市からの日本行きも、ほぼ4月いっぱい、のきなみ運休となります。
(下の図は、全日空の公式サイト https://www.ana.co.jp/ja/jp/topics/notice200206/#5 にあるものです)
アリタリア、全日空、日航が運休を決めたことで、イタリアから日本への直行便による帰国は事実上不可能となりました。
これがどれくらい異常な事態であるかを、日本の方にどう伝えればいいのかわかりません。
私が元気に家にこもっているせいもあって、私の両親や友人たちの多くも、おそらくちゃんと理解はできていないのではないかと思います。
でも、確かに、毎日たくさんの人が亡くなっています。
ついさっき、私の友人の従兄が、コロナウイルスで亡くなったと聞きました。金曜日に亡くなったのに、ご家族がそれを知ったのは日曜日だったそうです。病院が混乱しているために連絡が遅れたのだと思います。
さらに、この友人の知り合いのお父様もコロナウイルスで亡くなられました。家族は付き添えませんから、病院で携帯越しに家族の声を聞きながら、ひとりで亡くなられたそうです。
これは、イタリアで二番目に感染者の多いブレーシャのビデオです。日付は3月21日。最も感染者の多いベルガモの町からも、患者が転送されています。
ビデオの中には、以下のような内容が出てきます。
・発熱以外に、酸素飽和度が極端に低い状態(70や80)での呼吸困難を起こして運ばれてくる人
・午後のシフトが始まってから2時間のうちに、すでに2人を搬送、3人目のもとに走る救急隊員
・ひっきりなしに到着する救急車
・「病院の外にいる人は中で何が起こっているか理解していない」という救急隊員
・複数の持病を持っている高齢者の場合、呼吸器をつけても助かる見込みが低いので、自宅で看取る例もある、と語るかかりつけ医。
・コロナウイルスの罹患者の10人にひとりが医療従事者であるというテロップ
・感染予防のための装備が十分でない状態で治療に当たっているため、医師の間の罹患率と死亡率も問題になり始めている、と言う、さきほどのかかりつけ医。
・「理由なんてないよ。やるだけ。」と話す救急搬送の無償ボランティアの男性
・「感染するのが怖いですか?」という質問に「怖かったら職業をかえるよ」という救急隊員
ベッド数と呼吸器数の不足から患者を病院に受け入れられない事態、つまり、イタリア国内で皆が家にこもって阻止しようとしていたところの医療崩壊が、ベルガモとブレーシャでは起こっていると言うしかありません。「まだ医療崩壊はしていない」と私が書いたのが3月15日ですから、1週間ほどで、ベルガモとブレーシャの状況は悪化したということになります。
いっぽうこちらは、3月22日の上野公園の様子をおさめたビデオです。
日本の衛生観念がもとからとびぬけて良かったからなのか、感染症対策に当たっている人たちがクラスター潰しを必死にやってくださっているせいなのか、はたまた単なる幸運のせいなのか、日本は欧州ほどの緊急事態には陥っていません。もしかしたら日本はこのまま感染爆発を起こすことなく逃げ切れるのかもしれない、と思うこともあります。
でも、上の2つのビデオを見比べていると、不安で不安で仕方ありません。
日本のベッド数は人口比にして世界最多だから、このままでも大丈夫なんでしょうか。
勿論、そうであってくれれば、それにこしたことはないのですけれど。
イタリアの新感染者数の推移を示した3月24日付けの市民保護局(http://opendatadpc.maps.arcgis.com/apps/opsdashboard/index.html#/b0c68bce2cce478eaac82fe38d4138b1)のグラフです。
昨日まで3日連続で減っています。今日は全土封鎖が始まって15日目。封鎖が始まる前に感染していた人の発症はこのあたりまで?と、一縷の望みをかけながら。