リモートワークと在宅勤務
歯科領域におけるリモートワークを考える
コロナパンデミックにより生活様式の変化を余儀なくされ、私たち歯科医療従事者が改めて「働く」ということに向き合った1年だったと思います。
同時に、仕事内容や勤務形態に多様性がうまれ、自分軸にあわせた柔軟な働き方が可能になりました。しかし医療エッセンシャルワーカーは極めてリモートワークを取り入れにくい分野とされています。
2020年のリクナビ求人件数44331件のうちリモートワークが可能な求人は平均7.32%
WEB/IT関連:約15000件中リモート求人は12%ほどに対し、
医療/福祉/介護:929件中たったの5件 0.54%しかありませんでした
すでに雇用されている人材が順次リモートワークに切り替えていることから、新たなリモートワーク採用率が低いようですが、それを考慮しても、やはり医療分野では少ないのが現状です。
「歯科クリニックにリモートワークを取り入れる」ということは、人的要素、環境、診療内容などが複雑に絡み合っているため、一概になにが正解というわけではありません。
大前提は、歯科治療(虫歯を削ったり、かぶせ物をセットしたり、入れ歯を調整したり、etc.)はドクターが手を動かさなければいけない内容は対面診療が必須です。
しかし、歯科診療にまつわる業務は、歯を削るだけではありません
ドクター以外にも、歯科衛生士、歯科助手、技工士、経理や事務など役割分担されています
まずは、目的とフェーズにあわせた考え方をしてみます
① 緊急事態宣言下、従業員の通勤頻度を減らす
② 待合室の人口密度を減らす
<<仕事内容の再編と人材配置の最適化>>
③ 1日来院患者数は減っても、売上はキープ、さらに増加させる
④ ライフスタイルに合わせた多様な働き方の実現
〇従業員が自宅で仕事をする→リモートワーク
単純な持ち帰りの仕事。 従業員は通勤時間がへり業務や自分の時間に充てることができます。家事の合間や、短時間でも作業に当たることができればそれは立派なリモートワークです
クリニック全体のシステムをいきなり変えることは難しいため、院内で行っていた仕事で自宅でもできることから始めてもいいでしょう。
●診療室で行う仕事を自宅でも行えるようにする→仕事の細分化→診療室デジタル化
例えば、アポ帳はデジタル化していますか? 資料はクラウド管理またはオンライン上で作業ができますか?
受付業務を圧迫するアポ変更や電話対応をメールやLINE対応に変えると自宅でも可能です。
〇患者滞在時間を短くする、診療効率化→診療IT化、デジタル活用
事前に問診表をメールやLINEなどから記入してもらったり、来院時は処置時間に効率的に当たれるよう事前説明をあらかじめ動画、説明書などで簡単な内容は把握しておいてもらう。☛このようなシステムの構築や資料作成、事務的な業務や患者とのメールのやり取りは、受付だけが行うことでもなく誰でも可能です
帰りはスムーズにキャッシュレス決済やオンライン予約を利用することも有効的です。
ここでなお一層、対面での時間をいかに大切にするべきかが浮き彫りになります。すべてを自動化・効率化することで冷たい印象になるのは本末転倒、クリニックが求められるホスピタリティーに差がでるところです
● 患者が自宅で診療を受ける(Dr,スタッフが自宅からアクセスする)→オンライン診療、遠隔治療
法律の制約に則して、患者が自宅から相談や診療を受けれる仕組みは、オンラインが普及したからこそできること。
矯正相談や、クリンチェックの説明、治療経過のチェックなどもオンラインで対応可能です。さらに、デジタル特性を生かした診療システムは今までの診療スタイルから大きく変化しました
○ デジタル化
物理世界のワークフローがそのままオンラインに移行
○ デジタルトランスフォメーション(DX)
ICT(情報通信技術)やデジタル特性を活かし、物理世界に存在しないサービスやワークフローがオンラインで実現
<インビザラインのDXデジタルワークフロー>
*iTero(光学印象スキャナー)で撮影したデータを、直接インビザライン社へ送信、写真データ、レントゲンデータもあわせて送信しクラウド保存される
*クリンチェック治療計画作成は完全リモートワーク いつでもどこでもアクセスでき治療計画を作成
*クリンチェックを患者へ説明し、承認して発注作業が完了。日本に到着するまでの工程が自動で行われ、配送状況も逐一確認できる
*これに加えて、治療中のモニタングシステムを活用することで来院回数、頻度をコントロールできるようになりました。 診療室内ではアタッチメントセット、IPR、ゴムの使用開始といった業務を集中して行うことができます
クリニック内にデジタルの力を取り入れることで、私たち医療従事者、とりまくスタッフの仕事の効率がアップし、作業が楽にならなければ導入する意味がありません。 従来の仕事内容に追加して、新たな仕事が増えてしまうと結局、元の体制に逆戻りとなってしまいます。しっかりと、業務内容を精査して、やらなくてもいい仕事はもうやらないと終止符を打つことができれば、人は新たな体制になれていくものです。
さらに一番大切なことは患者さんにとって受診しやすく、便利で、安心感を持ってもらえるクリニックがあるべき姿です。 時代の変化や通院されている患者ニーズに合わせて、クリニックも柔軟に対応していくべきだと思います。
あなたのクリニックで、シンプル化できること、在宅業務が可能なこと、オンラインやデジタル化することで効率化が図れることを描きだしてみてください
Q予約受付・変更は電話のみ?
Q事務仕事は何がありますか? アナログ作業かクラウド上で作業可能か?
QSNS時代にあわせて、集客ツールは何を使っていますか? 自動化できますか?
Qオンラインが普及すると、クリニックにとって、あなたにとってどのように現実がかわりますか?
今の現実を選んでいるのは、あなたです。仕事だけに縛られる必要はありません
自分にとって心地いい環境、人生とはどういうものか考えるきっかけになりますように。