会いたい気持ちを。
2022年1月22日午前1時08分
緊急地震速報の音で、私は目を覚ました。
え?なに?
寝ぼけた頭で考える間もなく、大きく揺れた。
一瞬で熊本地震の記憶が蘇ってきて
思考も身体も硬直する。
ぶるぶる震える愛犬を抱きしめて
何もできずにただ
早く揺れがおさまることを願うことしかできなかった。
実際にどのくらいの時間揺れていたのかわからない。
だけどとても、とても長く感じた。
そして、ゆらゆらと揺れている間
『いつ、どーん!と大きい振動がくるのだろう』と怯えながら、心に浮かんだのは会いたい人の顔だった。
死ぬ前にあれをやりたかった、これが欲しかった、あそこに行きたかった、この夢を叶えたかった、そんな思いはひとつもなくて。
ただ、『会いたい』という気持ちだけが心をいっぱいにしていた。
ここ数年でいろんなことが一変して。
これまで当たり前だったことが当たり前じゃなくなって。
『会う』が特別なことになってしまった今だけど。
よく考えたら、これまでだって『会う』って特別なことだった。
誰かの『会いたい』と誰かの『会いたい』が一致して初めて『会う』は現実になるのだから。
どんなに会いたくても、一方通行では『会う』は実現しないのだ。
もしかしたら今夜、大きな地震がきて、私の人生は終わってしまうかもしれない。
明日、事故に遭って命を落とすかもしれないし、突然の病に倒れてしまうかもしれない。
だからこそ、私は会いたい人に『会いたい』気持ちを伝えたい。
家族に、友人に、大切な人に。
いつかではなく、いま。
そして、『会いたい』と思ってくれる人を大切にしたい。
そうやって会えた大切な時間は、大切な思いと一緒に写真に残していこう。
一枚、一枚、大切に。
写っているのは、会いたい気持ちと会いたい気持ちが一致したという証だから。
ファインダーを覗いた先に大切な人がいる。
きっと私にとって、それが1番の幸せなのだと思う。
あなたに今、とても会いたい。
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