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なでしこの種

『種を蒔き つながる心に なでしこが咲く』


友人のカフェに抽斗ギャラリーがある。
私も一杯(抽斗の数え方[杯])借りている。

その隣の抽斗に、河原なでしこの種を置いてもらった。

15年ほど前、NYに住む父の友人が茶道好きで、「河原なでしこの花を飾りたい」と言ってきた。
私と父は、あちらこちらに探しに出かけたが、ホームセンターの種販売コーナーにもなく、野原や川原には全く見つけることが出来ずにいた。
以前は野原にたくさん咲いていたのに、やはり大気汚染で育ちにくくなって来ているのだろう。

出かけるたびに、種販売コーナーを見て歩いていた。
父の仕事で日本橋三越へ行き、なんとなく屋上にあるガーデニングコーナーをのぞいたら、なんと、『河原なでしこ』の種が売っていたのだ!

東京のど真ん中の日本橋に❗️

私たちは売っている全ての袋(3袋しかなかったけど)を買い、自宅の庭に蒔いて育てた。

6月には花が咲き、白・濃淡のピンクと3色の花を咲かせた。
12月になって雪が降っても咲いているものもある。
『大和撫子』
可憐なのに芯が強い日本女子、というイメージは、ここから来るのか…

ほのかな香りがあるピンクのなでしこ

種が出来ると、取って、蒔いて、増やしていった。

サッカー日本女子の活躍もあり、なでしこが知られるようになると、「育ててみたい」と言う知人が増え、苗を分けたり、種をあげたりして『河原なでしこ愛好家』が増えていった。

友人のカフェでも配っていもらっていた。
「庭で毎年、なでしこがきれいに咲くよ。」
と言う声を聞くと、うれしい。

種を分け、つながる。
花を愛で、笑顔になる。
小さな粒の種が、人とのつながりを作り、広がっていく。
平和な日常に感謝しながら、なでしこの花が咲く季節を心待ちにしている。