ビジネスマンに驚かれた、出版系フリーランスの契約の話
友人(製造業・会社勤め)と話していたときのこと。
仕事を受けるときの契約の仕方で、
「えっ、そんなことってあるの?!」
と驚かれたことがあります。
それは、契約書を交わすタイミング。
私の仕事は、主に書籍の企画・編集・ライティング。
ざっくりとした進行は、以下のような流れです。
1.出版社で本の企画が通る
2.担当編集者と打合せ
3.取材・執筆など原稿作成
4.本文のデザインを決め、入稿
5.DTPで校正紙を出してチェック
6.イラスト・図版もすべて入れた校正紙をチェック
7.校了
8.印刷
9.見本ができる
10.配本される(書店で本が発売)
※4~5あたりでタイトルが決まり、後にカバーデザインも決まります。
出版契約書が交わされるのは、どのあたりだと思いますか?
私の肌感だと、会社によって、また同じ会社でも担当者によってけっこう違いますが、早くて7以降。10までにしていれば通常です。
「えっ、そんなに幅があるの? ていうか、仕事に取りかかる前に交わさないの?!」
と驚かれました。
そうなんです。
なんなら、私が出版社にいた20年ほど前は、ほとんどが本が出来上がって流通してから契約書を交わしていました。
退職する少し前(2000年の初めくらい)辺りから、電子書籍などの2次使用の動きが活発になって、新しい契約内容も加わってきたこともあり、「ちゃんと出版契約書を交わすように」みたいなお触れが出た記憶も。
ということは、出版契約書を交わしていないこともあったりして、、、と思われる牧歌的?な業界でした。
私は出版社しか勤務したことがなかったので、そう言うものだと思っていたのですが、フリーランスになってネット系のコンテンツ制作をお手伝いをしたときは、仕事に取りかかる前に業務委託契約を結びました。
そのとき、「あ、出版業界って、けっこう特殊なのかも」と気づいた次第。
そうなった理由は、おそらく、「いついつまでに原稿を完成させる」という「契約」を守れる作家が少なかったから、なんでしょうね、きっと。
〆切は破るもの、みたいな文豪のイメージってありますが、「〆切を守ること」がアドバンテージになるような業界ゆえかと。
守れない出版契約書を作ると、作家はもちろん、出版社側もあとあと面倒なので、作品が完成してから契約を結ぶというのが、双方にとって都合がよかったのではないでしょうか。
文芸ジャンルからの慣例が続いているのではないかしらん。
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