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ネパール4日目:カトマンズ大学芸術学部へ

11月10日(日)
今日は日曜日です。日本にいたら普段は一般的には休みの日…でも、ネパールは日曜日が週の始まりみたいな稼働日です!なかなか新鮮な感覚。

実は今日はようやく今回の滞在の目的、カトマンズ大学芸術学部への客員アーティストとしての訪問と今後の予定についての相談の日です。思ったほどは緊張することもなく、かなりリラックスした状態でこの時を迎えました。

朝食は数年前にスイスのアーティスト・イン・レジデンスで知ったドライフルーツ、ナッツ、穀物などとヨーグルトを混ぜたMuesliとエスプレッソをいただきました。ネパールに来てヨーロッパスタイルの朝食ですが、材料の多くはネパールさんだと思います。山の多いスイスやネパールで何か通ずるものがあるな~と思いながら食べました。

さて、その後は支度をしていつも通りInDriveを利用してカトマンズ大学芸術学部へ伺いました。久しぶりの芸大の環境で絵画が飾られたり、彫刻が横たわっていたりと賑やかな雰囲気が伝わってきました。担当の先生がどこにいるかわからないまま少し歩みを進めると、物が雑然と置いてあったり、泥に使った痕跡があったりしたことに気づきました。そんな観察をしながら、先生たちのオフィスに伺い、メールでやり取りをしていた担当の先生方とご対面できました。大きなお祭り後の授業再開初日ということもあり、先生方は次の授業のために忙しそうでしたが、みなさん快く受け入れてくださいました。

挨拶が落ち着いたところで、私に授業を担当させてくださるSanjeep Maharjanさんと今後の打ち合わせができました。2~3週間ごとにテーマを設定し課題に取り組んでもらっているとのことで、私も2週間ほどの期間で授業構成を提案してほしいとのことでしたので、早速、プレゼンや課題、学生との意見交換や情報提供、進捗の確認や最後のプレゼン発表までの予定を立てました。その後は学内を見学させていただき、プログラムや施設のことを伺いました。そこで10月に報道されていた洪水のことを聞いてみると、この学校も洪水でかなりの被害に遭ったとのことでした。洪水で水没した酷い場所は2m近いところもあったようでした。伺った時には普通に見えていたところ全てが20~30cmの泥で覆われ、その後に物品の移動やクリーニングでなんとか今の状態になったとのことでした。

洪水時に水位がここまで来ていたと話してくれたSanjeep教授

学内見学の最後にはSanjeepさんが担当する2学期目の3年生の学生たちの共同スタジオへ伺いました。授業や制作が行われるお部屋で、事前に私の訪問を聞いていたとのことでほぼ全ての学生が出席してくれていました。軽くお互いに自己紹介をし、今後の計画を伝えることができ、この日は終了しました。

帰り際にカトマンズ大学芸術学部を卒業する学生の作品が見られるかもしれないとNepal Art Councilを紹介してもらいましたので、早速、行ってみることにしました。ついてみると大きな施設の入り口付近に2つのバナーがあり、数名の女性が展覧会オープニングをお祝いしている様子でした。どうもお目当ての展覧会は終わってしまったらしく、新しい展覧会が始まっていたようでした。そんな状況を理解しようとしている私に数名の女性の一人が、「あなたはこの展覧会を見にきたのですか?」とバナーを指さして話しかけてくれました。私がここにきた経緯を伝えながら、バナーを見ていると「In Memory of Yumi Sano, celebrating the life and work of an artist from Japan」と書いてありました。

Yumi Sanoさんの追悼展覧会のバナー

ユミ・サノさんという方の追悼展覧会かなと察しつつ、館内の展示を少しずつつ見てまわりました。大きな部屋は先ほどの数名の女性を含むグループ展で、小さな部屋はそのアーティストたちの先生とその先生と交流の深かったユミ・サノさんの展覧会ということでした。話を聞いていると約25年ほど前にユミ・サンさんはアーティストとしてネパールに長期滞在をして、この先生と深い交流を持たれていたそうです。さまざまな賞を受賞された将来有望な女性芸術家でしたが、24歳の時に残念ながら現地で交通事故に遭って亡くなってしまったそうです。作品や関連資料や書籍も展示されていて、とても積極的にネパールで活動され、その様子は日本のテレビ局にも取り上げられたとのことでした。作品の多くは人物画が多く、交流を持った子どもたちの肖像画と彼らの書いた詩集もあり、近しい距離で深い交流をされていたのがよく分かりました。

ショッキングなお話しでしたが、25年の月日が流れてもこうして展覧会を開催してくれる仲間や家族がいるアーティストの存在に大きな感銘を受けつつ、翌日のプレゼン資料を準備する必要があったので、足早にホテルへ戻りました。短い時間でもあの展覧会に遭遇できたのはとても貴重な時間でした。

ホテルに戻ってからは、学生との会話を振り返りつつ、4時間ほどほぼ休憩も取らず資料作りに没頭し、なんとか今後の授業を方向づけるプレゼン資料を完成させることができました!自分で見ていてもなかなか参考になる資料に仕上がりました!

ということで今日はここでおしまい~!

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