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人質司法サバイバー国会に参加してきました②

前回の続きです。

今回のシンポジウムでは人質司法もさることながら元来の司法制度が本当にこれで良いのか?という疑問にも焦点が当てられました。

私の経験で述べますと、無実であっても逮捕された直後から警察検察そして裁判所までも「推定有罪」という考え方で事が進みます。残念ながら、これが現実です。

大した証拠がなくても裁判所は逃亡や証拠隠滅を理由に逮捕状を発行し、その執行後48時間以内に送検という手続きというのが通常の流れです。

「大した証拠がなくても」と書きましたが、だからこそ「不起訴」という事態が頻発するのです。一説には逮捕されてもその半数以上は不起訴になると言われています。これは被害者との示談が済んだケースもありますが、そもそも証拠不十分で立件できないケースがかなりあるのです。

そんな中で、逮捕されると弁解録取書と逮捕直後の供述調書の作成を行い、それをもとに送検され、検察庁で事件に対する尋問がなされます。

もちろん、私は全面否認しておりますので、この時はその否認供述に対しての調書を作成、署名指印を行いました。

その後、裁判所へ連れて行かれ裁判官より勾留質問の流れに。

しかし、勾留質問を行った裁判官は私がこの事件の犯人ではないと言っても「あ〜、はいはい」みたいな態度で、全く話を聞いてくれませんでした。

これが人質司法の入口なのです。

勾留質問をする裁判官を含め、その大多数は「この人は犯人に間違いないから逮捕された」という先入観がある訳ですから、ひとまず在宅での取り調べではない10日間の勾留決定にハンを押すことから始まり、無実であるのにも関わらず保釈も長期間されず、挙句の果てに有罪判決を出してしまうのです。

それと並行し長期勾留に結びつく理由は、捜査機関が見立てたストーリーに被疑者側が同意しないからというのがあります。

幸いなことに私の場合は奇跡的に1回目の申請で保釈が叶いました。
これは、保釈を審理した裁判官が推定無罪の原則を大切にする人だったからのようです。他の刑事裁判でも無罪判決を多数出している裁判官と後から弁護士先生より聞きました。

要はただ単に「ラッキー」の側面もあったです。
(勿論、弁護士先生の保釈意見書も相当なボリュームでした)

起訴後、留置場の担当さんからも「否認してればなかなか出られない」とか「普通は初公判前後で保釈される」とかの実情を伺いました。今回の人質司法サバイバーのシンポジウムに参加された皆さんの体験談が現在の司法制度そのまんまなのです。

検察は勾留し続けておけば、有罪への蓋然性が上がることを知っています。

それは、被告人の肉体や精神的ダメージを負わすだけではなく、被告人は留置場や拘置所では裁判準備がしづらいということが分かっているからです。

これではフェアな裁判になる訳がありません。
そもそも、日本国憲法第三十七条では公平な裁判を受ける権利を保障しているのですが、見ていると現実は全てがそうではありません。

私が保釈されてからも捜査機関側は追加の捜査を行ったようです。
しかし私はこの事件の犯人ではありませんので、追加の証拠など出てくるはずもありません。

これに危機感を抱いた捜査機関側は収集した証拠原本を処分するという愚業に出てきました。被告人側が開示を要請した改竄が疑われる帳簿帳票類の原本はもうこの世に存在しません。こんな事が、あからさまに行われているのです。そして、被告人を有罪にしようとしています。

私の裁判ももうすぐ初公判で、公判前整理手続も残り1回で終了します。

双方が主張する証拠や証人もほぼ決まりました。でも結局、犯罪があったことを証明する以外に検察が不都合な証拠は法廷に出てきません。これで国家権力で作り上げたストーリーが完成しようとしています。あとは検察が村木さんや山岸さんの事件で失敗したボロを出さないようにするだけです。

私の裁判は結局最後まで直接的な証拠はなく、間接証拠ばかりで始まります。間接証拠だけで有罪となる裁判例も多々ありますので、五分五分の戦いになると思っています。

我が国の刑事事件で無罪を勝ち取るためには、実務的に『実際に犯罪がなかった』ことの証明を求められます。

だから、被告人を勾留し続け、なかったことの証明をさせぬよう検察機能は作用し、裁判官も推定有罪という考え方が大部分を占めるため、有罪率が99.9%というとんでもない数字になってしまうのです。

加えて検察は<有罪に仕上げる事ができそうな事件だけを起訴している>ので、裁判所は司法の原理原則(疑わしきは罰せず)から目を背けるだけで、冤罪は簡単に起こるべくして起こってしまうです。

いくら無実を訴えても、冤罪として無罪判決が出るのは氷山の一角だと過去の事件を見てそう思います。

色々な事件当事者のお話には、戦い半ばで無念の死を遂げられた方もいらっしゃいました。この馬鹿げた司法制度に巻き込まれた一般人は、その後の人生に大きな代償を払います。それは無実であればなおさらで、簡単にはいきません。

今の司法・・・
この現実を知っている人たちがを合わせ、変えていくしかないのです。
そうしないと、この先も必ず犠牲者は永遠に生まれ続けます。

日本はまだまだ後進国です。

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