NO34.「あるくみる・かんがえる」富士山は"オーバーツーリズム"と言うより"アンバランスツーリズム"
いい天気だったので久しぶりに富士山ハイクに行った。
今回は一度行きたかった北口本宮富士浅間神社からスタートする江戸時代からの伝統の登山ルート、吉田口登山道、ここを1号目から歩いた。富士山の4つの登山道のうち最も多くの人が登るルートでもあるが、ほとんどの人が5合目から登り始め、1合目から歩く人はとても少ない。
私は、低山ハイカーなので高い山には行かない。富士山の裾野や見晴らしのいい所から景色を楽しみながら歩くのが好きだ。
今回のおおまかなコースは以下の通りだった。
朝9時過ぎ:富士山駅着後、電動自転車を借りてスタート → 10時 北口本宮冨士浅間神社参拝 → 11時 「馬返し」に自転車を停めハイク開始、「1合目」、「2合目」通過、途中弁当昼食 → 13時 「3合目」休憩後下山 → 14時 「馬返し」の山小屋でコーヒータイム → 17時 富士山駅着
富士山駅からハイキング起点の「馬返し」(昔はここで馬を降りて登った)までも遊歩道はあるが、距離8キロと長いのでこの間はマイカー、バス(7~8月以外は平日運行なし)、タクシー、電動自転車等で楽に移動したい。
結局歩いたのは「馬返し」を起点に1合目から3合目まで往復2時間強だった。平日だったこともあり出会ったハイカーは終日でわずか10数組程度(そのうち3~4組は外国人)。つまりほとんど人には会わなかったと言ってよく、こんないい天気で気持ちのいい道なのに本当にもったいないと思った。
ここは昔からのメインルート。道幅は比較的広く勾配もきつくない緑豊かな気持ちのいい道だ。ほんの一瞬だが富士山の頂もチラチラ見れる。ところどころ神社跡、お墓、昔の山小屋などの史跡が残っていて、江戸の富士講の様子を想像しながら歩ける歴史の道だ。
ニュースやワイドショウなどで「オーバーツーリズム」がよく紹介される。富士山5合目の混雑や頂上に向かう長い列がお決まりの映像で出てくる。
日本一の山なので頂上に立ちたいのは当然かもしれないが、私は富士山は登る山というより眺める山だと思っているので頂上に行くつもりはない。むしろ人があまりいない景色のいいところを、鳥や虫の鳴き声、新緑の緑を楽しみながらゆっくり歩きたい派だ。
そんな嗜好の人は日本人でも外国人でも結構いるのでないかと想像する。
今回行った5合目より下はあまり紹介されていないので知らない人も多いのではないだろうか? バスなど交通機関が不便ということもある。
「オーバーツーリズム」が昨今特に問題になっているが、「オーバー」は結果であって、その原因は特定スポットに旅行客が集中する「アンバランス」なのではないかと思う。
こんなところも素敵ですよ、と話題が広がれば少し分散されるかもしれない。
コースの詳細はこちらの公式サイト等を見てください。 (了)
【 追記 】