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mikitanishi3
文章がうまいことは、たった一つの価値でしかない
文章がうまい人を見ると、憧れることがある。 自分もあんなふうに書けるようになりたい、と。
でも、「うまさ」は、たった一つの価値でしかない。
約14年間、ライターや編集者として様々な文章に触れてきて、そのことを強く実感している。
僕がゴーストライターとなるきっかけになった講座で、師匠から言われた言葉がある。
「文章がうまいだけの、ライターにはならないでください」
当時は深く理解できなかった。 でも、今では僕の活動の根底にある大切な教えとなっている。
そもそも、なぜ文章の「うまさ」を追い求めるのか?
それは、「うまさ」が目に見えやすく、評価されやすいからじゃないかと思う。 でも、それは表面的なものでしかない。
もちろん、うまい文章を書きたいという思いは、首がもげるほど頷くくらいよくわかるつもりだ。
ただ、僕が大切にしたいのは、「うまい」か「下手」かよりも、「伝わる」かどうか。
うまいから伝わるわけじゃない。
何を伝えたいのか、それは誰に向けたものなのか。 その明確さがあってこそ、言葉は届く。 この気づきが、僕の原点。
それは、僕の本業である、電子書籍のプロデュースでも同じ。 著者の知見を本にする。 あるいは、誰かの大切な言葉を読者に届ける。
決して「うまさ」だけでは実現できない。
文章は、想いを届けるための手段。 うまさは、そのための一つの道具に過ぎない。 なんて思うこともある。偉そうに、だけど。
言葉は、人を幸せにすることもできる。
逆に、命を奪うこともできる。
それを痛いほどわかっているからこそ、思うことがある。
文章がうまいだけの人には、なりたくない。
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