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【第二部】八話 よそ者の洗礼

 ぼくは車の後部座席に座りながら、水の入った小さな入れ物を見ていた。ゆらゆらとさざ波の立つ中で、二匹の金魚が身動きをせずにじっとしている。小太りなのが「きんちゃん」、ほっそりしているのが「ぎょっちゃん」という芸のない名前だ。

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