第二話 はじめての留置場は廃墟のようだった
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窓も時計もない殺風景な部屋のなかに、机と椅子だけが置いてあった。
取り調べをする刑事と補佐役の刑事の二人が、次々と僕に質問を投げてくる。
どのくらい時間が経ったのか、まったくわからない。
「知らないってどういうことだ。いつまでもその言い訳が通ると思うなよ」
僕の向かい側に座る刑事が、飽きれた声で言った。
当初、僕は兄貴たちから、口を割るなと指示されていた。
何も知らないと言い張っていれば、そのうち釈放される、と。