ベルリンのSuzukiさんへの返信、そして今回の件についての自分の考え。

はじめに

※このテキストはベルリンのSuzukiさんの『Re:KEIHINさん、そして他の人々へ』に対する返信になります。
各章に対応した形になりますので、事前にご一読下さい。

同時に自分が普段どんな考えを持っていて、今回の件に関してどの様に思っているかをまとめたテキストになりますので、賛否両論あるとは思いますが、多くの方に目を通して頂けると幸いです。



Suzukiさん滅茶苦茶時間かかって申し訳ありません。
note読み応えありました。

特にLabyrinth初期の話はある程度知っていたものの、実際に同時期に同じ様にパーティーを主催していたSuzukiさんのお話は文化アーカイブの観点からも貴重な話なのではないかと思います。
こういう話って水物であるパーティーの性質上、誰かが証言しないと無かった事になっちゃいますからね。

そして何より自分の返信にしっかり向き合った上でご自身の意見を書いて頂いてるのが分かる誠実な文章だとの印象を受けました。
正直Russ氏がこれを書いてくれてたらなと、、、

さて、これから自分の意見を述べさせて頂きます。なにぶんネットでの議論やnoteでのテキストの作成は不慣れななもので、読みにくさ等あるかも知れませんが、ご容赦下さい。

まずはじめに自分のジェンダー観とジェンダー問題に意識的になったきっかけと、スタンスについて説明させて頂きます。

自分のジェンダー観

Twitterにも書きましたが、まず前提として

“構造的に男性優位の社会で女性(ノンバイナリー含む※以下略)は様々な型に嵌められて抑圧されている”
"そして女性にとって男性は必然的に加害者の立場にある”

この2点に基づいた思想…って言うのは大袈裟な感じもしますが、考えを持っています。
勿論これ個人の話では無く社会構造的な話です。

とか偉そうに言ってますが、自分もジェンダーに関する問題にはっきり意識を向け出したのはここ数年の事で、きっかけは6年前に気付かされたちょっとした事件に遡ります。

“我々のシーン”の定義

自分が“ジェンダー問題に意識的になったきっかけ”は2016年の年末のFutureTerrorのラインナップで巻き起こったジェンダーバランスの議論でした。
そのテーマをお話する前にまず当パーティーと私の関係を話しておくべきかと思うのですが、詳細に説明すると滅茶苦茶長くなるので簡潔に言うと、主宰のDJ NOBUとは若い時は横の繋がりでDIYパーティーを開催したりしておりました。
そしてDJのスキルを切磋琢磨して来た仲間と言った所でしょうか。

その縁で、彼が主宰するFutureTerrorやそれ以外のパーティーに出演したり、自分も節目の大事なパーティーには出演して貰ったりしております。
因みにDJ NOBUとの交流を通して千葉のシーンと繋がりを持ち、今は千葉に移住してます。
余談ですが、私の妻はFutureTerror初期にサポートしていたスタッフの一人です。

勿論現在では彼はワールドワイドなDJで、一介のローカルDJである自分とは知名度も影響力も段違いですが。

そう言う事もあり、自分周辺の国内におけるアンダーグラウンドなダンスミュージックコミュニティといった感じのものが自分が考える“我々のシーン”といった所でしょうか。
勿論ハッキリした団体などでは無く、テクノやベースミュージックを中心としているものの、ジャンルもメンバーも流動的で、人によってシーンの捉え方も違うものですが。

ジェンダー問題に意識的になったきっかけ

前出したFutureTerror開催時に、ある女性アーティストがラインナップに男性アーティストしか居ない事に違を唱えました。
その日は3フロア使用して18人のアーティストが参加しているにも関わらず、女性アーティストは1人も居ませんでした。

個人的に現在では違和感を持ちますが、当時はこのラインナップは“我々のシーン”では当たり前だったのです。

ゼロ年代から私達はDJの実力第一主義のスタイルで、名前はあるけどスキルが無かったり、海外から来日して手抜きのプレイをしたりするDJや、盛り上げるだけでストーリーが作れないDJやパーティーに対してのカウンターとして自分達のアンダーグラウンドなパーティー、そしてそれぞれのDJプレイを展開しておりました。

私は2016年のFuture Terrorには出演していませんでしたが、DJ Nobuがステートメントの中でDJのクオリティが第一で男だろうと女だろうとノンバイナリーだろうとそこは関係無くブッキングしていたと説明していました。

初めにそのアーティストがラインナップに男性しか居ない事に対してはっきりと違和感を表明した時に、何を言ってるのか全く理解出来なかったです。

ただ、彼女がネットで批判や中傷に晒される中彼女が発した「男性中心の業界で、女性DJはスキルを上げたくとも、男性に比べてそもそも機会が少ない」といった内容の意見を聞いて、強い衝撃を受けました。

勿論当時から性差別的な感覚は一切持って居なかったですが、男女関係無くスキルのみで判断していた為、女性のDJは絶対数が少ないので技術力が高いDJが少ないんだろう(だから必然的にブッキングする機会も少ない)と思っていましたが、そもそも出演出来る機会が少ない事は一切考慮に入れて無かったです。

それをきっかけにジェンダー問題に目を向ける様になり、復帰後の自分が主宰するパーティーでも必ず女性のアクトをブッキングする様に心がけてきましたし我々のシーンは変化しました。

そうする事によって、徐々に女性DJが大きな舞台でプレイする機会も増え、素晴らしい技術を持った女性DJも増えて来ました。
つまり機会が向上する事によって女性DJ全体の質の向上に繋がって行ったのです。
要するに彼女が訴えた事は正しかったと証明された訳です。

正直、ある程度キャリアがある男性DJである自分が、今回の件でこれだけ食らってるので、当時の彼女が受けた心労は推して知るべしと言った所でしょうか。

ともあれ、このことから演者の質の担保と、ジェンダーバランスに意識的になる事は必ずしも相反しない事が分かると思います。

自分のフェミニストとしてのスタンス

と、ここまで書いて来てなんですが、自分はそこまで熱心なフェミニストではありません。

勿論社会において女性が不利益を被る局面や、ここは大事だなと思った時には声を上げますが、自分以外のパーティーにおいては、絶対数の少ない地方の箱や、DJバー、DJ2、3人で一晩廻すパーティーでも必ず男女のバランスを守れと訴えている訳ではありません。

パーティーの面子決める際には積極的に女性をブッキングの専攻対象に入れよう、集客人数が多くて、フロアが複数あるようなパーティーでは必ずジェンダーバランスを考慮したブッキングをしようと考えている位の感じです。(それも必ず半々にしろとまでは考えておりません)

さて、長くなりましたが、以上が自分のジェンダー観とジェンダー問題に意識的になったきっかけと、スタンスです。

以下返信

では、ここからSuzukiさんへの返信に入りますが、“パーティーの自由、意見の自由。”に関しては、Suzukiさんも概ね同意されているので、割愛します。
以下小見出し”●”が付いた章はベルリンのSuzukiさんのテキストの各章に対応した形での返信となります。

● “我々の”シーン?誰のため?

まず自分が考える“我々のシーン”は前項“我々のシーンの定義”にて説明しているので、省略します。

ここでの自分の発言の意図はKojiroさんとSuzukiさんが感じてる事と、私が日々感じている周辺でのジェンダーギャップ関連の話があまりにも噛み合わないので、所謂Kojiroさん廻りのトランスシーンと自分廻りのシーンでは状況が違うのかと思い、そこは分けて考えて欲しいとの思いから分けました。

自分が考えるシーンについては、前述した通りで、自分もテクノとUKベースミュージックを跨ぐDJですし、一緒にやる人々はそれこそトランスやドラムンベースやダンスホールのDJも全然居ます。

なので特にジャンルにおける選民思想なんてものがある訳では無いです。

勿論現在好きな音の傾向は違いますが、事実自分も90年代そこまでハッキリとジャンル分けが細分化されて居ない頃、ジオイドやスピークイージーでやってた所謂トランス(からテクノに以降した頃ですかね?)のパーティーにも遊びに行ってました。

それがあるからかどうか分かりませんが、自分の音を好きな人は、トランスから流れて来たテクノ好きのお客さんに多いと感じてます。

事実トランスのシーンをルーツに持つオーガナイザーのパーティーにも何度も出演してます。
なので、そこを選民思想的に分けるつもりなど、毛頭ありません。

Twitterでの自分にも紐付いたSuzukiさんとKojiroさんのやり取りとの中での断定的な文言と自分の真意が伝わらないもどかしさにイラついて慇懃無礼な口調になってしまった事はご指摘の通りかと思います。

それからLabyrinth(正確にはBalance+ですが)に関して自分達のシーンと一緒くたにしたのは確かに乱暴だったかなと。

ただ、(Suzukiさんが出演したとされる初期の頃は分かりませんが)国内シーンには目を向けず、海外のアーティストがメインだったLabyrinthと違い、コロナ禍において、海外アーティストの来日が難しくなった為、(名義を変えて)国内シーンからアーティストをチョイスし、結果自分の友人達が多数出演する事になった今回のBalance +を凄く近く感じた事は事実です。

そこで、恐らく彼の審美眼にかなうであろう女性アーティストが多数存在する中で、今回男性アーティストのみになる事に疑問を持ちました。

勿論誰をチョイスしようが彼の勝手だと思いますし、そもそもジェンダーバランスなど糞喰らえだと思ってるであろう彼には馬耳東風だとは思いますが。

● 女性DJの進出について

確かにSuzukiさんは女性はテクノロジーに疎いなんて一言も言ってませんよね。
夜中に書いたもので、若干判断力が鈍っておりました。

これ翌日見返した時、ここはおかしな事書いたなと思って訂正して謝罪しております。

ここで自分が言いたかった事は、果たして過去DJをやりたかった女性は本当に少なかったのだろうかと言う事です。

女性DJ自体の絶対数が少なかった時代にMayuriさんやDJ KAORIさんが活躍出来てたんだから、疎外されていた訳では無いってのは本当でしょうか?
ディスコ時代から男性中心社会であるこのシーンで女性DJとしてやりたかったが、断念した人はどの位いたのでしょうか?

実数は分かりませんが、現代における女性DJの人数を考えると潜在的には多かったと考えるのが自然かと。

これこそが性差による機会の不均衡だと自分は考えます。

少なくとも自分に近いシーンでは、既に女性DJが増えていたと思われる2016年末も男性中心でシーンが形成されていたのです。

●問題を社会的に解決する手段とは?

さて、この論に関してははっきりと異論があります。

Suzukiさんがこの章で仰りたい事は、“世の中を良くしたい気持ちは良く分かるが、過激な手段を取らずに問題を解決する事は出来ないのか”という事だと思います。

まず、今回の自分の行動、Twitterを時系列で見て頂ければ分かりますが、まず5月14日にこのツイート

を投稿してから、翌日補足的にツリーにある投稿をしました。

見て頂ければ分かる通り、これはあくまで自分の考えの表明に過ぎません。

勿論見る人によってはbalance+の件だなって余裕で分かるとは思いますが、直接名指ししてる訳ではありませんし、煽りリプや、ハッシュタグ付けて抗議を呼びかけてる訳ではありませんし、憶測だけで中傷したり、更に言えば会場に怒鳴り込んだりしてるなんて事もありません。

これは過激な行動ですかね?

自分の今回の声を上げる際の考えとしては、

“当事者である若い世代の女性DJから疑問の声が上がってる中、ある程度キャリアと発言力がある男性DJがしっかり問題について声を上げるべきだが、正直友人も複数出ていて、アートとしてもレベルの高いパーティーを中止にまで追い込む様な抗議はしたくない”

といったアンビバレントかつ複雑な思いから、ハッシュタグで煽らず、名指しをせずにあくまで自分の意見を自分のタイムラインに書き込むに止めました。
(その後突然向こうから絡んで来たラス氏のあまりに無礼かつ断定的、こちらの質問ははぐらかす挑発的なツイートに思わず熱くなって、問い詰める様な感じになってしまいましたが笑)

つまりプロテストとしては非常に弱火な訳です。

更にはキャリアがそこそこ長い分、自分廻りのシーンではある程度影響力もあるかと思いますが、自分のフォロワー数、知名度等を考えても、所謂犬笛になる程の影響力があるとは思えないんですよね。

にも関わらず多くの意見が噴出して、正直自分はそこまで確認出来ておりませんが、炎上?したとすれば、それだけ多くの人が同じ様な意見を持っていたという事じゃないでしょうか。

“解決しないから過激な手段を取る、という手法は我慢が足りない”
“過激派左翼と根っこは一緒”

とSuzukiさんは仰いますが、仮にボイコットが過激な手段であると仮定した場合、(自分は全くそうは思いませんが)白人に席を譲るのを拒んだ為逮捕された『モンゴメリー•バス•ボイコット事件』のローザ•パークスや、近年では選手のメンタルヘルスの安全を訴える為、記者会見をボイコットした大坂なおみも過激派左翼と根は一緒ですかね?

彼女達は充分我慢したと思います。

当たり前ですが、自分もSuzukiさんと同じく、暴力に訴えて自説を押し付ける様な手法には断固反対です。
ただ、非暴力や倫理的に許される範囲での耳目を集めるアクションは支持します。

前項“ジェンダー問題に意識的になったきっかけ“で女性アーティストが訴えた事も、彼女がパーティー開催前にはっきり名指しで自分の意見を表明したことで、大きな問題提起となり得たのです。
彼女のやり方は当時も賛否両論ありましたが、結果自分も衝撃を受けて、以後考えを改める様になったのです。

勿論Suzukiさんのおっしゃる通り、穏やかな方法でお互いが幸せになれる方法があればそれに越した事はありませんが、女性が男性に抑圧されて来た歴史はあまりにも長いです。

怒りの声にはそれなりの理由があるんです。

●機会の平等と、数の平等について

ここでSuzukiさんが主張している、“数の平等より機会の平等を”に関してですが、この項、正直一概に男女の数の問題というよりは各国の社会構造であるとか、ドイツの公共インフラの問題、アメリカ各州の人種間格差の問題も含まれているので、自分にその辺を語るには知識が無いのと、このケースでは出典の無い情報を元に議論を戦わせる事はどうなのかって所もあり、更に疑問に思う箇所を指摘したり議論を戦わせる事は当初の目的から外れるので割愛します。

この章は自説の理解への一助としてSuzukiさんが出した例だとは理解出来ますが、ここではあくまで、ディスコ時代から男性中心で運営されてきたDJカルチャーの中で、数の部分で増えている(であろう)女性DJが未だにブッキングに食い込めない問題に絞らせて頂きます。

この章においてのSuzukiさんの発言”機会は平等であるべき”という部分には勿論賛成です。
ただし、Suzukiさんとは解釈が違います。

●機会の平等は、当然のこと。数は結果としてついてくる

まず前項“ジェンダー問題に意識的になったきっかけ”を参照して頂ければご理解頂けると思いますが、自分にとって機会の提供は 「男性中心の業界で、女性DJはスキルを上げたくとも、男性に比べてそもそも機会が少ない」 と言った考えに基づいており、この“機会”はブッキングされて現場でプレイする機会を指しており、Suzukiさんが仰る通り“積極的に専攻対象に入れる”のは勿論、ブッキングまでを含めての事です。

当たり前ですが、スキルが著しく低いDJをブッキングしようと言ってる訳では無く、選考する段階でDJとしてのスキル、オリジナリティを考慮して選考します。
女性DJの人数、クオリティ共に上がっている2022年現在において、女性DJを最終的にブッキングするのは、そう難しい話では無い筈です。

勿論ジェンダー関係無く選考するのがベストであると考えますが、まだ社会的に不均衡があると考える現在においては、女性DJを積極的に考慮に入れて考え、少なくとも多人数が出演するパーティーで女性ゼロなんて事は、ジェンダー平等の観点から無くして行こうよって事です。
更に多くの女性DJがメインフロアの大事な時間に最高のプレイをする事によって、エンパワーメントになるとも考えます。

Suzukiさんが仰る“積極的に検討対象に入れることを確約する”のは選考がオーガナイザーの自主性に委ねられているパーティーやフェスティバルでは透明性が保てないので、現実問題難しいかと思います。

なので、ブッキングまでを機会とするのがフェアであると考えます。

しかし、Russ氏の性格上それも難しいのはSuzukiさんの説明で理解出来ました。
で、あれば(お前が言うなって言われるかも知れませんが)上がった疑問の声に応えるべく、理由を説明する事位は出来たのでは無いでしょうか?

少なくとも自分のパーティーの出演者を守る為に。

● 自分で金出してやれ、について

一応自分もこの世界長く居ますし、友人のLabyrinth出演者や、野外パーティーオーガナイザーも多数居るので、今回のパーティーも1千万は余裕でかかってるだろうなって事位は見当が付きます。
さらに普段のLabyrinthはその数倍はかかってるだろう事も。
しかも完璧主義の為、予定していた予算をオーバーする事も噂話のレベルですが、聞いております。
予算も現在法人ではありますが、ほぼ彼の個人的な資産から出してるんだろうなって事も想像が付きます。

だからって訳じゃないですが、前項“問題を社会的に解決する手段とは?”で述べた通り一定の敬意を払い、名指しせずにギリギリ自分の意見を表明するに止めました。

この項でSuzukiさんが言いたい事は、かつて同じ時代に自腹を切ってギリギリの博打を打つ様なパーティーを、ライバルとして共にサバイブしてきた戦友として、どうか20年自分の信じる事を愚直に貫いて世界に認められた彼に敬意を表して、パーティーの邪魔はしないで貰えないか?って事だと思います。

勿論その気持ちは凄く良く分かります。

自分も若い頃から苦楽を共にした友人がその苦労も分からない様な奴に訳の分からない事をゴチャゴチャ言われてたら同じ様に思うかもしれません。
ただ、どういう事が言いたいのか、知ろうとする努力はすると思います。
そして、その件に関して自分がどう思っているかの表明も。

自分はこの多様な社会に生きる上で意見を表明する事、そして受け止める事は大事な事だと考えます。

そして自分の本分は市民活動では無く(育児休止中ではあるものの)DJであり、オーガナイザーであり、レーベルオーナーです。
勿論Labyrinthほどの評価は得られてはおりませんが、自分の信じるスタイルをずっと磨き、貫き、アップデートして世に問う事は20年以上続けております。
自分にとってパーティーやDJや楽曲制作をする目的は自分の考え、アイディア、美意識を表現してオーディエンスと時間、空間を共有し、喜怒哀楽、そして言葉では表現できない感覚をシェアする為です。

Suzukiさんは社会正義を突き詰めるパーティーを自分でやれば良いのではと仰いますが、前項“機会の平等と、数の平等について”で述べた通り自分にとってそれは目的では無く前提です。

完璧な社会正義(ジェンダーフェアネス)を達成する”目的”でパーティーやDJを続けてる訳ではありません。

勿論社会的には最終的に完全に公平な世の中になるべく日々の生活でアンテナ張り、自分の出来る範囲で行動して行きますが、パーティーでそれはあくまで前提です。

個人的には出演者のクオリティと意識的にジェンダーバランスを考慮して選考しますが、休止前の自分主宰のパーティーではそんな事も考える前に自然に女性アーティストをチョイスするのが多くなりました。
とは言え、まだ男性アーティストの方が多く浮かぶのは事実ではありますが。

自分の今回の行動の真意としては、勿論自分の思想に基づいた自発的な意見であるのは大前提ですが、若手や中堅の女性DJがリスクがあるにも関わらず止むに止まれず声を上げてるのに、果たして自分世代の男性DJが何も言わないで良いのだろうかって部分も大きいです。

例えばDJカルチャー全体を大きな会社に例えたら、会社入ったばかりの新入社員や、中堅社員がおかしいと思った事に声を上げたのに、会社で発言力のある管理職や役員が全員ダンマリ決め込んでたら、どう思いますかね?
で、その子がやり玉に上げられてるのを静観して、事が終わった後に小声でアレはどうかと思うなんて言い出したらどう思いますか?
そんな会社で夢持てますか?

個人的にこれは自分達の世代の義務でもあると思います。

さいごに

凄く時間かかった上に滅茶苦茶長くなってしまい、申し訳ありません。

今回のSuzukiさんのテキストや直接のTwitterでのやり取り、直接彼を知ってる人との話でまず理解が深まったのが、Russ氏のパーソナリティです。

Russ氏について

自分のパーティーのクオリティを何よりも優先する完璧主義者で、良くも悪くもクオリティの前にはジェンダー関係無いと考えているであろう事は良く分かりました。
だからといって、問題提議されたら、Copと断定したり、Fワード混じりのツイートで相手を罵倒するのは流石にやり過ぎじゃないかと思います。

それからお前が言うなって言われるのは重々承知の上ですが、今回の炎上?で彼がステートメントを出さなかったのは残念でなりません。
勿論今回この様なブッキングになったのにはそれなりの理由があったと思います。
少なくとも“絆で結ばれたファミリー”である出演者を守る為にもその理由をパーティー前に公式にアナウンスするべきでは無かったかと。

これから先、同様の事態が発生した際、彼が今回と同様の対応をすればますます信用を失うのではないかと危惧します。
今回自分の弱火のプロテストで炎上したとしたなら、それは多くの人が同様の意見を持っていると言う事です。
もう世の中の潮目は変わりつつあると思います。

これから先彼がスタッフの意見や、世の中の意見に耳を貸し、正面から向き合う事を願っております。

自分のこと

自分に関しても、ある程度覚悟はしてましたが今回の行動で、まぁまぁダメージを食らいました。
勿論もう行くつもりも毛頭無いですがLabyrinthには今後行けなくなりましたし、恐らく今回の行動についたイメージで、DJ復帰後の自分のブッキングにも影響するかなと思います。
正直かなりの人の恨みや反発を買ったのはエアリプやらDMでのご意見やらでビンビン感じております。
この辺は自分がやったことの代償として受け容れて行きます。
まぁ、これ位の事で懲りる人間じゃないので、引き続きおかしいなと思った事には声を上げて行きますが笑

その反面、賛同や感謝の声や、大きな声では言えないが応援してますって声も多く頂きました。
それだけでもやった意味はあったかなと。

自分もSuzukiさんと同様“多様性”を重んじておりますが、不寛容や不公平にまで寛容にはなれません。

Russ氏にはCop.と断定されてしまいましたが、自分は常に人のパーティーが正しく運営されてるかパトロールしてる訳では無いですし笑、現在自分がDJ休業中である事もあり、噂話レベルの事は伝わって来ますが、そこまでシーンの内情に通じている訳でもありません。
ですが、これからも自分なりに意見は発信して行きます。

と、色々好き勝手自説を展開した癖に一方的で恐縮ですが、今回の件に関してのコメントは、このテキストで最後とさせていただきます。

現在自分は娘の誕生に伴いDJを休業している位なので、ご想像は付くかと思いますが、仕事、家事、子供二人の育児と、物理的に時間が無いです。
今回の件でもかなりギリギリでしたが、これ以上続けると、確実に家族に迷惑がかかります。
更に自分にとって大事な読書の時間が削られ、クソ面白い『ザ・コーポレーション キューバ・マフィア全史』を読むのも中断せざるを得ず、ジムにも行けない事で折角100kg上がる様になったチェストプレスを95kgに落とさざるを得なくなるのを考えると辛いです笑

しかしながら、今回Suzukiさんを始め、多くの方と違う意見を交わしながら自分の考え、行動の真意と向き合い、考える事で新しい学びを得た事は得難い機会だったと感じます。

自分がやった事に後悔はしておりませんが、Twitterで言葉の応酬になると、すぐ熱くなるのは反省してます。

諸事情で言えない理由もありますが、言葉も無駄に強くなってしまったかなと。

この度は拙い自分の文章にお付き合い頂き、誠にありがとうございます。

最後に自分なんかより、遥かに示唆に富んだWAIFUさんの今回の件に関してのテキストと

トーンポリシングに関してのテキスト

を貼っておきますので、まだ未見の方は是非ご参照ください!

相変わらず世界は不条理でアンフェアですが、少しでも皆が公平に楽しく遊べる日が来る事を祈っております。

KEIHIN拝

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