Worlds調整記【レジェンドオブルーンテラ】
こんにちは、こんばんは、keihです。レジェンドオブルーンテラ(LoR)の世界大会であるWorld championship(Worlds)に出場しました。
結果は残念ながら初日に2勝4敗で惨敗。ただ、調整は日本のWorlds参加者と協力して取り組むことができて楽しかったです。来年は出れるかわかりませんがまた頑張ります。
今回は、Worlds権利確定からWorlds当日までの調整内容をまとめました。今後Worldsや大規模大会に参加する人の参考になれば幸いです。また、なるべく特定のカードに依存しない形で書いていますので、LoRを知らない人にも楽しんでもらえると嬉しいです。
権利獲得までの記録は以下の記事にまとめているので、興味のある方はこちらもどうぞ!
前提
LoRのトーナメントシーンでは、基本的に3デッキ持ち込んで互いに見せあい、1デッキBANして残りの2デッキで先に2勝したほうが勝ちというルールが採用されています。Worldsも同様のルールでした。
今回のWorldsは大会方式も少し特殊であり、初日に7回戦のスイスドローで64人から上位16人に絞り、2日目、3日目は上位16人でのダブルエリミネーション方式のトーナメントが開催されました。
つまり、「初日は4勝以上が必須、2日目以降のトーナメントは1度だけ負けられるけど基本はすべて勝つ必要がある」というものです。
また、Worlds参加者は、大会2週間前からEarly Accessで新カードに触ることができ、1週間前には正式リリースされ、大会の48時間前にデッキ提出することになっていました。
デッキ提出の時間は、とあるカードの緊急調整があったために24時間遅れましたが、基本的には来年も48時間前には提出だろうなと思っています。
まとめると、「2週間で世界トップクラスのプレイヤーに勝てる3デッキとBAN戦略、プレイングを用意しなさい」ということになります。
大会2週間前【Early Access期間】
2週間1人で調整して、確実に勝てる3デッキを用意できるのかという問題があるのですが、それ以上に大きな問題がありました。Early Accessのアカウントがプレイヤーのみにしか配られなかったのです。
去年まではプレイヤーと練習相手の2人分のアカウントが用意されていたので、Early Access期間に練習することができたのですが、今年はそれができない状況でした。運営もスクリム用のDiscordチャンネルを用意してくれたりしましたが、そもそもライバルと対戦して手の内を明かしたいと思う人がいないため、あまり活用されていなかったです。
そんな中、日本人のWorlds進出者4名で徒党を組んで一緒にプレイできたのはかなり良かったです。特にEarly Access期間は統計データも利用できず、自分たちでカードやデッキの強さを調べる必要がありました。
第1段階として、セトカルマやジャックスオーンなどの既存の強いデッキと新カードを使ったデッキ、例えばカリスタモルデカイザーやエルダードラゴンMTなどを戦わせて、デッキの強さや対応力を調べたところ、とんでもないパワーカードが見つかります。《世界の甲羅 ヘイショー》です。
このカードに書いてあることだけ読むとわかりにくいですが、次のラウンド開始時に効果が発動し始めるわけではなく、召喚後、次に使うカードから9コスト減少し、実質0マナで出すことができます。また、何故か除去されても9コスト減少が残る上に、スペルシールド(1回相手のスペルを無効化できる)も持っており、除去もされづらい性能でした。
Early Access期間に、ヘイショーヘの対応を色々考えたところ、このカードを出される前に殴り切るしか無く、明確な対策がないという結論になりました。他の3人のメンバーがどう思っていたかわかりませんが、この期間はヘイショーデッキを3つ用意することしか考えられないくらいには強いと思っていました。
その頃考えていたデッキは、フレヨルドのランプ型エルダードラゴン、アイオニアターゴンモルガナ、フレヨルドセトカルマ辺りでした。
大会1週間前【正式リリース後~緊急調整まで】
ヘイショーがやばいなあと考えているうちにEarly Access期間が過ぎていき、正式リリースされた頃、やはり最初は10マナで強そうに見えるチャンピオン《エルダードラゴン》が流行っていました。それと同時に、ヘイショーの強さが世界に知れ渡りました。
環境初期にランプ型のエルダードラゴンが使われる中で、やはりヘイショーも活躍します。6ラウンド目までに3回マナ加速を打つことで、ヘイショーを6ラウンド目に着地させ、ヘイショーから2体目のヘイショーが出てきたり、ボリベアやエルダードラゴンで盤面を破壊したりできます。
その結果、環境からミッドレンジ、コントロールのデッキが全て駆逐され、アグロかエルダードラゴンかという状況になりました。6ラウンド目までにゲームを決められないデッキは「遅すぎる」ということです。
この状況に、運営もやばいと感じたのか、《世界の甲羅 ヘイショー》が緊急調整されました。デッキ提出の3日前です。繰り返しになりますが、デッキ提出の3日前でした。
元々何故か除去されても9マナ減少が残るバグがあったため、そこは修正されてもおかしくないと思っていましたが、バランス調整として10マナ、スペルシールド削除となりました。これにより、ヘイショーからヘイショーを出すには1マナ必要になり、ヘイショーが着地したラウンドにまくり切るのが難しくなりました。
バランス調整の影響を考慮して、デッキ提出は1日後ろ倒しになったのがせめてもの救いです。1日無かったら構築を全然考えきれてなかった。ただ、事実として、他のプレイヤーも同じ状況ですが、約1週間半の調整がほぼ無に帰したのは辛かったです。
大会直前【緊急調整~デッキ登録まで】
そんなわけで、ここからデッキ提出までの4日間が本当の調整期間でした。ランプデッキが潰していたミッドレンジからコントロールのデッキは、ヘイショーの調整後にかなり頭角を現していたと思います。
特に強かったのが、BCエルドラとDEモルデカイザー、そしてPZセトカルマです。
この3デッキは、Worldsに参加した半数以上のプレイヤーが強いと考えていたようで、実際の持ち込みもこの構成がかなり多かったです。デッキ提出の2日前にはBCエルドラとDEモルデカイザーの使用率が爆増しており、この2デッキの持ち込みは予想できました。
セトカルマはランク戦での使用率はそれほどでしたが、Worldsに出場するようなプレイヤーが好むデッキタイプなのは確かで、BCエルドラ、DEモルデカイザーには劣るものの持ち込みは多いだろうと考えました。
一方で、BCエルドラはより大きな盤面を構築しやすいランプ型のエルダードラゴンが厳しく、セトカルマにも水底の聖堂を置かれるとリソース負けします。
DEモルデカイザーもモルデカイザーより大きいユニットがたくさん並ぶと対処しきれない事が多く、せっかく呪いを与えても水底の聖堂で戻されると意味がなくなるということがありました。また、どちらのデッキも勝利までにある程度時間がかかるため、特定の時間になったら勝てるデッキや時間制限を与えられるデッキは厳しめであると感じました。
つまり、BCエルドラとDEモルデカイザーは、セトカルマに不利であり、同じように特定の時間になったら大体勝ちのデッキを用意すればいいのではないかと考えました。
実際の持ち込みと結果
この考えのもと、私の持ち込みはセトカルマ、SHマオカイ、MTエルドラの3デッキを選択しました。これらのデッキはどれも特定の時間帯になったら大体勝てるという共通点があります。
セトカルマは10マナまで到達したら勝ち、SHマオカイは大体8ラウンド目辺りにマオカイがレベルアップして勝ち、MTエルドラは8,9ラウンド目に龍の時代を打って勝ち、という具合です。
リストとデッキの特徴を簡単に紹介します。
まずはセトカルマ、5ラウンド目に聖堂を着地できればターゲットのデッキには勝てるため、聖堂は3枚です。さらに、ランドマーク破壊に対抗するため、ダメダメ!も3枚です。
他はあまり特徴はないですが、セトカルマはBANするつもりだったので、ミラーに強いアフターショックを減らし、DEモルデカイザーに使いやすいロケット弾幕を増やしました。
マオカイ自体は最近かなり強くなってきたチャンピオンの1人だと考えていましたが、今季はモルデカイザーや死の呪縛の追加により強化がありました。
断頭の軍団兵によりマオカイにデスレスを付与することで、序盤に置いたマオカイが倒されにくくなり、そのままレベルアップまで行けることも多いです。
シュリーマと組み合わせることで、先見で水面の墓穴を探しやすくなり、3枚ともトスされる事故を減らせます。また、懲罰の光でどうしようもない状況を更地にできるのも良かったです。
エルダードラゴンのデッキは、ドラゴン軸にしていないことが多いですが、このデッキは龍の時代で勝つため完全なドラゴンデッキです。
BCエルドラ、DEモルデカイザーともにある程度盤面を広げて勝つデッキで、全体除去が入っていないことが多いため、8ラウンド目の崩れ落つ天穹や9ラウンド目の龍の時代で盤面をひっくり返して勝ちます。
中盤に強くするため、熾天のワイバーンやソラリのサンホークを3枚ずつ入れていますが、8ラウンド目に天穹を打てば勝つので、サンホークは1枚天穹にしても良かったと思います。
これらのデッキを持ち込み、結果は冒頭に示した通り2勝4敗でした。7戦目は相手がドロップしたため対戦していません。
全プレイヤーの持ち込みは、予想通りBCエルドラ、DEモルデカイザー、セトカルマが多かったのに、初日で敗退してしまったのはかなり悔しいです。
多少マオカイの回りが悪かったり、セトカルマを上手く使いこなせなかったりしましたが、終わってみれば運が良くても5勝くらいが関の山だったんじゃないかと思います。
何がだめだったか?
相性が覆るカード・使い方を考慮できなかった
まず第一に、多いと予想したBCエルドラに《早起き鳥》が3枚採用されていることが増えていました。
MTエルドラは、龍の時代や崩れ落つ天穹を打てればBCエルドラに高確率で勝てるのですが、早起き鳥で手札の龍の時代を落とされる可能性が思ったより高かったです。このカードはそもそも採用されないことが多いと考えてしまったのがまず第1の原因です。
また、DEモルデカイザーのメイジ狩りの審問官が想像の3倍位強かったです。特に、メイジ狩りの審問官にデスレス(死亡時体力1で復活する効果)を付与され、モルデカイザーで復活される動きが異常に強く、これをされるとセトカルマでも対抗しきれないことがありました。
この動きはMTエルドラでより顕著にきつく、7ラウンド目にオットラーニ族の龍信者でマナ加速して8ラウンド目に龍の時代を打ちたいところに、モルデカイザーに呪いを増やされると龍の時代が打てずにそのまま負けるパターンが思った以上に発生してしまいました。
この辺りの相性が変わりうるカードの採用・使い方を考慮しきれなかったのは明確に良くなかったです。
BO3形式での練習をしていなかった
今回はガントレット(BO3で遊べるコンテンツ)が開催されていなかったため、ランク戦でデッキの調整をしていました。LoRにおけるランク戦とBO3の大きな違いは、1戦ごとに時間制限があるということです。
SHマオカイとMTエルドラは時間が足りなくなることはないデッキなので、ランク戦で調整することで全く問題なかったのですが、問題はセトカルマでした。
BO3の時間制限のルールとして、タイマーが0になると1手番を20秒以内でプレイしないといけなくなります。セトカルマは聖堂を置いていると毎ラウンド手札が入れ替わるので、毎回最適な選択肢を20秒以内に取るのが大変でした。
この辺りはBO3で事前に練習し、序盤に時間を使わないようにするといった対処法を学んでおくべきでした。
開催時間ヘの調整を甘く見ていた
今回始めてWorldsに参加することになったわけですが、開始が0時からということで前日から休みを取り、昼の14時位から22時くらいまで寝て調整しました。
しかし、14時にいきなり寝ても全く眠くなく、横になってはいましたが、あまりきちんと寝れなかったです。これもあり後半は眠い目をこすりながらプレイしていました。
一番眠かったのは4戦目から6戦目辺りで、この時間はミスしまくりでひどかったです。セトカルマは開催時間の意味でも強く使いにくいデッキだったと思います。
簡単なはずのMTエルドラですら、長引いてミスしていたので、大会の時間に合わせた調整を2,3日前から始めるのが理想だと感じました。
次回があるなら
今回かなり残念な結果となりましたが、個人的な学びは多かったです。
これだけカードプールが増えたLoRでは、メタ構成を組めたと思っても相性が覆りうるカードはいくつかあり、そういったカードが採用される可能性は考慮すべきです。
また、今回は一緒に調整してくれるメンバーが多くいたので、BO3形式での練習もしておくべきでした。もちろん、緊急調整の影響でそんなことしてる時間が取りにくかったのはありますが、1,2回対戦してみるだけでセトカルマを握るリスクには気づけたと思います。
開催時間の問題は、正直仕事との兼ね合いもあるのでどうしようもなかったと思いますが、何日もかけて少しずつ調整していくようにしたいですね。
次のWorldsに限らず、BO3形式の大会には今後も参加する機会があると思いますが、おそらくコントロールは握らずビートダウン方面の構成を握っている気がします。
今回優勝されたTALPINATOR選手もビートダウン寄りの構成を持ち込んでいましたね。持ち込みの方向性としては、コントロールよりもビートダウン寄りの方がBO3では強いなあと感じました。
終わりに
今回、一緒にWorldsに出場した日本人の3名以外にも一緒に調整してくれたメンバーが多くおり、この場を借りて感謝したいです。ありがとうございました。
Worldsには負けてしまいましたが、調整期間自体は非常に楽しいものでした。やはり同じくらいのモチベーションで遊んでいる人が集まって遊ぶゲームは良いですね。
また来年もWorldsに出場できるように頑張りますので、応援よろしくお願いいたします。
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