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クインティ

 『クインティ』というファミコンゲームがある。先日発売された『ナムコットコレクション』にも収録されているアクションゲームだ。もっとも、ゲームデザイナーの田尻智率いるゲームフリークの作品と言うことで言うまでもなく有名なゲームかもしれない。

 ファミコンを持っていた当時も、『クインティ』は勝って遊んでいたのだが、ここ数日『ナムコットコレクション』でもプレイしていて、いろいろ当時のプレイ感というか、遊んだ記憶がよみがえってきた。

 『クインティ』は、床板をめくって敵を飛ばして倒すというのが、アクションゲームとして新しい要素だった。それが売りだったのだが、敵の動きがどれもいやらしく、意地の悪い動きをしてくる。プレイヤーを有利にするアイテムは、そのどれもが床に隠されていて、とにかく床をめくらないと出現しない。すべてのアイテムが隠しキャラと言ってもいい。もたもたとプレイしていると、あっという間に時間切れになって、敵キャラが猛スピードで襲いかかってくる。こうなると、もう床をめくっている場合ではない。逃げるだけで精一杯だ。

 それでも遊びまくって、各ステージのアイテムの場所を覚えれば、効率よくパワーアップを取得して、素早く敵キャラを倒し、時間切れになる前にステージをクリアできる。プレイヤーを1UPさせる星アイテムも、場所を知ってたくさん取れば、プレイヤーが増えるだけでなく、足の速さもアップして敵からも逃げやすくなる。とにかく、覚えながら進まなければならないゲームなのだ。しかし、ファミコンを持っていた当時は、こんな難しいゲームだった『クインティ』だが、何回も繰り返しプレイして、なんとかクリアした。

 久々に『クインティ』をプレイして、そんな当時の感覚がすべてよみがえってきた。いつの間にか名作として名をあげていた『クインティ』。みんな、その実態がこんなに難易度の高いゲームだと知っているのだろうか。みんな、このゲームをクリアしたのだろうか。

 確かに完成度の高いゲームである『クインティ』だが、その難易度の高さを考えると、僕はあまり素直に人にこのゲームを勧められない。決して悪く言うつもりではないのだが、みんな当時このゲームを楽しく遊んでいたのか疑問に思ってしまうのは事実だ。

 さらに言えば、『クインティ』にはご丁寧に、裏面とも言うべきEXTRAなるゲームモードも用意されている。そこまできっちり遊んだ人はいったいどれだけいるのだろう。本当に難しい。

 しかし、今回『ナムコットコレクション』に収録された『クインティ』は、当然途中セーブや、巻き戻し機能が使える。もしかしたら、これなら少しは楽しく遊べるのかもしれない。そんなことを思いながら、ちょっとずつ、ちょっとずつセーブをしながら、今また『クインティ』をクリアに向けて進めている。もしかしたら、昔とは少し違う感想が持てるのかもしれない。それでも苦しいゲームだ……


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