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【SF】2025オールタイム・ベストSF応募(国内編)

過去何回か募集されて、発表を見て自分が次に読む作品の参考にしたりしていましたが、今回は応募もしてみました。
まずは国内編ですが、引き出しが少なくて苦しみました。

国内長篇ベスト5
1.『家畜人ヤプー』沼正三
2. 『帝都物語』荒俣宏
3.『・・・・・絶句』新井素子
4. 『虐殺器官』伊藤計劃
5.『ハイドゥナン』藤崎 慎吾

何か色物っぽいラインナップという気がしますが……
3位は小学生時代、2位は中学時代、1位は高校時代のそれぞれフェイバリットという感じです。
小6の時書店でみた『・・・・・絶句』のあの、吾妻ひでおの表紙が放つ強烈な魅力は忘れられません。
後年ラジオドラマも作られて聴きました。
『帝都物語』は東京グランギニョルの芝居のレビューをスターログ誌で読んで、最初に出ていたカドカワノベルス版の丸尾末広のイラストに惹かれましたね。
『家畜人ヤプー』は何かと話題になることが多くて、最初に石森章太郎の劇画版を読んで、そのあと角川文庫で読破、もちろん完結編も読みました(月蝕歌劇団の舞台が見たかった……)。
4位はまあ、読んでたら入れる人多いよねっていう国内SFの名作。
5位『ハイドゥナン』は、似たようなアイディアのドイツSF『深海のyrr』と同時期に読んで、やはり日本のSFはスケールが大きくても緻密かつ繊細でいいわって思ったのが大きいです。

他にリストしてたのは

『日本沈没』小松左京 
『宝石泥棒』山田正紀 
『エイダ』山田正紀 
『ハイブリッド・チャイルド』大原まり子 
『愛と幻想のファシズム』村上龍
『コインロッカー・ベイビーズ』村上龍

と、ちゃんとしたのも読んでるんです(家畜人ヤプーはちゃんとしてないのかと思われるかもしれませんが、あれはちゃんとしてないSF小説なのにたいていのSFより面白いという異常傑作です)。
でも好き度合いでベスト5を決めたのでした。
村上龍は、SFかどうかというのは微妙ですが、どちらも一種の近未来もので、その面白さはSF的だったと思います。

国内短篇ベスト5
1.「魚舟・獣舟」上田早夕里
2.「顔面崩壊」筒井康隆
3.「トーチカ」筒井康隆
4.「邪眼(イーヴル・アイズ)」柾悟郎
5.「おれはミサイル」秋山瑞人

これが一番苦しかった。
SFマガジンでちょこちょこ読んでるので累積すれば結構あるはずですが、タイトルと内容が印象的な作品だとこれらになります。
1位はまあスタンダードですが(内容はエグめですが)、筒井康隆の2篇なんかも色物っぽいかなー。
「顔面崩壊」が収められている「宇宙衛生博覧会」としたくもあったのですが短編集だとだめっぽかったので、その中でも特に面白くて、グロテスクさにクラクラした「顔面崩壊」にしました。
でも3位と4位には、サイバーパンクという共通点があるんですよ。
「トーチカ」はサイバーパンク以前のサイバーパンク的小説のひとつでした。

ほかにリストしたのがこれだけ……

「関節話法」筒井康隆
「エロチック街道」筒井康隆
「問題外科」筒井康隆

「結局、宇宙衛生博覧会ばっかりじゃねーか!」とツッコまれますね。
宇宙衛生博覧会、高校生の時に読んだから強烈だったんですよね。
直後に星新一を読もうとしたら読めなくて、激辛料理で舌が麻痺したんだなと思いました。
あと今思うと、純文学系とされる「東京都同情塔」あたり入れるのもアリだったかも。

国内作家ベスト5
1. 筒井康隆
2. 新井素子
3. 村上龍
4. 山田正紀
5. 小松左京

これらの作家があがるのは、ここまでの説明をご覧になればわかると思います。
新井素子は中学時代にコバルト文庫のは軒並み読んだのですが、そのあと読まなくなってしまい、日本を代表するSF作家になったので読むべきだなって思ってます。
もちろん、上にあげた好きな作品を書いた作家は挙げてもいいのですが、1作しか読んでなかったりするので好きな作家というのとは違うかなあと。
沼正三とか、別名義(沼聖子)の『新・創世記―地球を制覇する女神たち』というのがあるのですが、読んでみたらつまらなくてビックリしちゃったし。
あとはSFマガジンに載ると読むことが多い草上仁とかはどうなんだろう……とくべつ好きな作家だと思ったことはない一方で、読めば面白いという信頼感はあるので、ベスト5に入れるべきだったのかもしれません。

こんな調子ですが、日本のSF小説が世界トップクラスの水準にあることは理解しています。
(沼聖子は別にして)日本SFでハズレ作品を読んだことがないという感覚です。
海外作品は翻訳に値すると評価されたものだけが入ってくるのに対し、SFマガジン掲載作品なんて完全な初出ですから、もっと玉石混交でもおかしくないのに玉ばかりです。

ちなみにSFファン以外の人におすすめできる小説は、上記の中だと『虐殺器官』『ハイドゥナン』あたりかなと思います。
特に『ハイドゥナン』は、『日本沈没』めいた巨大ディザスターものでありながら時空を超えた恋愛もあり、伝奇小説の要素もありで、読む人それぞれに楽しむところが見つけられる堂々たる娯楽作でした。
文庫4冊と長いですが、非常に楽しめます。

ということで、次回は海外編です。

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