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「おーい」で世界を救える話。

家族を持ったことによって、子供についてのニュースがよくとまるようになった。

嬉しい、楽しい、ハッピーな気持ちになるものから、その全く逆のベクトルに向いたものまで、世の中には多様なニュースが溢れてる。



逆の方のことなんて、なんでこんなことが起きてしまうんだろうかと、心にポッカリ穴が空いたむなしい気持ちと痛くて悲しい気持ちになる。けど、加害者がいつでもわるいかというとそうでもない側面もあったりする。


例えば、虐待されていた子は、大人になったら虐待してしまう傾向がある、みたいなこと。負のシステムが出来上がった中でのことだったりする。


負のシステムをふせぐためには何ができるんだろうか。



富士山の青木ヶ原樹海での話




話をちょっと変える。松本清張の「波の塔」だったかな。著者が意図しないところから、地元からしたら不名誉な名所として知られるようになった。皆さんもよく知っての通り、自殺の名所という側面で、だ。



不名誉というか、ただただ悲しいこと。



最近は、そういったイメージも払拭されてきてると思う。そもそも地元民としては、すごく美しい場所と認識してる。宝永の大噴火以降、そのままの森が息づく。一歩入れば、空気が変わる。青木とついてるのは、木々から出るフィトンチットから。これって、森に入ったときに感じる「スゥ〜」って感じるやつなんです。そのフィトンチットが上空から青色と認識できちゃうほどあるから青木ヶ原というらしい。


ぜひ皆にも「美しい森」に訪れてほしい。



とあるAさんが樹海できいた話。




もしかしたらAさんじゃないかもしれないし、話の内容がtwitterかFBでのポストだったので、もしかしたら間違っているところもあるかもしれない。本人の承諾をとってるわけではないので、名前は伏せます。ご了承ください。


***



富士山の麓の青木ヶ原樹海には、洞窟が点在しています。その中でも大きい風穴、氷穴は観光地となっている。確か風穴は駐車場が整備され、案内所や売店が併設されていて、そこから洞窟の方に入っていくような感じ。Aさんは、観光か何かで訪れ、そこの店員さんとのやりとりをポストしていた。


売店の方とAさんがなんとなしに「自殺」の話になった。


Aさん「ほとんどが一般のお客さんだと思うんだけど、たまに自殺しようとする人もいたらわかるんですか?」

店員「たまにいるんですよね。雰囲気が違う人が。洞窟とは違う方に行ったりするので、なんとなくわかります。」

Aさん「どうやって止めるんですか。大変じゃないですか。」

店員「簡単ですよ。お〜い、って声をかければいいんです。声をかければ大半の人がやめるんですよ。みんなどこかで声をかけてもらいたいのではないかなと思います。」



このポストを読んだ時に「お〜い」でいいんだと思った。Aさんも驚いた、という感じのリアクションだった(と記憶している)。自分としても止めるのが大変だというのは、心がわりのためにすごく説得するようなイメージだったから。(これって漫画だったり、ドラマからきてるかも。)


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誰かに気にしてほしい。
誰かに気にかけてほしい。


人間の願いってシンプル。誰だって、孤独にはなりたくないから、ってハナレグミが聞こえてきそう。



この話を聞いて、Aさんも誰かにとっての「お〜い」を忘れずに、意識して行動しようっていってた。そのとおりなんだよ。ついつい忘れちゃうけど、気にしてるんだよ、って相手に感じてもらえるだけで、救われることが本当にいっぱいいっぱい世の中にあるはず。


Aさんの話をバックアップする心理学の話があって、この話と合わせて、「お〜い」が本当に負のシステムに有効なんじゃないかと思うわけなんです。


ハワイ、カウアイ島の心理実験


カウンセリングを学んでいるときに出てきた事例なんです。学術発表されています。ソースはワーナーですが、カウンセラー協会のプログラムから知りました。


ワーナー(Werner,E.E,1989 : Werner,E.E & Smith,R.S.,2001)のカウアイ研究。

ワーナーたちは、慢性的な貧困、親の教育水準の低さ、不和、離婚、そして親の精神病などの要因にさらされた、いわゆるハイリスク児の克服プロセスを30年間にわたり追跡調査した。対象になった子供は、ハワイのカウアイ島で1955年に生まれた698人全員である。2歳時までに12名が死亡しており、686名の子供が研究対象になった。このうち約30%(201名)の子供たちが、周産期のストレス、慢性的な貧困、高校を卒業していない親による養育、慢性的な親の不和、親のアルコール依存、精神障害など、危険因子をもつ環境で育ったハイリスク時である。ハイリスク児のうち、約2/3(129名)は、10歳には重大な学習上と行動上の問題を発展させ、18歳児には非行歴、精神障害、十代の妊娠歴を持っていた。しかしながら、約1/3は(72名)は、逆境をうまく克服していた。彼らは、児童期、青年期で、学習上・行動上の問題を示したものはおらず、学校・家・社会でうまくやっていた。そして、この2群を分ける要因は以下の3つであった。


この実験って本当にすごい。そもそも1955年に生まれた全員とか、30年追跡するって追跡するってなかなか出来ないよ。さて、ハイリスク児の二群を分けたものはなんだったんだろうか。(2群を分けた分析の年齢は、おそらく18歳のとき。)


①温和な性格
②親身になって世話をしてくれる人が最低1名いたこと
③学校で少なくとも1人の親友や、親身になってくれた教師または教会の関係者がいた


性格もあるんだけど、親身になってくれる人が家族以外に1人いるっていうことが重要だった。さらに話は進んで、18歳から、次の分析が12年後の30歳の時。さてどうなったか。


彼らは30歳時(1985〜1986年)に約80%(545名)がフォローアップされ、面接と質問紙調査が行われた。また18歳以降の裁判の記録、精神障害治療や結婚・出産などの記録が参考資料として用いられた。その結果、10代の頃に問題を抱えていたハイリスク児のほとんどに、ポジティブな変化がみられた。10代の母親だった者のうちの90%(約26名)に面接した結果、60%がその後教育を受け、90%が就職しており、ほとんど全てのものが18歳時よりも幸福と答えた。精神衛生上の問題を抱えていた者のうちの80%(56名)に面接した結果、30歳時でも精神衛生サービスを受けていた者は約20%(12名)で、残りのものはすでに必要としていなかった。非行歴のある者のうちの75%(74名)に面接した結果、75%(56名)が立ち直っていた。このように18歳時に大きな精神的・社会的な問題を抱えていたものの多くが、30歳時には立ち直っていた。


それぞれのケースで転機となったのは、結婚・子育て・教会活動・軍隊への入営の経験であった。これらの経験を通して、家族・親類や友人・先輩などが支えとなっていた。また、パーソナリティや心身のハンディキャップの有無にかかわりなく、彼らを無条件に受け止めてくれる人が周囲に最低でも1人いた、というものであった。


この結果を読んで何を感じますか。
もちろんライフイベントがあって、転機がある。けど、その中で支えてくれた人の存在が大きいっていうこと。そして、結局は、無条件に受け止めてくれる人が周囲に最低でも1人いたっていうこと。



お〜いで世界を救える話



樹海での話、ハワイのカウアイ島での話。二つから学べることってすごく大きい。「お〜い」が誰かの力になる。ちゃんとなる。これは、自殺したい人を止めるっていう話ではなくて。世界に、社会に、安心を感じれること、繋がりを感じれること、ケアされているんだって一人一人が思えることが大事だよっていう話。



そのためには、一人一人が「お〜い」忘れないようにしたいねっていうのは僕の提案。一人一人が大事にされる世界を願って。このnoteが誰かをケアする声になることを祈って。





「おーい。」


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