給食はすべてオーガニック。フランスの片田舎で起こったトランジションタウンの歩み:ウーガンザイム
前回の復習から
トランジションタウンとは、
・ピークオイルを発端に、新しいパラダイムで活動していくムーブメント
(脱石油にもとづたサステナブルなビジネスやプロジェクト、地域通貨、メンタルヘルス、ソーシャルビジネスetc)
・今でいうSDGsの文脈にも近く、まちの外部依存をなくし、持続可能な状態にしていく試み。
・ローカルのレジリエンスを高めていく試み
トランジションタウンって脱石油の文脈もあるので、石油に依存しているモノから違う文脈に変えていくっていう動きがある。ウーガンザイムでは、スクールホースを採用した!っていうのは自分としては衝撃的でした。誤解をしないようにちゃんと伝えると、全校生徒がスクールホースを使っているわけではなくて、一部の生徒が使っています。他の交通手段として、保護者が迎えに来たりするっていうこともあります。
さて、トランジションタウンを提唱したロブ・ホプキンスさんのいう「ローカルのレジリエンスを高める」っていうことはどういうことなのか。EUでは「レジリエンスを高める」っていう言葉はどこもかしこもききます。レジリエンスは日本語に訳するのが難しい単語なのですが、弾力性、回復性、などスポンジをギュって押したときに戻ろうとする力が働くじゃないですか。ああいうのがレジリエンスなんです。変化に対応していく力のことなんです。
まちのスローガンとして、外部依存(エネルギーや食料など)を極力なくし、自分たちの街やエリアだけでも自立していける力をつけていこうっていう流れが間違いなくEUであります。気候危機がピークオイルなど、目まぐるしく変わる状況がある中で、持続可能な状態を目指しているんです。
そんな「レジリエンスを高める」という文脈に沿って、他にもどんな取り組みがウーガンザイムでされているのかを紹介していきますね〜。
エネルギーに関して、何をしてるの?
街のエネルギーを大きな太陽光発電で作っています。
しかも、ちょっと高く設置して、太陽光を屋根にして馬を飼ったりしていました笑
街の施設の屋根全部、太陽光パネルが設置されています。
街ごとRE100っていうイメージかもしれません。
スウェーデンの首都ストックホルムでも同様に、市でエネルギーを作っています。送電網はどういう構造になっているのかわからないので、そこはニーズがあれば調べたいです。大きな範囲で、どの程度こういった動きがEUで、実際のところ起こっているのかも調査したいですね。
日本でも電力会社が増えてきましたが、送電網だけはどうにもできない、という課題があります。大きなシステムに頼らなくても、小さなシステムの網、みたいなものがどんどん増えていったらいいですね。
食に関してはどうしてるの?
学校の給食はすべてオーガニックでした。(学校の中までは見学していなかったので、写真がありません涙)もともとウーガンザイムは、食べ物への意識が高くあり、トランジションタウンと呼ぶ前からのことだったそうです。
そもそもフランスは食意識が高いというイメージありますよね。マイケル・ムーアのドキュメンタリー「世界侵略のススメ」でもアメリカとフランスの給食の違いを取り上げていますが、とあるフランスの学校では、給食を作るのがシェフ!それくらい食べ物に気を使っていました。
次に、写真がちょっとわかりにくいのですが、街の畑があります。食料自給はもちろんのこと、自給をして、その先、その自給資産で稼ぎたい!加工品が作りたい!といったやる気のある人がいたら、加工品をつくるための場所は街が作るという考え方。
(加工品を作っているところの写真)
他にもエコハウスを建てたり、石油に頼らない農業にも挑戦したり、、色々してるんですよ。。。
トランジションタウン・レジリエンスを高める、当たり前のようで難しい。。。なんでできるの?
スクールホースだったり、給食すべてオーガニックで地産地消だったり、街のエネルギーを作ったり、エコハウス、新たな農業、、、どこからそんなパワーが出てくるの?という疑問が湧いてきたので、
実際に町長に聞いてきました笑
(真ん中が町長。修士論文の仲間と一緒に訪れました。)
町長のジョン・クロード・メンシュさんは、もともと炭坑夫でした。地下100mで炭を掘っていた人が、表舞台にたっていることもユニーク。そんな町長に、どうしてそんなにパワー出るんですか?と聞くと、
ひとこと、
「ソーシャルグッドだよ。」
社会に良いことがしたい、世界にいいことがしたい、ただそれだけ、だそうです。シンプルな回答に涙がちょちょぎれました。ご飯を食べながら、(御馳走してくれました涙)サラリと穏やかに。※ちなみに支払いはウーガンザイムだけで使えるラディッシュという地域通貨でした。
それでも、自分一人の力ではできないから、やりたいっていう人がいたらできるだけサポートをする姿勢をとっている。その姿勢が加工品事業に繋がっていたりする。日本でいう第3セクターみたいな感じ。
街では住民参加型の会議もあったり、トランジションタウンの活動にも参加している人もいる。誤解を招かないように伝えると、住民が2000人いても実際に社会や世界に貢献したいっていう思いがあって活動している人はだいたい、1割くらいじゃないか、とも。それでも、1割の人と街が一体となって、事業が行われきたのはスゴイ。
実際に街の活動の報告会に参加してときの一コマ。
ワイン出てきた笑 町長も参加者も飲みながら、ワイワイと楽しみながら報告会を行っていたんです。ワインはフランスらしいですが、(日本で飲んでたらバッシングの嵐、、、)そんな気軽さも活動を支えてるんじゃないかと思いました。
(youtubeやvimeoで見つけたウーガンザイムの紹介)
日本でも「レジリエンスを高める」は混沌時代に新たなスローガンになり得るのでは。
おそらく地域やまちづくりに関わっている人は、これからどういうテーマにしていけばいいのか、けっこう悩んでいる場所も多いとおもう。その中で、「レジリエンスを高める」方向って新たな視点をもたらしてくれるいいスローガンになる可能性あるんじゃないかなっておもう。(トランジション・タウンよりメタの概念にあるように思えたので。ここまでトランジション・タウンをいっておいて、ごめん)
地域で自立していこうって考えただけで、、、
・エネルギーの自給
・食料の自給
・医療の確保・地域での連携
・まちの産業に関わる「もれバケツ」を探る調査、「もれバケツ」をなくす実験や移行。
・地域内でのウェルビーイングの向上
けっこう色々考えられる。
現代のパラダイムって基本的に「経済」になってるとおもうので、そこから「レジリエンス」はありなんじゃないかな、とウーガンザイムをみて思ったのでした。未来のことをちゃんと考えてる街に住みたいな
ウーガンザイムを舞台に書いた修士論文はこちらにあるので、もし関心ある人いたら、ぜひ。大学院の涙の結晶です。