
操作を頂けない~気になる敬語#29
本日のテーマは、〔本質把握〕と〔合理性追求〕に明け暮れるデザイン思考と本質追究を楽しもう♬様の記事(『有料駐車場の自動化/設備縮小のデザイン《後編》』)で見つけた気になる敬語です。
もちろん、デザインさんが書いた文ではなく、記事内の写真から見つけました。

元の記事では、設備費の削減だけでなく、利用者が間違えず困惑しない、ひいては問い合わせ窓口の負担が増えないデザインの必要性を説いていらっしゃいます。
今回取り上げない言葉たち
他にも「ご精算する」「ご利用できます」「未払い金扱いとなります」と無視できない言葉がありますが、そちらは以前取り上げたので、そちらをご覧ください。
「ご精算する」について👇
(「ご精算し」と活用形になっていますが、敬語としての意味は同じです)
「ご利用できます」について👇
(こちらは否定形になっていますが、敬語としての意味は同じです)
「未払い金扱いとなります」について👇
それでは、本題へまいりましょう。
操作を頂けない
否定形だと余計な要素が入ってしまうので、「操作を頂く」という肯定形で考えていきます。
「意見を頂く」などの似たような構文があるので、さらっと読んでしまうと何が問題か気付かないかもしれません。そういうときは、まず、敬語を使わない言葉に戻してみましょう。
敬語を外す
「操作を頂く」 → 「操作をもらう」
こうするだけで、不自然さに気付く人も増えると思います。
つまり、それはもらえるものなのか?ということです。
それはもらえるものか?
「代金を頂く」
これであれば、全く正しい使い方です。敬語を外せば「代金をもらう」になります。代金とは、まさしくもらうものですよね。
では、物でなかったらどうでしょう。
「意見を頂く」
これも、正しい使い方です。他にも縁談や転職の誘いなどでは「良いお話を頂く」などとも言いますね。「意見をもらう」「良いお話し(縁談)をもらう」これも、敬語を外して問題ありません。
抽象的なものであっても有難く受け取るときには物と同様の言い方ができます。
では、行為はどうでしょう。
「お話しいただく」
先の「お話を頂く」と違い、偉い人にみんなの前で話してもらうときには「お話しいただく」となります。これは、敬語を外すと「話してもらう」になります。「て」に該当する部分が元の敬語にはありません。
もし、「て」に該当する部分を加えるとこうなります。
お話しになっていただく
ちょっと、うっとうしいですね。
仰々しいほど敬語を使いたいときにはこれでいいのですが、普段使いの敬語にはそぐわないので、「て」を省いていいですよという、敬語だけに認められた特別ルールです。もちろん「を」の入る余地はありません。
これで問題点が見えてきたでしょうか。
「操作を頂く」の問題点
操作とは「もらう」ものではありませんので「頂く」ではなく「していただく」必要があります。
つまり、「操作をしていただく」が正しい言葉遣いです。
また、敬語の特別ルールを使って「ご操作いただく」という言い方は可能ですが、「ご」は基本的に単語と単語がくっついて一つの単語になった複合語にはつきませんので「ご精算操作いただく」とは言えません。
したがって、やはり「精算操作をしていただく」としか言えないのです。
ちょっとこのあたりは分かりづらいところなので、なるべくポイントを絞って説明しました。
どうぞご質問があれば、コメントをお寄せくださいませ。
それでは、また。
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