『猫語の教科書』に学ぶ敬語のエッセンス⑤〜距離を取る
世にも賢い猫が、なんとタイプライターを駆使して原稿を仕上げ、人間の家の乗っ取り方を指南する『猫語の教科書』。
猫好きにはたまらない本でしょうけれど、それだけでなく、実際に読んでみると驚くことに敬語のエッセンスが散りばめられていました。
なるほど猫があれほどに人間を魅了してやまないのは、見た目の可愛さに甘んじることなく、ここぞというときの敬意を十分に踏まえているからなのですね。
敬語は人を支配するためのものではありませんが、人間をいとも簡単に支配してしまう猫から学ぶ敬語のエッセンス、5回目です。
首をひっこめる
これは、前回の引用の再掲です。
これを職場に例えてみましょう。あなたは、上司から前にも教えてもらったことを忘れてしまいもう一度教えてもらいたいとします。さて、上司は別の部下に向かって「何回同じことを聞くんだ!」と叱りつけています。この直後に質問しに行くのは、わざわざ自分から叱られに行くようなものです。可能なら、少し時間をあけて、上司の機嫌が直ってから聞きに行ったほうがよいでしょう。
これが、まずは直接的に「首をひっこめる」に該当します。
そして、聞き方にも工夫ができます。首をひっこめない聞き方と首をひっこめた聞き方を並べてみましょう。
「首をひっこめる」という感じが伝わるでしょうか。
首をひっこめない聞き方
首をひっこめた聞き方
どちらが正解というわけではありません。
相手との関係性によっても変わりますし、普段は首をひっこめない聞き方でも構わないけれど、今日は首をひっこめた聞き方の方がよさそうだということもあります。
距離を取れば、双方に安全
首をひっこめるとは、敬語でいえば距離を取ることです。
互いに触れられる距離なら殴り合いにもなるかもしれませんが、距離があれば殴り合うことはできません。物理的な距離とは関係なく心理的に距離を取るための一つのツールが敬語です。
猫が、旅行ケースについて話していることを聞いてみましょう。
ちょっと我慢することで、旅行にも楽しく安全に行くこともできれば、職場でも楽しく安全な人間関係で仕事をすることができるでしょう。
でも、我慢しても我慢しても相手がイライラをぶつけてきたらどうしましょう。プライドがズタズタになってしまうまで我慢し続けなければならないのでしょうか。次回はそんなことについて、猫から学びましょう。
それでは、また。
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