23-24CL決勝 レアル・マドリー対ドルトムント レビュー(2024/06/02)
こんにちは。
キャプテン/ エースストライカー/バロンドーラーであったカリム・ベンゼマの退団に始まり、ティボ・クルトワとエデル・ミリトンの前十字靭帯断裂、オーレリアン・チュアメニ、エドゥアルド・カマヴィンガ、ヴィニシウス・ジュニオールの数ヶ月の離脱、そしてダビド・アラバまでもが前十字靭帯断裂。数々の試練が降りかかりながらシーズン2敗のみという驚異的な成績で勝ち続け、スーペルコパとラ・リーガのタイトルを勝ち取ったカルロ・アンチェロッティ率いるレアル・マドリー。トニ・クロースという伝説的なMFの引退、キャプテンのナチョ・フェルナンデスの退団(未確定)という節目を迎える前の、今季残された最後のタイトルであるCL、その決勝のドルトムントとの一戦をレビューします。
準々決勝のマンチェスター・シティとの死闘は『footballista』にレビュー記事を寄稿しているので、こちらもぜひ。
スターティングメンバー
ドルトムントは準決勝のパリ・サンジェルマンとの2戦と同じメンバーを起用。この2戦で活躍が光ったのはマッツ・フンメルスとジェイドン・サンチョ。前者のビルドアップ能力の高さは周知の通りで、またベテランらしくスペース管理に長け、守備ブロックの高い強度を保証する。後者は大外レーンでもハーフレーンでもプレー可能で、正対しながら縦突破とカットインからのブロック内侵入という複数の選択肢を使い分けられる上に守備でもハードワークできるという万能アタッカー。その他レフティのスピードスターであるカリム・アデイェミや同じくレフティでモダンなCBであるニコ・シュロッターベック、空中戦で無類の強さを発揮するニクラス・フュルクルクなど曲者が揃う。
一方マドリーは今季急成長を遂げ堅守の立役者の1人となったアンドリー・ルニンが不運にも体調を崩し、大怪我から鮮烈な復帰をしてみせた、世界最高のGKであるクルトワが起用される。また準決勝のバイエルン戦後に骨折が判明したチュアメニが間に合わず、カマヴィンガがピッチに立つことに。その他は慣れ親しんだスターティングメンバーで、マドリーでの最後の試合となるクロース、ラ・リーガ年間最優秀選手に選ばれたジュード・ベリンガム、バロンドール筆頭とも言われるヴィニシウスの活躍に期待がかかる。
ドルトムントのクロース封じ。“多角形”ミドルブロックに苦戦するマドリー
前半、ドルトムントは守備の局面で深追いしてボールを奪いに行こうとはせず、基本的にまずはミドルサードで陣形をセットすることでスペースを与えずに前進を防ぐミドルブロックを形成した。決勝という大舞台であることに加え、スペースがあればあるほど輝くマドリーの前線を見渡せば、妥当な判断と言えるかもしれない。ラ・リーガのチームでもマドリーを相手にこのようなゲームプランで臨むチームが多いが、その遂行のために最も重要となるのは、言わずもがな“クロースからいかに自由を奪うか”である。当然、ドルトムントは対策をしっかりと打ってきた。
ドルトムントのミドルブロックは数字表記をするとなれば[4-1-4-1]であり、一言で言えば右IH(インサイドハーフ)のマルセル・ザビッツァーがクロースに対してファーストDFを決め続けることが肝となっていたわけだが、その構造は一般的な[4-1-4-1]と比較するとやや異なる。
そもそもミドルサードより後方の守備においては、相手選手を基準にポジションを決め選択肢を制限するマンツーマンディフェンスではなく、味方選手を基準にポジションを決めスペースを制限することに重きを置くゾーンディフェンスが主流となっている。近年ではポジショナルプレー対策として部分的にマンツーマンを取り入れたミドルブロックも散見されるが、ドルトムントのそれは綺麗なゾーンディフェンスであった。
一般的なゾーンディフェンスにおいて形成されるのが、“ライン”である。例えば[4-4-2]であれば、2人から成るFWライン、4人から成るMFラインとDFラインという3つのラインによって陣形が構成される。このように3つのラインを形成することで、ピッチの縦幅と横幅に対して均等にスペースを埋めることができる。[4-1-4-1]は、[4-4-2]のFWラインの構成に割いていた2人のうちの1人をMFラインとDFラインの間に配置した陣形だと捉えられる。
当然ながらただラインを形成しているだけではゴールを守ったり、前進を防いだり、ボールを奪いに行ったりすることはできない。それらの実現に必要不可欠な戦術的アクションが、ファーストDFの決定とディアゴナーレである。ボールホルダーに向かっていくファーストDFに対してラインを形成する残りの選手が斜め後ろのポジションを取る動き(ディアゴナーレ)を行うことで、ファーストDFの背後のスペースを使わせることなく徐々に相手のスペースと選択肢を奪うことができる。
このファーストDFとディアゴナーレの関係性は、主に同一ラインを形成する選手間で構築される。しかし、ブンデスリーガを席巻したラルフ・ラングニックのライプツィヒの[4-2-2-2]や、CLを制したトーマス・トゥヘルのチェルシーの[5-2-3]に代表されるように、近年ではこの関係性を異なるラインを形成する選手間にも構築する“多角形”の部分構造を持つ陣形で守るチームが生まれている。
ドルトムントの[4-1-4-1]は、まさしくこの“多角形”の部分構造を持っており、それがマドリーを苦しめることとなった。
ドルトムントの中盤より前の6人は、一般的な[4-1-4-1]のアンカー+4人のMFライン+1トップという構造ではなく、アンカーのエムレ・ジャンと両SHのサンチョとアデイェミ、両IHのザビッツァーとユリアン・ブラント、1トップのフュルクルクそれぞれの間に段差のついた巨大な順三角形のような構造であった。特に前線の3人に対しては常に斜め後ろに味方が立つ構造となっているため、自然とファーストDFに対するディアゴナーレの関係性が生じ、したがって中央のスペースを徹底的に制限することが可能となっていた。なお、ボールサイドのSHとアンカーのスライドに対して空きがちなアンカー-逆SH間のスペースは逆のIHがぼかしながら制限しており、この点で従来の[4-3-2-1]という陣形とも明確に異なると言える。
言葉で説明するのは簡単だが、この構造を維持し続けるのは簡単でない。なぜなら普通のチームであればSHにはある程度攻撃的で守備意識が相対的に低い選手を起用するため、どうしてもIH、アンカーとのつながりが切れてしまい、アンカー脇のスペースがスカスカになってしまうからである。しかしドルトムントはこの点、両SHの守備意識が非常に高く(時にサイドでSBに対するディアゴナーレまで行う)、加えて仮にアンカー脇のスペースに侵入されてもCBが前に出て潰すことが決まりごととして明確になっているため、非常に高い水準で構造を維持し続けることができていた。後方からのビルドアップを行うマドリーの両CB+クロースの3人に前線が噛み合う構造になっている(=ファーストDFを決定しやすい)点も特筆すべきで、これによりドルトムントはマドリーに対し従属的になりすぎず、ラインを高くコンパクトに保ちながら守備を行うことができたのである。
マドリーはクロースが頻繁にボールを触るも、ザビッツァーによるファーストDFの決定とディアゴナーレによって中央のスペースを制限され、カマヴィンガ、フェデリコ・バルベルデ、ベリンガムがクリーンに前を向けるシーンは数えるほど。16:10、18:40、37:15、40:25のシーンで象徴的だったように、前半45分のほとんどの時間帯は中を使えず外回りのボール循環、そしてヴィニシウスのドリブル頼りの攻撃に終始することとなった。
ハイプレスの失敗が引き起こしたさらなる問題
一方守備では、立ち上がりからGKのグレゴール・コーベルまで積極的なハイプレスを仕掛けにいった。今季紆余曲折を経て、最もバランスの取れる守備時の配置としてベリンガムが左SHとしてクロースの左脇のスペースを管理する[4-4-2]に落ち着いたマドリーだが、前半に招いたピンチのほとんどはこの陣形から配置を噛み合わせに出ていくハイプレスの失敗が原因となっていた。
マドリーはまず、大きく開くドルトムントの4バックのうち右CBのフンメルスにヴィニシウスが飛び出し、2トップを組むロドリゴ・ゴエスがアンカーのジャンを消しながら左CBのシュロッターベックに寄せて行く。ロドリゴが間に合わなければ、バルベルデを1列押し出すことで2CB+アンカーを抑える右肩上がりの陣形となった。
マドリーは、ファーストDFを決めているように見えて実際には相手のプレーをするタイミングの選択肢を制限することができなかったこと、2トップのプレスバック意識が希薄でクロース、カマヴィンガが中途半端なポジションに釣り出されたこと、縦スライドする左SBのフェルラン・メンディについていく形でDFラインの残りの3人(ナチョ、アントニオ・リュディガー、ダニエル・カルバハル)が横スライドできなかったことなど、ほとんど全員のプレーに問題があった。
ファーストDFがボールホルダーの目の前で足を止めてしまうので、右SBユリアン・リエルソンやザビッツァーはしっかりと正対をし受け手のタイミングと合わせて勇敢にラインを越えていく判断を下すことができた。ザビッツァーとサンチョはスペースを見つけることに長け、5:05、12:25のシーンではメンディの背後が出口となっていることを認知しそこを活用した。
筆者が特に気になったのは、躊躇せず逆サイドを捨ててDFラインが横スライドを徹底し、メンディの背後のスペースを消すことができていれば無理やり状況を解決できる可能性があったが、それをしなかった点。にもかかわらず20:15にはフンメルスに逆のアデイェミまで長い距離のスルーパスを通されており、このシーンはマドリーのDFラインの面々にかなりの精神的なプレッシャーと迷いを与えたと考えられる。完全なGKとの1対1という絶体絶命のピンチを凌いで見せたクルトワの対応が、この試合の結果に絶大な影響を与えたことは言うまでもない。
マドリーはハイプレスの失敗に引きずられるようにミドルサードよりも後方の守備でもちぐはぐに。ドルトムントはジャンがCB間に落ちリエルソンが右大外レーン、左SBイアン・マートセンがザビッツァーと共にダブルボランチを形成する[3-2-5]の配置で、マドリーの2トップ脇、2ボランチ周辺のスペースの位置的優位を活用して前進を図る。
しかしちぐはぐだったのはマドリーの配置というよりもむしろ、目的意識の明らかなズレであった。42:15のシーンはあまりに象徴的。他の選手はラインを下げて中央のスペースに留まり、ゴールを守る目的(局面:ブロック守備と認識)でプレーしていたのに対し、2トップとベリンガム、メンディはボールを奪いに行く目的(局面:ハイ~ミドルプレスと認識)でプレーをしてしまっており、またもメンディの背後のスペースを使われている。このようにハイプレスの失敗が続いたことで前線と後方で局面の認識および目的意識が乖離し、陣形が間延びするというさらなる問題が生じ、それを突くドルトムントのポジショナルプレーに対応できないまま、攻守に圧倒されて前半の45分を終えることとなった。
[4-5-1]ブロックへの修正がもたらした目的意識の統一
ハーフタイムの修正は非常にシンプルだった。確実に意図して変更が入ったのは守備時の配置。前半は[4-4-2]を基本形としていたのに対し、後半はロドリゴをワントップ、クロースをアンカーに置きその両脇をカマヴィンガ、ベリンガムで管理する[4-5-1]となった。今季、ベリンガムが守備時にIHの役割を担った試合はほとんどなかったのだが(ほとんどの試合で左SH、2トップの一角もしくはトップ下)、平然とこなしてしまうところは彼の選手としてのインテリジェンス、万能性が表れていた。
しかし、配置そのものの修正が本質ではない。先ほど述べた通り、前半のマドリーの守備の問題点は目的意識のズレであった。FWラインを1人削り中盤を厚くする[4-5-1]への変更は、局面をハイ〜ミドルプレスとして認識することをやめ、ブロック守備の局面であると認識、すなわちチーム全体がボールを奪うではなくゴールを守る目的でプレーするという意識を共有するためのアンチェロッティからのメッセージであった。
DFラインの高さは前半とさほど変わっていないが、この共有により実際に改善されたのはMFラインとワントップの高さ。この2つを低くしたことで陣形が縦方向にコンパクトに。そのかわり相手CBは完全に放置することとなったが、反対に言えばそこから繰り出されるDFラインの背後へのボールに注意してダウンのアクションさえ怠らなければ、MF-DFライン間へのボールに対してはMFラインのプレスバックによってすぐにスペースを制限して問題なく対応することができるため、これがマドリーに安定をもたらした。50:10のブロック守備は、さっそく修正の効果が表れたシーンであった。
“多角形”の解体につながった修正の副産物
マドリーは54:30、シュロッターベックのサイドチェンジがミスに終わったタイミングでロドリゴが右に移動しており、バルベルデが右IH、カマヴィンガが左IH、ベリンガムがワントップの配置に変化している。
守備とは異なり、ハーフタイムに攻撃に関してどれほど意図的な修正が入ったかは後半のピッチ上の現象だけでは断言することができない。筆者は、後半にマドリーの攻撃が明らかに改善した要因は[4-5-1]への変更とロドリゴの右への移動が組み合わさったからだと考えているが、試合後のクロースへのインタビューから分かる通り、少なくとも後半はベリンガムがIH、ロドリゴがワントップの配置でスタートしており、その時点ではまだロドリゴを右に置く意図はなかった。したがって、ハーフタイムの配置の修正は明らかに攻撃ではなく守備を意識して行われたものだと考えられる。
ロドリゴの右への移動がベンチからの指示なのかピッチ内での選手たちの判断によるものなのかはさておき、実際にマドリーの攻撃に好影響をもたらした。しかしそれは[4-5-1]の配置となっていたことが前提としてあるため、守備を意識して行われたハーフタイムの修正が、後の変化と組み合わさったことで攻撃の改善という副産物をもたらしたと結論付けるのが自然だろう。では具体的にどう良くなったのかを説明する。
前半はクロースがナチョの左脇に落ちたときに、ドルトムントのフュルクルク、ザビッツァーとブラントの両IH、アンカーのジャンによって構成される(巨大な順三角形の中の)ひし形のスペースには、カマヴィンガが常駐していた。しかし、ロドリゴが右へ移動して以降はこのスペースをマドリーの両IHであるバルベルデとカマヴィンガがシェアし、入れ替わりながら動的に活用するようになる。これによりバルベルデの移動範囲が広がり、ミドルブロックの手前まで落ちてボールをピックアップするシーンも増加していった。その際、カルバハルが代わりにラインの奥へ移動して手前と奥の配置バランスを調整したり(ベリンガムが現れることも)、リュディガーがバルベルデの脇から運ぶドリブルでラインを越えようとしたりしたことに加え、ロドリゴが対面のマートセンを相手に質的優位に立ったことから、アデイェミとブラントの立ち位置が徐々に後退していった。またクロースの落ちる位置がCB間へと変わったことで、ザビッツァーが前に出るシーンも減少していった。
これにより広がっていったのがひし形のスペースである。56:30、63:10のシーンはその最たる例であり、ここでカマヴィンガやバルベルデがフリーで前を向く瞬間を作り出したことで、ドルトムントは陣形全体をさらに後方へと下げざるを得なくなっていく。ドルトムントの“多角形”構造は徐々に失われ、“普通の[4-1-4-1]”へと近づいていった。すでに述べた通り、本来[4-1-4-1]はドルトムントが前半に維持していたような工夫を施さない限りは従属的な守備陣形であるため、マドリーはこの“多角形”さえ解体してしまえば、前半にはほとんど得られなかった相手を敵陣に押し込む崩しの局面の時間帯を増やすことができたのである。
押し込む時間帯が増えたことで、躍動したのはヴィニシウスであった。メンディが追い越していく動きを解禁したことでカットインのスペースを得るという恩恵を受け、56:30、68:25にはアーリークロスで決定機を作り出す。この辺りからマドリーは完全に流れを掴んだと全員が認識したはずだ。このようにゲームの流れを読み、掴んだときには一気にラッシュをかけられる点が、マドリーの強さの真骨頂である。
勢いのままマドリーは先制する。ドルトムントが今季で退団のレジェンド、マルコ・ロイスを投入した直後の73:05のCK。後半立ち上がりにもあった再現性のある形で、クロースが蹴った正確なボールをニアでカルバハルが合わせた。その後完全に試合をコントロールしたマドリーは、バルベルデ、カマヴィンガ、メンディらがネガティブトランジションでドルトムントを圧倒。カウンターの機会を与えず、特にカマヴィンガは左ハーフレーン高い位置に進出しベリンガムの決定機創出、クロースのFKにつながる被ファウル獲得、自身の惜しいミドルシュートと大暴れ。中盤を制圧する出色のプレーを披露した。
82:00、マートセンのミスを見逃さなかったベリンガムが冷静にヴィニシウスへとボールを届け、トドメの追加点。その後はホセル・マト、ルカ・モドリッチ、ミリトン、ルーカス・バスケスと堅実に交代カードを切り、危なげなく終了のホイッスルを迎えた。これでCLは2シーズンぶり15回目の戴冠。史上最多6個目のCLタイトルとなるクロース、カルバハルという3連覇の黄金期を知るベテランと、これから迎える新たな黄金期の象徴であるベリンガムとヴィニシウスが試合を決めるという、マドリーにとってはこの上ない展開で今シーズンに幕を下ろした。クロースは、マドリーの歴史上最高の形で引退した選手として語り継がれるはずだ。
試合結果
レアル・マドリー2-0ドルトムント
ダニエル・カルバハル(74分)、ヴィニシウス・ジュニオール(83分)
出場選手
ティボ・クルトワ:前半のアデイェミの2度の決定機、後半のフュルクルクの決定機を何事もなかったように阻止。2シーズン前の決勝に続いて、自身が世界最高のGKとして完全復活したことを示した。
ダニエル・カルバハル:前半はアデイェミのスピードに手を焼いたが、後半は異常なまでの落ち着いた判断と外に内にと立ち位置を変える柔軟性を披露。セルヒオ・ラモスの魂を継ぐヘディングで決勝ゴールを記録しMOMに選出された。
アントニオ・リュディガー:守備ブロックの核として期待されたフュルクルク封じを完遂。試合を通して完璧なクロス対応を続け、ロングフィードからチャンスの起点にもなった。
ナチョ・フェルナンデス:6度目にして初のCL決勝のスターティングメンバーとなったワンクラブマンは、淡々といつも通りの役割をこなし、キャプテンとしてビッグイヤーを掲げた。
フェルラン・メンディ:前半は背後のスペースを使われる展開となったが、対人でサンチョを圧倒するだけでなく、後半はタイミングの良いオーバーラップでヴィニシウスを見事にサポートし続けた。
フェデリコ・バルベルデ:守備での働きがいつも通り高水準であったことに加え、後半にはチームの流動性を高めるハブとなり、運ぶドリブルを駆使して相手のミドルブロックに風穴を空けた。
エドゥアルド・カマヴィンガ:チュアメニ不在の影響を微塵も感じさせず、クロス対応、ネガティブトランジション、崩しと攻守ともに中盤を制圧。この試合勝利の影の立役者と言えるだろう。
トニ・クロース:前半は得意の手前からの縦パスを差し込めずに苦労するも、アンカーに役割を変え徐々に支配力を増していった。セットプレーで存在感を放ち、これまで長きに渡りホットラインを形成し続けたカルバハルへのアシストで自身のラストゲームに花を添えた。
ジュード・ベリンガム:思うように良さを発揮できない試合展開にも思われたが、偽9番としてビルドアップを円滑にしつつ、終盤にはアシストを記録。IHとしての守備もこなした。
ロドリゴ・ゴエス:中央に位置する時間では苦しんだものの、右大外レーンを主戦場として以降はマートセンを相手に優位に立ち、後半の攻撃改善に貢献した。
ヴィニシウス・ジュニオール:サポートを得られずともリエルソンをぶち抜き、ゼロから何かを生み出すことにかけては他の追随を許さないアタッカーであることを示した。後半はさらに躍動し、異なる2つのCL決勝でゴールを記録した最年少選手に。
ホセル・マト:バイエルン戦の英雄はボーナス出場を果たし、最前線で身体を張った。
ルカ・モドリッチ:交代時のクロースとの抱擁がハイライト。試合を落ち着かせて何事もなくクローズする役割を担った。
エデル・ミリトン:終盤に5バックに変更するためにピッチに送り出され、試合を締めた。
ルーカス・バスケス:最後の交代カードとして選ばれたのは、これまで積み上げてきた信頼の証。
最後までお読みいただきありがとうございました!