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意思決定を行うべき問題を、どのようにすれば正しく理解することができるのか。
経営者JPが運営する志高き経営者・経営幹部・次世代リーダーが集う会員制プラットフォーム「KEIEISHA TERRACE」。「スペシャルコラムドラッカー再論」では、ドラッカーは何を見、何を伝えたのか、私たち、実務経営者にとっての「実践的ドラッカー論」について、再考・熟考・使い熟しをしています。
仕事の上であれなんであれ、直ちに意思決定を行える問題などほとんどないとドラッカーは言う。
「一見して重要な要因が、本当に重要であったり、そもそも関係があったりすることは稀である。それらのものはせいぜい兆候にすぎない。しかも、最も目立つ兆候が問題の鍵であることはあまりない。」(『現代の経営』、1954年)
個別のメンバー間の意見の対立かと思ったら、問題の根は組織構造の間違いにあった。
生産コストの問題だと思ったのでコスト削減キャンペーンを行ったところ、根はエンジニアリング上の設計や販売計画の間違いにあった。
組織構造の問題に見えて、本当の問題は目標の欠落にあった。
このようなことが日常茶飯事に発生する。
したがって、意思決定における最初の仕事は、真の問題を見つけてそれを明らかにすることだ。
「この段階では、いくら時間んをかけてもかけすぎることはない。今日、リーダーシップについてのほんや論文の多くが、迅速、有効、強力な意思決定について論じている。しかし、問題が何であるかを迅速に決定させることほど愚かで、結局は時間の無駄になる助言はない。」(『現代の経営』)
問題解決に、マネジメント各位がよく使う方法は、発症している症状による診断だ。
だがこれも真の問題解決にはつながらないとドラッカーは言う。
「診断とは、分析ではなく経験に基づくものであって、経験のない経営管理者が行うことは不可能である。われわれは、病める人間のように病める事業を病院で学生に見せることはできない。しかも現実の問題に取り組ませる前に、経営管理者が正しい診断を行えるだけの経験を積んでいるかをテストすることはできない。」(『現代の経営』)
もちろん意思決定について学ばせるためのケーススタディを使うことはできるが、最高のケースであったとしても、それは「アルコール漬けの標本」に過ぎないとドラッカーは指摘する。そういう意味で、ケースを現実の事業の代わりにすることはできないのだ、と。数多のビジネススクールが聞いたら激怒しそうなドラッカーの主張だ。
症状により診断は、表層的に現れている現象が特定の病気を意味することが間違いないときのみ許される。
経営や経済の現象としては、症状は常に特定の原因を指していると信じることはできない。
「経営管理者は、まったく違う問題がまったく同じ症状をもたらし、まったく同じ問題がまったく違う症状をもたらすことを認識し、症状の診断ではなく客観的な分析を行わなければ…
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