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#023 給与計算分解①時間外労働手当
1. はじめに
お疲れ様です!なべパパです。
前回は、給与支払いについて【給与計算の基礎】を整理してきました。
「残業」というワードはご存じかと思いますが、その内容や計算方法についてはご存じない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今回は、"時間外労働手当"に関する情報について整理していこうと思います。
この記事を読み終わった後には、
法定労働時間と所定労働時間
法定内残業と法定時間外残業
時間外残業は基礎時間給×1.25
の概略についてわかるようになります。
それでは、行きましょう!
![](https://assets.st-note.com/img/1690280633080-cV1LIS4OD1.png?width=1200)
2. 労働基準法における"時間外労働手当"
まずは、関連法規について押さえておきましょう。
(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
<労働基準法>
(第三十七条)
使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
(労働時間)
<労働基準法>
第三十二条
使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
② 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
(時間外及び休日の労働)
<労働基準法>
第三十六条
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。
次に章ではこの法令をかみ砕いた内容を整理していきます。
3. "時間外労働手当"のポイント
3.1 時間外労働とは
まずは、前提となる法定労働時間と所定労働時間について押さえましょう。
法定労働時間
労働基準法によって「1日8時間・週40時間」と定められた、労働時間の上限です(労基32条)。
所定労働時間
労働者が働くこととなっている時間のことです。
就業規則や雇用契約書に記載されている始業時間から終業時間までの時間から休憩時間を引いた時間のことを指します。
例えば、
雇用契約書に始業10:00~終業19:00(休憩1時間)とあれば、
所定労働時間は8時間、法定労働時間は8時間
雇用契約書に始業10:00~終業18:00(休憩1時間)とあれば、
所定労働時間は7時間、法定労働時間は8時間
です。
では、残業の定義について整理していきます。
残業時間には、法定内残業時間と法定(時間)外残業があります。
法定内残業時間
1日の所定労働時間が8時間未満の場合で、その所定労働時間を超えて8時間まで働いた時間です。
法定(時間)外残業時間
1日8時間かつ1週40時間の法定労働時間を超えて働いた時間を指します。
分かりやすい図があったので、労働局の資料より抜粋してきました。
![](https://assets.st-note.com/img/1690282087211-Kh509XEDSc.png?width=1200)
割増賃金となるのは、図の通り法定(時間)外残業の部分となります。
3.2 時間外労働手当
時間外労働手当の計算方法について整理していきます。
時間外手当
=1時間あたりの賃金×割増率1.25(or1.50)×法定時間外残業時間
(※1時間あたりの賃金=基礎月給÷1ヶ月の平均所定労働時間)
割増率
1時間あたりの賃金に対する割増率として、原則1.25(125%)を掛けます。
法定時間外残業が60時間を超える場合は、1.50(150%)となります。
※2023年4月より事業規模によらず割増賃金率が引き上げられました。
https://www.mhlw.go.jp/content/000930914.pdf
1時間あたりの賃金
●時給制の場合
雇用契約書の時給が該当します。
●月給制の場合
(基本給+各種手当)÷1ヶ月あたりの所定労働時間で計算します。
各種手当のうち、個々の事情を踏まえ、労働と直接関係がないような手当については除外して算出することが可能な場合があります。
※除外される手当
・家族手当(従業員全員のような一律給付のようなものを除く)
・通勤手当(従業員全員のような一律給付のようなものを除く)
・住宅手当(従業員全員のような一律給付のようなものを除く)
・状況に応じた臨時的な賃金(従業員全員のような一律給付のようなものを除く)
・1ヶ月以上の期間ごとに支払う賃金(従業員全員のような一律給付のようなものを除く)
4. まとめ
・"時間外労働手当"とは、労働者が法定労働時間を超えて働いた場合に支払われる手当であり、法定内残業時間と法定外残業時間が存在する。
・時間外労働手当の計算方法は、1時間あたりの賃金×割増率1.25(or1.50)×法定時間外残業時間であり、割増率は法定時間外残業が60時間を超える場合は1.50となる。
・1時間あたりの賃金の算出方法は、時給制の場合は雇用契約書の時給、月給制の場合は(基本給+各種手当)÷1ヶ月あたりの所定労働時間で計算する。