#021 給与支払に関する法律【給与支払の5原則】
1.はじめに
お疲れ様です!なべパパです。
前回、賞与についてあれこれ整理してきました。
そこで今回は、通常の"給与支払"に関する情報について整理していこうと思います。
この記事を読み終わった後には、
給与支払の5原則
給与支払の5原則の種類
給与支払の5原則の例外
についてわかるようになります。
では、行きましょう!
2.給与支払の5原則
給与支払の5原則とは、労働者が受け取るべき給与についての基本的なルールを定めたものです。
労働基準法第24条に記載されています。
抜粋すると以下の通りです。
・通貨払いの原則
・直接払いの原則
・全額払いの原則
・毎月1回以上払いの原則
・一定期日払いの原則
3.給与支払の5原則の詳細
通貨払いの原則
給与は原則として現金で支払わなければなりません。
これは、労働者が自由に使える形で給与を受け取ることを保証するためのものです。
直接払いの原則
給与は労働者本人に直接支払わなければなりません。
これにより、労働者が自分の給与を確実に受け取ることが保証されます。
全額払いの原則
給与は全額を支払わなければなりません。
これは、労働者が自分の労働に対する適切な報酬を受け取ることを保証するためのものです。
毎月1回以上払いの原則
給与は毎月1回以上支払わなければなりません。
これにより、労働者が定期的に生活費を得ることが保証されます。
一定期日払いの原則
給与は一定の期日に支払わなければなりません。
これは、労働者が給与を予測可能なタイミングで受け取ることを保証するためのものです。
4.給与支払時に気をつけること
給与支払の5原則には例外があります。
通貨払いの原則の例外
労働者本人の同意があるとき、労使協定や労使協約で定めがあるとき、または、厚生労働省令で定める確実な賃金の支払いに該当する場合を例外として認めています。
Ex.)
・賃金の預貯金口座・証券総合口座への振込み
・退職手当に関しては小切手などでの交付
・通勤手当を定期券で支給するなど現物支給
直接払いの原則の例外
本来現金を手渡しするという考え方であるものの、口座振込などは例外として認められています。
また、労働者本人が病気などにより賃金を受け取れない場合は、使者への支払いは可能です。
また、民事執行法などを根拠にして労働者の賃金債権が差し押さえられたときは、使用者は債権者に賃金を支払うこともできます。
全額払いの原則の例外
税金や社会保険料を賃金から控除することは可能です。
また、積立金や社宅賃料、組合費などは、労働組合などと労使協定を締結しているときは、控除が認められます。
毎月1回以上払いの原則の例外
毎月1回以上払いの原則の例外では、臨時的に支給される賃金が該当します。
・臨時に支払われる賃金(見舞金や結婚手当、退職手当など)
・賞与(ボーナス)
・その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(精勤手当や勤続手当)
臨時に支払われる賃金では、突発的理由で支払われるもののほか、支給条件は決まっているものの支給事由の発生が不確かで稀なものが該当します。
一定期日払いの原則の例外
賃金支給日が休日の場合、繰り上げまたは繰り下げて支払うことが可能です。
ただし、賃金支給日が月末であり、当月末で月が終わるときは繰り下げて支払うことはできません。
原則違反の罰則
賃金支払いの5原則が守られなかった場合は、労働基準法24条違反として、30万円以下の罰金刑が科されます。
5.まとめ
・給与支払の5原則とは労働基準法第24条に記載されている、労働者が受け取るべき給与についての基本的なルールです。通貨払いの原則、直接払いの原則、全額払いの原則、毎月1回以上払いの原則、一定期日払いの原則があります。
・これらの原則には例外が存在し、例えば通貨払いの原則では労使協定や労使協約で定めがあるとき、または、厚生労働省令で定める確実な賃金の支払いに該当する場合を例外として認めています。
・賃金支払いの5原則が守られなかった場合は、労働基準法24条違反として、30万円以下の罰金刑が科されます。