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〝第3子以上の世帯の大学無償化〟がものすごく評判悪いのはナゼ?

とにかく評判悪いんですよ、ホント。

何がって、〝第3子以上の世帯の大学無償化〟ですよ。

こんなに評判悪い無償化の政策って史上初めてなのでは?

期待してるのはトクしそうな人たちだけでごく少数。

世間の評判悪すぎてすぐ変更か棚上げになるかも・・


まずは毎日新聞の世論調査から見てゆきましょう。

    ↓


 毎日新聞は16、17の両日、全国世論調査を実施した。扶養する子どもが3人以上いる世帯を対象に大学の授業料などを無償化する政府の方針について、少子化対策として評価するかを尋ねたところ、「評価しない」が68%で「評価する」(23%)を大きく上回った。
・・・(中略)・・・
 政府が検討している「大学無償化」は、扶養する子どもが3人以上いれば何番目の子どもでも対象になり、国公立大は年間の授業料約54万円と入学金約28万円、私立大はそれぞれ約70万円と約26万円を上限に補助するというもの。学部・学科による違いはないが、留年すれば打ち切る。短大、高等専門学校、専門学校の学生にも同様の支援を講じるという。子育て世帯の教育費の負担軽減が目的だが、対象世帯が限られるとし、少子化対策としての効果を疑問視する指摘もある。
 調査は、携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)機能を使う方式と、固定電話で自動音声の質問に答えてもらう方式を組み合わせ、携帯467件、固定613件の有効回答を得た。【野原大輔】

毎日新聞


少子化対策として〟ってことなので、そこ割り引く必要ありますが。

この反対の多さは致命的ですね。過半数の納税者に反対されてるわけで。


個人的にはまあ、当然の結果だろうと思ってて。

こんな偏った、効果の乏しい政策を考えた人たちに呆れてますよ・・

「少ない予算で何とかアピールできないか」っていう苦し紛れですかね。


すでに毎日新聞が問題点を列挙してまして、どれもごもっともです。

    ↓


 政府が2025年度、扶養する子どもが3人以上いる多子世帯の「大学無償化」に踏み切っても、対象になる子育て世帯は約1割にとどまるとみられる。教育費の負担を減らすことで、3人目の子をもうける動機付けにする狙いだが、少子化対策としての効果を疑問視する専門家もいる
・・・(後略)・・・

毎日新聞

メリットある世帯がごく一部で政策効果も乏しい。

はっきり言って賛成する理由がないんですよね。

記事で専門家は〝効果を疑問視〟ってありますが。

効果がほとんどない〟のほうが正しいです。

対象が子育て世帯の1割ていどでは効果激減、

しかも学費無償で出生率ひくい国はザラですからね。

フィンランドとか、オーストリアとかがそうです。


少子化対策でなく他の政策目標もあり得ますが。

有力なのは学費高騰への対策ですね。

・経済的に困っている層を助ける

・教育政策として進学者すべてを対象とする

だったらまだしも分からなくもないですが。

今回はどっちでもないですよね。明らかに。

(ちなみに私は上のどちらでも政策として宜しくないと思います)


学費高騰は確かなんですが、それ元はといえば

経済政策の失敗、低成長、所得低迷からきているわけですから。

    ↓


 「異次元の少子化対策」の一環として、政府は2025年度から、3人以上の子どもがいる世帯の子どもの大学授業料を無償化する方針であることが明らかになりました。
・・・(中略)・・・
 大学学費の家計負担は近年非常に重くなっています。下のグラフは平成以後の大学の授業料と民間企業の平均給与(月収換算)の推移です。大学の授業料は右肩上がりである反面、給与はほぼ右肩下がりか横ばい続きであることがわかります。国公立大学は2005年以降の授業料が据え置かれているものの、給与下落の動向がほとんど反映されない動きであることに変わりはありません。
・・・(中略)・・・
 奨学金の受給率(大学生全体に占める奨学金利用者の割合、赤の折れ線)は1994年時点で21.4%でしたが、2020年には49.6%と2倍以上になっています。現在の大学生のおよそ2人に1人は奨学金を利用しています。親の家計だけで子どもを大学に通わせることが、かつてに比べていかにハードルが高いことかが如実に表れています。
・・・(後略)・・・

東洋経済オンライン


アメリカの学費高騰にくらべたらましですが高騰は高騰。

特に私立は所得増えないのにおかまいなく学費あがってます。

慶應みたいにブランド力あるなら話は別ですが、

大学って教育の質にかかわらず学費は横並びですからね。


あと、あまり知られてないけど日本の大学教育の投資収益率ひくいです。

そもそも投資収益率ひくい大学・学部への奨学金きびしく制限すべきでは。

(貸与奨学金のデフォルトが多い私立大学かなりあります)

学んで卒業しても学費のムダが大きいってことですからね。


さて今回のことにはスポーツ新聞がなかなか良い記事だしてます。

第3子以上の大学無償化は不公平、認定対象も不公平ってことですね。

    ↓

 政府は11日、「異次元の少子化対策」として「こども未来戦略」の詳細を公表した。注目を集める多子世帯の大学無償化の条件が明らかになったが、ネット上ではなげく声が目立った。
 3人以上の子どもを育てる世帯のうち、無償化の対象は、3人ともが扶養であることが条件。第1子が大学を卒業し、扶養から外れると、下の2人の子どもは対象外だ。
 この大学無償化には当初から疑問の声もあがったが、さらなる厳しい条件が明らかになると11日から12日に掛けて、ネット上では議論が繰り広げられた。
 「このご時世、共働きが多いのに、年子で子供産めって?」「ほぼ第1子しかもらえないじゃん」「3人子どもがいても3人目が3人目でなくなるセコさ」「得するのは三つ子以上だけ」「これでどの位子供が増えるのやら」といった不満の声や、「下の子のために大学行かなきゃとか調整のために浪人留年するとかありそう」といった指摘もみられた。
・・・(後略)・・・

中日スポーツ

自分はまったく恩恵なしってのがほとんどだと、不満ゴウゴウですよね。

しかもちょっとした差で恩恵ゼロとなったら激怒しますよ、そりゃあ。

この無償化制度の構想・設計がそもそもおかしいんですよ。


あと、ホントに公平な大学無償化するんだったら消費税あがるはず。

負担そのままでの大学無償化に期待するほうがリテラシーに問題あるかも。


ところでSFC卒の古市さんがスルドイこと言ってます。

非大卒が大学無償化の費用を負担することになるという批判です。

   ↓


 社会学者の古市憲寿氏が7日、フジテレビ系「イット!」で、3人以上の子どもがいる世帯に、大学の学費を無償化する政府案について、18歳で働いている人もいる不公平感を挙げ「現場を知らない人がパッと思いついた意見なのかなっていう気がする」と語った。
・・・(中略)・・・
 意見を求められた古市氏は無償化は「結局は無料で降ってくるわけではなく、国民の税金負担」と指摘し、「18歳で大学に行かずに働いている子もいるわけですよね。そういう子は税金払って、一方で大学無償化でそれを負担してもらう子もいるっていうのは、同じ18歳でもアンフェアだなって思う」とコメント。
 この無償化で3人目を生もうと考えても、18歳になるのは「もっと先の話」だとし「だったら今もなくならない待機児童の問題とか、学童保育とか、地道に現場で困っている事があるんだから」と、税金を使うべき場所があると指摘。
・・・(後略)・・・

デイリースポーツ


古市さんが社会学者かどうかには異論かなりあるそうですが。笑

今回の意見はすばらしい。まさに正論ですね。

ただ、古市さんには言っておきたい。

古市さんたちがかつて幼児教育無償化の旗ふったおかげで

学童保育の待機がパンパンにふくれあがっているんじゃないでしょうか?

幼児教育が終わればつぎは学童が必要ってのは当たりまえのことで。

学童の待機がふくれあがると公費を入れないといけなくなる。

それは回りまわって納税者の負担になるんですよね。

しかも学童を利用しない納税者の負担に、ですよ。

だから古市さんの批判は過去の古市さんへのブーメランになってしまう。

よく考えて提言してほしかったなあ、と。


最後に。少子化対策としてそもそも大学無償化は悪手です。

なにしろ研究者がハッキリみとめてますから。

   ↓

しかも、柴田先生もこれホントのこと言ってないですね。

長時間労働改善は財界も医療界も反対して何年かかるかわからない。

先生の研究でも無償化や現金給付はサービス給付に効果が劣りますよね。

   ↓

かつてフランスのパリを例示して認定保育ママを推してた柴田先生。

世論を気にして変節してしまったとは思いたくないんですが・・



【結論】

・第3子以上の世帯の大学無償化は少子化対策として効果ほぼない

・第3子以上の世帯の大学無償化は不公平で制度そのものに欠陥あり

・世論調査でも第3子以上の世帯の大学無償化には反対多数
 (賛成の2倍以上にも達しており政策として無理ある)


そのうちメディアと国会でつるし上げられて〝失敗政策〟にされるのでは。

EBP(エビデンスにもとづいた政策)とはまるっきり逆だし。

・・・こうしてる間にどんどん出生数は減ってきます。

・・・自治体の改革例とか、なんで参考にしないんでしょうか??


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https://twitter.com/keidaishouron



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