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【2018年新設】広島大学国際共創学科(IGS)の実際

2018年に広島大学総合科学部国際共創学科の理系一般入試で、広島大学に入学しました。
友達のらっこが国際共創学科について書いていたので、僕も違った視点で記事を書いてみようと思います。

国際共創学科(IGS)とは?

国際共創学科は英語ではIntegrated Global Studies (IGS)です。大学では、みんな“IGS”と言っています。※以下、IGSと書きます。
分業や専門化が進んでいて専門外のことを学んだり、違う分野どうしを繋げる機会が少ない中で、「学問を横断的に学ぶことで様々な分野をつなげて、国際的な課題解決をしよう!」という意味が込められています。

学科に所属している学生は1学年40人。留学生、AO入試や帰国子女枠の学生が20人、文系一般入試が10人、理系一般入試が10人です。文転する学生もいるため、どちらかと言うと文系寄りの学科となっています。

IGSは総合科学部の中にある学科の1つで、総合科学部総合科学科しかなかったところにIGSが2018年に新設されました。総合科学科との相違点は、観光地理学の先生が学科長だったこともあり、観光分野が強かったり、(旧)国際協力研究科の先生がIGSに所属されているので、国際協力に関する研究もできたりするところです。

また、授業は基本的に英語で行われます。
留学生は東アジアや東南アジアの学生が多いです。英語で授業が行われることもあり、学科の留学生だけでなく、交換留学で広島大学に来ている留学生と一緒に授業を受けることも多くなります。
(授業も私生活も英語を使うことが多かったので、いつの間にかTOEIC200点ぐらい伸びてました!!)

こちらは、僕たち1期生が映っているIGSのプロモーション動画です。懐かしい(笑)

どんな学生が多い?

IGSはアクティブな学生が多いです。逆に、アクティブ過ぎて、卒業式で学科長に「アクティブなのもいいけど、もう少し大学での勉強も頑張ってほしかったな(笑)」と言われたぐらいです。

IGSの学生はみんな興味分野が違います。国際協力、気候変動、生物多様性、防災、平和、観光、ジェンダー、文化人類学、教育、言語、農業など多岐にわたります。これだけ学生の興味分野が広いと大学の授業だけでは、収まりきらないために、学内外でアクティブに活動する学生が多いのかもしれません。みんな興味関心が違うので、学科にいるだけで色んな刺激を受けることができました。

僕自身は、国際協力と環境問題、地方創生、農林業に興味があります。大学入学後にIGSの友達に「模擬国連興味ない?」と誘われ、高校生にアクティブラーニングを通して国際情勢への理解を深めてもらう広島大学模擬国連。というサークル設立に関わりました。
正直、1年前期のどの授業よりも大変でした(笑)。
最近は、Green Innovator Academyに参加したり、一般社団法人Zero Waste Japanでインターンをしたりしています。

こんな人におすすめ!

大学で何を学びたいのか決まっていない人にはお勧めの学科だと思います。留学生も含め、色んな学生がいるし、分野を横断的に学ぶことができるので、IGSで過ごすうちに自分の興味分野が見えてくると思います。

逆に、教育を究めたい!工学を学びたい!のように学びたい専門分野が決まっている人にとっては、幅広い分野の授業を取ることが負担になってきます。そういった方は、教育学部や工学部にいかれることがいいかもしれません。

僕はIGSの専門性が薄いという劣等感を何度も感じたことがありました。特に、入った当時は一期生ということもあり、IGSに理系の授業が少なく、「申し訳ないけど、理系科目をもっと学びたいなら、理学部や工学部の授業を受けてください」と教授に言われていました(大学生なら学びたいことは自分から学びに行く積極性を持てるようになりました)。

このような専門性が薄いデメリットはあるのですが、個人的には色んな分野を転々とさせてくれたIGSに感謝しています。4年間で年々興味関心が変わっていく中で、1,2年時は地球環境化学、3年では防災(土木工学)、4年で環境経済学や農業を学びました。まずは地球環境について考えて、最終的には目の前の食料生産や地方に関わることで、まさに、Think Globally, Act Locallyをさせてもらえたと自負しています。もし工学部入っていたら、専門性があって安心する一方で、視野は狭くなり、このように色んな分野を学ぶ機会は少なかったかもしれません。

余談ですが、ビル・ゲイツお薦めの著書の一つに「RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる」という本があります。この本は"早い段階で専門に特化したり、一つの専門分野のことしか考えない危険性”を指摘しています。専門分野を早く決めて、その分野を究めることだけが正義ではないでしょう。

また、他の学部・学科に比べると留学しやすい環境にあると思います。留学経験のない日本人学生は2年生の後期に4ヶ月の留学が必須となっています。他の学部から留学すると卒業が一年遅れてしまうことも多いので、4年で大学を卒業したい人は留学しやすい学部なのか調べておく必要があるでしょう。
僕の場合は、2019年8月から4か月間シンガポール・南洋理工大学アジア環境学部(Nanyang Technological University)に交換留学していました。交換留学の場合は、広島大学に学費を払いながら、世界トップレベルの大学に半年から1年間留学することも可能です。
(実際に留学してみて、学部生2年生にとって大学ランキングは関係ないとは思いました。ただ、有名大学の学費は高く、正規留学しにくいので、交換留学はオススメです。また、IGSは給付型の奨学金をもらいやすいので、ほぼタダで留学することができました。)

シンガポール留学時に入っていたクロスカントリー部

一番印象に残った授業

大学4年間で人一倍、たくさんの授業を受けてきました。
その中でも、一番印象に残っている授業は"World Englishes"(世界の英語)という言語学を専門とされている先生の授業です。この授業を受けたことで、「正しい英語」に対する固定概念が崩れ去りました。

日本で英語教育を受けていると、リスニング問題もアクセント問題も基本的にアメリカ英語を基準に作られています。そのためか、アメリカ人の話す英語が正しい!といつも思っていました。しかし、「英語」はアメリカ英語だけではありません。イギリス英語もあれば、オーストラリア英語もあります。他にも有名なのが、インド英語やシンガポール英語(シングリッシュ)があり、人口比でみるとインド人や中国人のように英語を母国語として話さない人の方が圧倒的に多いのです。では、よりたくさんの人と話そうとすると究めるべきはアメリカ英語なのでしょうか?
また、そもそもアメリカ英語とは何なのか?ネイティブスピーカーの話す英語って何?という話も出てきます。

お気づきの方もいると思いますが、この授業名にEnglishesと書かれており、Englishに複数形のesがついています。実は、「英語」は沢山たくさんあるので、「英語」ができなくても気にする必要はないと思います。
広島大学に入学された際は、ぜひこの授業を受けてみてください!

IGS卒業後の進路

2018年に入学したIGS一期生は、5人に1人が広島大学の大学院に進み、10人に1人が1年間休学して学内外で活動しています。僕も休学した1人で、全国の農家さん26軒と林家さん1軒を巡っていました。

就職した学生は、IT企業や自動車会社で働く人もいるし、ソーシャルビジネスをしている会社や国際協力系NPOで働く人もいて人それぞれです。公務員になった人もいました。

何でもありですね(笑)

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