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スタッフコラム|恵文社のフリーペーパーが出来ました。その名は『しましま』

はじめまして。フリーペーパー『しましま』編集長の原口と申します。昨年より恵文社一乗寺店のスタッフの一員になり、普段は主に書店フロアにおります。

恵文社は少し特殊な本屋です。
各担当者独自のセレクトのもと、新刊既刊有名無名を問わず、それぞれが独立した書店主のように商品を仕入れ、イベントを組み、時にはチームとなって各々の強みや好みを活かし働いています。

お店の創業は1975年なので今年は47年目。※当店は今年で30周年
店で働く人たちはもちろんのこと、店に関わった人たち、訪れるお客様たちによって、少しずつ現在の様な形のお店になっていったようです。

47年もの間、人々が行き交うことによってできた歴史ある本屋です。

現在はギャラリーを併設した「アンフェール」、生活雑貨に関する道具や書籍を扱う「生活館」、歴代のスタッフから現在のスタッフのセレクトある本棚を中心とした「書店」の3店舗が連なって出来ています。

働いているスタッフも様々で、年齢や背景にあるもの、生活スタイル、拘りやデリケートな部分、十人十色が集まったカラフルな場所です。
『しましま』は、そんな私たちがこれまで培ってきた経験や思い出、作家さんとの繋がりなどを活かし、個々の「縞」でもいいけれど、連なってみたら何か新しい模様ができるかも?という発想から生まれた少し実験的な試みの場です。
両面に印刷した1枚の紙は、蛇腹折りにしてスペースの輪郭を作りました。
1つの縦長のスペースを、1人が担当します。

昨年末、まずは準備号として、恵文社で働くわたしたちの自己紹介号を発行いたしました。

試行錯誤の準備号

簡単なプロフィールとともに、
ギャラリー担当の上田さんは、「アンフェール」改装時の星空の思い出を。生活館マネージャー岡本さんはお客さんだった頃のこと。普段は寡黙な、マネージャー涌上さんは、独自の文体で、愛情深い文章を。

その時わたしは恵文社に入って数か月。新人の呼びかけにも、全力で取り組んでくださる先輩方に、心が熱くなりました。

配布を始めて少し経った頃、匿名で草木模様の可憐な葉書が届きました。
それは楽しく読んでくださった方からのお手紙でした。
確かに読んでくださっている方がいる。とても嬉しい思い出になりました。

そして、記念すべき第1号は2022年2月22日。「猫」号!

記念すべき第1号

京都の街のスナップ写真を撮り続ける写真家の甲斐扶佐義さん、若き画家の平田基さんをゲストに迎え、飼い猫についての四コマ漫画、印象深い思い出の猫、映画の中の猫の話などが集まりました。

謎多き存在「キャスターねこ」ちゃん。恵文社で働き始めたころのある日、可愛らしいお召し物を纏った箱状の「猫」たちが店内にカラカラという足音とともに入ってきました。

数人の大人、何人かの子供がそれぞれにお洒落で不思議な「猫」を携えて。聞けばゆかりのある作家さんのお手製のものであるそうで、恵文社はお散歩コースになっているとのこと。

当店にも1匹常駐しているのですが、その子のモデルとなった映画のお話などを寄稿してくださったのは、当店でも随一のチャーミングレディ友田さん。

両面を使った特大ボリュームの原稿は甲斐さん。「家猫 村猫 店猫 街猫」と題し、甲斐さんの半生についての貴重なお話は、レンズ越しの猫たちとの関係より暮らしの歴史を写すかのよう。

生きている年数や育った土地が違えば、心の風景は違い、心の風景が違えばまなざしや使う言葉も違うものなのでしょう。

1匹の猫にも、それぞれいろんなドラマがあり、甲斐さんのお写真はその大事な部分を逃しません。
そんな甲斐さんについて、人々が語った本があります。『路上の人』

※準備号・1号ともに配布終了となりました。


そして最新号は、『左京区という場所』と銘打って、左京区で働いたり、暮らしたりする私たちのあれこれです。

ゲストは左京区浄土寺に『ホホホ座』という、公園のような親しみやすい雰囲気の、珍しい本や雑貨のあるお土産屋を営む山下賢二座長。
「今日も左京区」というちょっぴりキリリとした文章のプロフィールには「今年生誕50年。昔の人なら死んでます。」

ユーモラスでカッコいい山下座長の著書はこちら『ガケ書房の頃』

他に、以前は大阪でバリバリ働いていた沙樹さんの、左京区に来ることになったきっかけや、4月に新天地へ移った最後の学生アルバイトかたささんの、川の多い地域での学生生活をあみだに見立てた文章など、バラエティー豊かな原稿が集まりました。

フリーペーパー『しましま』は、主に恵文社一乗寺店の店頭にて配布しています。
お店にお越しの際は是非、お土産に。
お楽しみいただけましたら幸いです。

(文:原口)

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