まちづくりを自分ごとで考えて、やわらかいシチズンシップを育む
まちづくりに一番必要なことは、住民が自分ごととして参画すること。ヨーロッパなどで古くから言われているシチズンシップは理想の概念なんですが、いかんせん、かたくるしく難しい。。
概念から入ると無理なのですが、自分が関わってきたコーポラティブハウスやキッザニア東京に共通するのは、構成メンバーが主体的、協働的であること。
いま、都農町でこれからの100年に向けてまちづくりを進めていますが、もっとも大切なのは住民の主体的な参画だと思います。
1万人という規模を考えると、一握りの意識高い系だけではなく、老若男女ぶっこみの総力戦で臨みたいなと。
ということで、最近、まずは高齢者・中学生・20-30代職業人の3つの集団で話し合いを進めています。
1. イベントで終わらせない
9月より、都農町若者連絡協議会(若連)が月1回程度、未来の都農町のまちづくりについて、議論を始めことになり、僕はファシリテーターとしてお手伝いを始めています。
若連は、町内のいろいろな若者主体の組織の集合体。農業や役場、経営者など多種多様な人たちが、町のために休日を使って会合を重ねています。
僕が認識しているこれまでの課題は、例えば、イベントだとたくさんの人を巻き込んで盛り上がるけど一過性で終わってしまう。懇親会だとたくさんの人と交流はできるけど、飲み会で終わってしまう。
せっかく仕事や家庭で忙しい中、時間を使うのなら、ゆるやかながら目的と期限、メンバーを決めて、問題解決型のプロジェクトにしてみませんか?と提案しています。
講師を呼んでの講演・研修会や、みんなで話し合うワークショップも、インプットや刺激はあるかもしれませんが、町の課題を解決するアクションにはつながりにくいものです。(プロセスとしてはいいですが)
2. 企画につながるエピソードの共有
町の課題解決につながるプロジェクトをつくっていくためには、何よりも企画力が必要になります。
最近読んだ阿部広太郎さんの「超言葉術」でも取り上げられていましたが、
大辞林によると企画の定義は、実現すべき物事の内容を考え、その実現に向けての計画を立てること。「企画」と「計画」の違いについて、「企画」は目新しく好ましい物事の内容を具体的に考え、その実現に向けて手はずを整えること。それに対して「計画」は行うべき物事の内容がおおむて決まっていて、その実現の方法・手順などを前もって考える
ということで、第1回目は、行うべき物事の内容が決まってないことを企画するためのコツを見つけるため、プロジェクト・デザイン・パターン・カードを使いながら、参加者同士の企画についてのエピソードを共有しました。
3グループに分かれて、中央にトランプの台札のようにカードを伏せて、めくって出てきた企画のパターンにまつわるメンバー自身のエピソードを話して共有することを繰り返します。
32個ある企画のパターンで、自分の体験の程度をレーダーチャートに書いて、メンバーと見せ合い、自分の体験が少ないパターンを体験している人にエピソードを聞く、こんな感じで1回目を終えました。
3. 自分プロジェクトを立案!
2回目は自分のプロジェクトづくりのスタート。
使ったフォームは、僕自身が、受講していて多くの気づきや仲間を得た、NPO法人一新塾の6つの箱を参考にしました。
①現状の課題→②根本原因→③これまでの自分→④新しい自分→⑤解決策→⑥理想の未来(ビジョン)という流れで、みんなで考えました。
自分の家や仕事のことでも、町のことでも、課題の範囲や難易度は自由に設定、ただし、必ず自分が主体的に解決のアクションを起こすことを前提に。
プロジェクトの実現性を増すために、解決策を考える上で、今年度で廃校になる町内唯一の高校跡地を活用することを条件にしました。
思ってた以上に、みなさん、手が進み、グループ内で共有し、お互いに真意を尋ねたり、自分が知っていることの共有や、実現のためのアドバイスをして盛り上がりました。
さらには代表者による全体プレゼンまでやっていただけました。
4. まちづくり実務と連動させる
住民が楽しみながら主体的にまちづくりに参画していくためには、自分ごとと思えることが必要だと思います。
場や建物が主語で、それをどうするかのために集められた会だと、率直な意見はたくさん出てくるものの、参加した住民にとってもう一つ腹落ちしないことも多いのは、これまで自分がファシリテーションしてきた中でも感じた課題です。
今回やりたいのは、あくまでも主語は自分自身。その解決策として、場や建物を活用するという流れ。
結局は同じことなのかもしれないし、どれだけの案を現実的に採用できるかどうかはわかりません。
わずか1回で、参加した方々のプロジェクト案を見る限り、どれも自分のこと、自分の仕事に即して書いてあり、僕の目には実現可能なものがたくさんありました!これはブラッシュアップしがいがあって次回以降が楽しみ。
自分主語が先にくれば、対象にした場や建物での実現は難しかったとしても他の選択肢があります。
最終的には、自主的に全くゼロベースから新しいアクションが起きていけば、それが本当のシチズンシップ(住民自治・市民権)になるのではと妄想しながら試行錯誤を続けていきます。
若連のみなさま、土曜日にも関わらず、2時間以上の議論、ありがとうございました!