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地方で働くって実際どうなの?まちづくりを「仕事」にするキャリアビジョン

地方のまちづくりに関わる仕事をして約30年。
人生2度目の移住、宮崎県都農町で仕事をして5年目。

「地方で働くって実際どうなの?」

と聞かれたら、真っ先に

「自分次第でチャンスにも、リスクにもなりやすい」

って答えます。

20代ではじめて移住した新潟県上越市。
45,000坪の敷地で一大ショッピングモールをつくろうと、地元の砂利採取業者の社長が地権者38人をとりまとめ、地銀など3行から40億円近い融資を受けて開発に着手。
当時もいまも、東京ではなかなかお目にかかれないスケールの話。
かつ、行ってみてわかったのですが、よく言えば余白だらけ、悪く言えば隙だらけの事業計画。
でも、その計画をつくりあげ、実行推進するのは20代のぼく一人。

こんな体験からはじまっただけに、地方の仕事は自分の身の丈を超えたチャンスに溢れていると思ってます。
もちろん考えよう、やりようによって、という前提で。

ではどうすれば、そのような状況を自分のチャンスに捉えられるのか?
どんな人がチャンスにできて、リスクになってしまう人の特徴は?

ぼくらの会社で、そんな答えのない問いについて、定期的にビジョンシートを使って話し合っています。

1.ビジョン|Iメッセージの「たい」

すでに都市部で学んだり働いたりしている人にとって、「地方で働く」はマイナーな選択肢。

なので、都市部で働く以上に「たい」が強くないとはじまりません。

自分は何がやりたいのか?
自分はどうなりたいのか?

まちづくりの仕事をしていると、ついつい

「町に貢献したい」
「町の人の役に立ち喜んでもらいたい」

とか言いがち。

特に過疎地のような課題にあふれたまちで働く場合は、ある程度、地域貢献、社会的意義を動機に働くのでそう考えるのは不思議ではありません。

ただし、

自分や自分の会社が、厳しい状況、困難に直面した際に、その動機だけで乗り越えられるか?

ぼく的にはNOです。

最後に救ってくれるのはビジョン=自分がやりたい、だと思ってます。

地方で働く場合は、都市部で働く以上に、主語が

Weメッセージでも
Theyメッセージでも
Youメッセージでもなく
Iメッセージを意識する

ことをおすすめしてます。

2.スタイル|キャラを立てる


どんな働き方をしたいのか?

いま流行りの二拠点居住とか、複業とか、プロボノとか。

でも、本質はそういうことではなく、自他ともにどんなアイデンティティーでありたいのか、わかりやすく言うと、どんなキャラで仕事したいのかを言語化したほうがいいかなと思ってます。

ホテルマンやサービス業向けにつくった「おもてなしデザイン・パターン」で「キャラを立てる」というパターンをつくりました。

サービス供給側に立てば、クレームを回避し一定以上の品質を保つため、標準化・マニュアル化を進めるのに対し、サービス需要側に立つと、意外と対応する人の人間性が見えたほうが満足するというもの。

もちろん、ホテルやカフェなどの業態特性によるところもありますが、サービスをするモチベーションとしても、自分の素を出して自分らしいもてなしによって喜んでもらう方が仕事は楽しくなるのでおすすめしています。

3.スキル|現場運営スキルから

いくら「やりたいこと」や「やるべきこと」「キャラが立って」いても、肝心のスキルがなければ、自分らしい仕事は実現しようがありません

特に地方で働く場合の必須スキルが現場運営力です。

地方の方がプレイヤーが少ないこと、都市部にくらべると現業・現場系の仕事が多いため、現場スキルが問われることが多いです。

現場といってもピンキリですが、清掃や草刈り、簡単DIY、BBQの段取り、地域の付き合い、地元の人との交流や営業。チラシ配りからイベントの設営、片付けまで。

現場の仕事というと、ついつい精神論で、それやっとかないと地域の人に信頼されないから的にやりがちですが、実は改善の宝庫です。

現場の仕事は前例踏襲、マニュアル通りになりがちです。

ひとつ手順を変えるだけで圧倒的に時間が短縮できたり、使う用具や備品などを最新のものに変えるだけで品質があがったり。

現場の仕事を改善できてくると、自分自身も張り合いができて楽しくなるし、地域の人から一目置かれる可能性も高まるのでおすすめです。

地方に限った話ではありませんが、新卒や20代の経験の少ない人たちには、現場運営力に磨きをかけること、超おすすめです。

4.マインド|ポジティブな面白がり力

都市部と比べると、地方では同じような仕事をしているプレイヤーの数や、そもそも同年代の人が少なかったりで、日常的に相談できたり、飲み友達も少ない環境です。

順調なときはよいですが、誰しもつまづいたり、思い悩むことはある中で、発散したり聞いてもらえる人がすくないことで、メンタル低下に陥ることも普通にあります。

仕事でうまくいかないことは絶対に不可避なので、いざいかなくなったときにどうコンディションを維持するか、一見、単調な毎日にどう面白みを見つけるか、侮れない力となります。

面白がり力を高めるためには、習慣化するのが一番かなと思います。一人だけだとどうしても抱えがちなので、同僚や仕事仲間と、常にどうやったら面白くなるか?アイデアを出し合っていけると変わってきます。

5.ミッション|3億あっても働くか?

最後は、そもそもなんで働くのか?です。

「3億円あっても働きますか?」

ぼくがよく聞く質問です。
多くの人は、生活のため、お金のために働いていますが、仮に稼ぐ必要がないぐらいお金があったとして、それでも働くとしたら、なにか使命感や意味があるのだと思います。

もちろん、自己表現や成長のため、暇だからと、それぞれ理由はあるかと思います。

ただ、地方にいると、ふとしたときに、「なんでここにいるんだっけ?」と思いがちなものです。

自分の使命というと、少し大袈裟かもしれませんが、なぜ自分はここでこの仕事をしているのか?、自問自答する習慣をつけるのは、ブレない軸をつくっていくうえでも有効かと思います。

6.まとめ

地方に移住してまちづくりの仕事をしていると、日々悩んだりもがいたりすることも多いです。そんな実体験を踏まえて、自分の場合は上記であげた5つのことを常に意識して、なんとかやってきています。

逆に、志半ばで地域を去っていった人たちがつまづいたポイントでもあるかなと、少し経営・人事目線では見ています。

大切なことは、自分で言語化してみるだけで終わらせず、他の人たちと共有してポジティブなフィードバックをもらい合うことで視点が広がり、実効性が高まるのでお試しください。

お知らせ

8月24日25日、毎月開催しているALAガーデンで、そんな話を中心にしていきたいと思いますのでご興味ある人はぜひ、じっくり話しましょう!


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