先輩経営者から教わった「多長根」、地方創生にこそ必要だと実感中
経営者の勉強会でジョンソン&ジョンソンの社長など歴任されてた新将命さんから教えてもらい、いまでも一番印象に残ってることば「多長根」(たちょうこん)
経営者に必要なのは、多角的・長期的・根本的に考える習慣だと。
本でも紹介されてますが。
多長根でググると、最近では、岩田剛典さんのコメントが検索で一番に来るんですね !市民権得た感じ。笑
社員のマメジネント研修など機会あるごとに、共有してきました。
ぼくは、失敗の振り返りをして「なるほど!」って腹落ちしてました。
①自分の好きなことに突っ込みすぎたり(多角的の反対)
②目先の収益を追いかけすぎてたり(長期的の反対)
③流行りに乗っかって、わかんなくなったり(根本的の反対)
多長根のたとえで、わかりやすかったのは巨象の話。
目隠しをされて象に触わった人の答え
・鼻を触った人は 「蛇」
・耳を触った人は 「扇」
・牙を触った人は 「槍」
・足を触った者は 「木」
・体を触った者は 「壁」
・尻尾を触った者は 「ロープ」 と答えました。
たしかに、鼻だけ触ってたら蛇っぽいですよね。。想像はつく。
目の前のものを一極集中で見てると全体像が見えなくなってくるということ。
これって、地方創生・まちづくりにもあてはまること。
なにしろ、範囲が広いので、どこから見るかでかなりアクションが変わってきます。
「多長根」と似たような言葉で、「鳥の目、魚の目、虫の目」や「視野は広く、視座は高く、視点は遠く」とかありますが、ものごとのどこを見るかがきわめて大事という共通点。
これは、新卒研修用をやってたときに使ってたスライド。
1. 多角的
多角的を日々の実務に照らし合わせてわかりやすくいうとセクショナリズムに陥らず部署横断・全体的視点で考えれるかどうか。
役場でも企業でも、予算管掌部署が、その部署だけの目線で最適化に走るのか、他の部署にも目線をやって走るのかの違いです。
都農町では、デジタル・フレンドリー事業や、ゼロカーボンタウン宣言を企画・推進していますが、全部門を横串にしなければはじまらないので、いやがおうにも多角的視点が求められると実感中です。
どうすれば多角化の視点をもてるようになるのか?
根っこは学校教育までさかのぼってしまうのではないでしょうか。
国語、算数、理科、社会などの分科学習。
大学は学部ごと
会社の配属も部署ごと
多角化と相反する専業、分業するようなしくみになっていることで、多角的なものの見方を養う機会は少ないもの。
イエナプラン教育における「ワールドオリエンテーション」のような総合的・多角的な学びを子どもの頃からしておくのは効果的です。
ぼく自身の経験で役に立ったなと思うのは、組織のトップが
「いま何を見ているのか?」
「同時にいくつぐらいのことを見て考えているのか?」
密着マークしてリアルタイムに共有していくのは効果がありました。
もっといえば、自分がトップになることが一番の近道。
経営者は多角的にものを見てないと会社が存続できないので。
大人はなかなか難しそうなので、小・中学校から目線を広げる教育プログラム、つくっていくところです。
2. 長期的
これも言われて久しいことだけと本当にむずかしい。大事。
最近だとイーロン・マスクが日本消滅と言ってたのも長期的な視点から。
地方創生や地方のまちづくりで、この長期的な視点を阻害する要因は2つ。
①町長・議員の任期と役場の異動
言うまでもなく、町長をはじめ役職者には任期があります。
行政でいうと担当者の(よくわからない)定期異動。
地方創生に限らず、国の政治自体の課題ですが、任期を超えて発想していかないと目の前の課題や高齢者優遇に終始、現状維持をつづけた結果、ほんとに人口減少とともに消滅なんてことになりかねません。
任期自体は変えられないけど、都農町みたいに、自分の任期を超えて10年間で10億円の投資を決めるような、肝っ玉町長がもっと登場すれば望みありかも。
②未来への思考停止
長期的=未来のことは、考えても「わからない」。
それはぼくも含めて、誰もが同じですが、
「わからない」からとあきらめて現状の延長で妥協するのか、
「わからない」なりにもがいて議論して方角を見定めるのか。
旅行者は地図なしでは歩けないが、探検家はコンパスを頼りに進む
未来の当事者である10代、20代を巻き込んでコンパスで進んでいけば、軌道修正もスピーディにでき、一体感も生まれます。
3. 根本的
個人的には、これが一番難しいです。いま現在も。
わかりやすく言うと「そもそも、なんのためにやってんだっけ?」
まちづくりに関わって、新しい企画を立てる際、どうしても、発注者や委託者にあたりのいい、ウケそうな内容で提案しがち。
とくに、仕様や与件が明確な行政案件とかだと、むずかしい。
といって、そこを踏まえて提案していかないと、仕事にならないし、というのがまちづくりベンチャーの実情。
自分の会社を含めて、つねにミッション=使命は言語化しておかないとですね。
そのあたりの話は、また改めて書きます。
4.まとめ
「多長根」(たちょうこん)
地方創生・まちづくりにおいて
・多角的はセクショナリズム排除できるか
・長期的は任期や異動を超えられるか
・根本的は流行りや目先の収益に踊らされないか
分科学習・分業を身につけてしまった大人たちが変わるのは難易度高いので、小・中学生のうちにどれだけ養えるか、が勝負かなと。