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口蹄疫から再起!町民有志の雑談ではじまったPK合戦「蹴-1」が、ふるさと納税、デジタル化、まちづくりにつながっていった話。

都農町にとって忘れられない日、2010年4月20日の口蹄疫発生
牛豚30万頭を殺処分、農の都、畜産の町として経済的・心理的に大打撃を受けました。

都農町の未来のまちづくりを考える、都農中学校「まちづくり学」の第4回、口蹄疫当時のまちの様子、そこから何を感じてどう再起してきたのか、町民の一人として、新名亮さんに語ってもらいました。

蹴-1協会代表の新名亮さん

疲弊した町は人通りが激減、スーパーにすら人が行かず、交流がなくなった。30代の町民有志で、町を元気にするために何かできないか、夜な夜な雑談をする中で、やってみようとはじめたのがサッカーのPK合戦。名づけて「蹴-1(ケリワン)

中学生と一緒に体育座りして、話を聞いてたら、新鮮な気づきが。

口蹄疫から再起をかけた都農町のまちづくりにおいて、町民有志の雑談からはじまったPK合戦「蹴-1」→ふるさと納税→医師確保→デジタル・フレンドリー→ヴェロスクロノス都農と、すべてがつながっていたんだと。

いまぼくが都農町にいて、仕事をしていられるのも、このつながりのお陰。

つながりの素は「好きなこと」と「雑談」。

それから助けてくれる仲間が増えて、所属の垣根を超えた絆が生まれ、ヨソ者も重なって、少しずつカタチになっていったんだと。

1.PK全国大会「蹴-1」

口蹄疫発生後の町を元気にしよう!
商工会、町役場、JAなどそれまではバラバに動いていた30代中心の青年部が垣根を越えてひとつに。

みんなですぐできること。
誰からともなく出てきたサッカーのPK。
それだったらお金もかからず誰でもできる。

新名さんは始まった当時のことを振り返ります。

最初は300人も来なかったイベント。
回を重ねて、口蹄疫のイメージにもつながるとして「肉フェス」を同時開催したところ、一気に5,000人近い集客へ。

そして、障がい者の方々も参加できていたことが日本サッカー協会からも注目され、いまでは全国大会に。

結果的に、JFAも宣言している「だれもが、いつでも、どこでも」を体現

2.ふるさと納税

口蹄疫からの再起をかけて、町としてとりくんだふるさと納税。

もちろん、町長をはじめ、あらゆる関係者の方々の努力の成果ですが、「蹴-1」で育まれた垣根を超えたつながりが素地としてあったことで、よりスピーディーに、一体感を出していたんではないか、と新名さん。

都農町が、ふるさと納税で全国2位になるまでの寄付を集められたのも、生産者や販売者、役場が垣根を越えて、短期間で商品開発をできる素地があったからなのだなぁと納得。

3.過疎地の医師確保(総合診療医)

ふるさと納税で全国からいただいた寄付金を、町の未来のために活用するため、10年間で10億円という前代未聞の拠出を決議して設立されたのが、つの未来財団です。

1万人の町、過疎地の課題として、町長や役場の人たちが最優先で取り組んだ医師不足の解消。

先進的に総合診療医を育成していた宮崎大学医学部の吉村学教授と町長の出会いもあり、つの未来財団から寄付講座「地域包括ケア・総合診療医学講座」を開設

現在、都農町立病院には5名の総合診療医が常勤。院長先生も総合診療医です。

地域包括ケアを推進し、健康寿命を延ばし、在宅ケア、自宅での看取りを増やせるよう積極的な活動が進んでいます。

これも、ふるさと納税があったからできたこと

4.デジタル・フレンドリー

2020年4月、緊急事態宣言を受けて、都農町・つの未来財団・イツノマがいち早く動いたのがデジタル化。

高齢者や生産者がスマホやタブレットを使えるようになり、販路開拓や孤立防止を目的に、全世帯へタブレットを配布。

配るので終わりではなく、年4回の講習会を開催。同時に、いつでも高齢者が使い方を聞きに来てもらえるヘルプデスクカフェも開設。

中学生たちにデジタル・フレンドリー事業の話をしている、つの未来財団の山内さん

5.ヴェロスクロノス都農

「蹴-1」がきっかけとなり、宮崎市にあったサッカークラブ(当時J.FC宮崎)を都農町に誘致、Jリーグ入りを目指すサッカークラブ「ヴェロスクロノス都農」が誕生しました。

経緯はこちらの記事も参考に↓

単にサッカークラブを誘致するだけにはとどまりません。
サッカー選手は、「地域おこし協力隊」として都農町に来て、まちづくりに貢献してくれています。

高齢化率40%の都農町で一番少ないのが20代、30代。

20代が中心のサッカー選手。
サッカーでJリーグ入りを目指して練習しつつ、農業のお手伝いや空き家の保守、タブレット講習会など、若さをいかして、献身的に町の人たちの仕事を手伝っています。

家族を含めて50人近い移住

移住政策としても、個人的に面白いな、と思えるこのしくみで、当事者である新名さん自身も、この10年で、すっかり都農の雰囲気が変わってきたと感じてるそうです。

JFL昇格をめざすヴェロスクロノス都農、サポーターズクラブ会員も募集中です、応援よろしくお願いします!!

6.中学生へのメッセージ

中学生たちも熱心に聞き入ってました。
一人の行動からつながっていくのが、まちづくりの面白いところ
そんなことが、さわりだけでも伝われば十分かなと。

一人の町民として、自分の町を元気にしたいという思いでやってきた新名さんから、最後に中学生へメッセージを。

帰ってこれる場所にしたい

東京に行って、住み続けるのもひとつだけど、都農町が帰ってきても生活できる場所になるよう、ちょっとずつ近づきたい。
自分は大学で東京に行ってたけど、行ったその日から帰りたいと思ってた 笑。人と人が近いまちに生まれて、東京に行ったところ、人はいっぱいいるけど人と人が遠い感じがしてね。東京にも魅力はたくさんあるけど、自分はそう感じたので都農町に帰ってきた。

小さい町の時代が来た!

インターネットが浸透したことで、小さい町のほうが、プラス材料あると感じる。サッカーの試合に、実際に足を運んでもらうのには限界があるけど、ネットを活用してヴェロスクロノスを知らせていく可能性はまだまだある。

都農だからできなかった、と言わせたくない

スポーツはサッカーしかない、自分がやりたいスポーツが都農町だとできないから町外に行く、ということをなくしたい。そのためにも、マイナーなスポーツも含め、都農enjyoスポーツクラブをはじめ、官民学連携して、いろいろなスポーツを楽しめるまちにしていきたい

雑談が大事

雑談がいまの時代、減ってきてるようにかんじるけどめっちゃ大事。蹴-1も仲間との雑談から生まれた。人となにかを話しながら目指していく。失敗しようが、成功しようが大事かな。

好きなことをやる!

都農町は、好きなことをやってたらいろんな人が仲間になってくれます。これみんなしないし、自分だけするのは恥ずかしいと思いがちだけど、気にせず前にぐんぐん進めてくと、この町のいろんな人が助けてくれるし手伝ってくれます。それが大きな輪になっていくんで、興味あるものがあれば、ぜひ行動に移してほしい!

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