地方創生ベンチャー設立2周年の日に思うこと、まずは資金繰り
1万人のまち、宮崎県都農町で設立した株式会社イツノマ、2歳の誕生日。
2年前のことなんてまるで思い出せない、なにかと激早の日々。
単に登記しただけのなので想いはありませんが 笑、キリがいいので、1万人のまちで、地方創生・まちづくりベンチャーを経営していくのは、なにがむずかしいのか、自分の整理のために書いてみました。
最近、大学生や若い人たちで、地方創生やまちづくりに関心を持ってる人が増えてることを肌で感じるので、ぜひ読んでもらい、地方にこそ元気なベンチャーが増えていってほしいです。
1.しごとの種類
ぼくがやりたい地方創生・まちづくりは
ターゲットは地元の人
ジャンルは公共
時間軸は10年後・20年後
なので、おのずから、10代・20代を対象にしたしごとを一番していきたいと思ってます。
民間企業として上記の内容で生業をたてていくのは難しいことです。
特にぼくの場合、
31歳のときに手形不渡り2発
41歳のときは民事再生
経営のおそろしさを肌身で感じてるので、起業前からいまでも、経営の中心は資金繰り になってしまいます。笑
ぼくの場合は、地方創生・まちづくりの具体的なしごととして、4つの切り口で実践中。
2. 行政の委託事業
ぼくがやりたいまちづくりは、対象が公共分野で地元町民を主なターゲットにしているため、町や財団法人などの行政機関からの委託業務が一番理想的です。
この2年間、まちのグランドデザインや公共施設の企画、小中学校のまちづくり教育に携わらせてもらい、一番力を入れてきています。
ただし、行政の業務=税金・公的資金を使った業務になるため、当然、入札なり随意契約にしても公平性や機会均等が原則。
なかなか、ぼくらみたいな民間ドベンチャー1社が中長期的に関わり続けるのが難しいのが課題です。しごとの内容的には中長期視点でやらないとうまくいかないのでジリジリするところです。
都農町の場合、今月からふるさと納税の取引が2年停止になるなど、自治体をとりまく環境が変われば、業務にも影響が出てきます。
町長や町議員の選挙など政治的要素も当然ながら影響あり。
したがって、一番やりたい仕事なのですが、経営的にはなかなか計算が立ちにくいのが正直なところ。人の採用・定着もとっても難しいだけに。。
こればかりは、自分たちではコントロールできないので、いつきても全力で受けれるよう、他の事業で収益源をつくっておく戦略が必要だと思って、いつもあくせくしてます。
3.町内のWEB制作
2020年3月、都農町に移住してすぐに初めての緊急事態宣言!いきなり失業(苦笑)。
なんとか活路を見出そうとたどりついたのが町のデジタル化。
町全体へのデジタル・フレンドリー企画提案にあわせて、専任の20代社員も採用し、町の公式ホームページをはじめ宮崎大学、民間事業者のWEB制作を受注できる体制にして会社として2つめの事業の柱にしています。
ただし、町内でそれほど需要があるわけではなく、町外に売っていけるほどの体制でもないので、どのぐらいやっていけるかは悩ましいところです。
個人的には、WEBそのものより、つくるための素材集めや経営者の方々の想いや戦略を聞き出して言語化していくことに楽しみを見出してます。
4. 自主運営事業
昨年9月に開業した「まちづくりホステルALA」は100%自主運営事業。
これをやるには2つの意味があると思ってます。
1つは、会社の見え方として行政の委託ばかりになると、なんか税金の無駄遣い・依存的な感じになってやだなということ。
行政案件ばかりだと民間の商売感覚が薄れてくるのは事実なので社内的にも必要
2つは、行政の委託は前述の通り計算が立たないので、会社の安定収益源にするため
とはいえ、10万人、20万人の市町村ならまだしも、1万人の町で、自主事業は厳しいばかり。特にオンラインでないリアルとなるとなおさらです。
かつ当然ながら、100%自主運営だけに、開業準備や運転資金で銀行借入をしているので、運営業績悪いと即リスク。
まん防もあいまって、真っ白な予約台帳を見て落ち込み始めてるところですが、行政案件が滞りそうな先行きが予測されるので、できる範囲での自主事業強化をせっせと進めています。
具体的には、宿泊ゲスト限定にしているテントサウナを常設化、町民向けサービスもはじめるため、すぐできることとして告知用にイツノマ女子によるサウナ体験の宣材写真撮影会やりました。
もうひとつは、まだフライング情報ですが、ワーケーションにも最適な宿泊可能なトレーラーハウスの設置。
オーナーさんのご好意で移設は段取りできそうなんですが、農地のため法的な手続きが難易度高く。。
HOSTEL ALAにはない水廻り完備・ZOOMし放題の環境なので、がんばって企画中です。
5. 町外企業コンサルティング
一番悩ましいのは、東京を中心とする町外企業のプロジェクトです。
これまでの個人的な経験を活かせはするのですが、バランスを間違えると町内の仕事ができなくなる可能性もあり本当の出稼ぎになってしまうおそれあり。。
ベストは、地方創生やサーキュラーエコノミービジネスをはじめたい東京本社の企業や、都農町とコラボレーションしたい企業や自治体のコーディネート業務です。
昨年後半、都農町が65歳以上の高齢者と15歳以下の子育て世帯にタブレットを配布したことで関心を寄せてもらった大手企業が実証実験の場として、あるいは高齢者向けAIプロダクトの提供などで都農町に来ていただきました。
このような形で、町のグランドデザインやデジタル推進、ゼロカーボンタウン宣言、小・中学生のキャリア教育などのジャンルで接点を持てそうなところが、これからの営業先かなと思っています。
6.最後はやはり資金繰り
ということで、地方創生ベンチャーとして、経営していくために、日々資金繰りをしながら、どこに力を注いでいくか試行錯誤が続いています。
経営リスクを減らすためには個人会社でやればいいのですが、1人でできることはアドバイザーどまり。ぼく的には面白くありません。
やはり、仲間がいないと町を変えたり盛り上げたりすることはできません。
採用や定着が難しい環境では、いかに業務委託や複業社員とコラボしつつも、地元の20代を発掘・支援していけるかだと思ってます。
よく言われる風の人と土の人をミックスしていかないと、新しい風土はつくれないのかなと実感中。
地方創生やまちづくりという言葉はなにか綺麗事だったり理想論、評論ぽく聞こえるのですが、実際に民間企業で関わっていこうと思うと、一般のベンチャーとかわらず、日々の資金繰りが基本です。
こんな内容に共感したり関心を持ってくれる大学生や20代社会人がいたら、ぜひとも都農町へ!一緒に1万人の町で生き残れる会社づくりをしましょう。