ICCのセッション「地方創生を実現する新しい街づくりとは?」で考えた3つのこと
「ともに学び、ともに産業を創る。」
起業家を中心に1,200名以上が集まるICC(Industry Co-Creation)サミットに登壇・参加してきました。
ぼくは前回、初参加。
ソーシャルグッド・カタパルト(社会課題解決への挑戦)に登壇、「都農町のこども参画まちづくり」についてプレゼンしました。
ICCサミットは挑む人を応援し、「全員対等、全員真剣」を目指して、4日間、参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。
今回はプレゼンのプレッシャーから解放されて学びに集中できるかと思ってたら3つのお役目を頂き再び緊張。
でもやっぱり、緊張しないと成長しませんね。ありがたいことです。
3日間、朝から晩まで組まれたワークショップやセミナーで参加者の方々と語り尽くし大満足で宮崎に帰ってきました。
特に印象に残ったのは、リビセン東野さん、ヘラルボニー松田さん、一平ホールディングス村岡さんとのセッションでした。
モデレーターの三星グループ岩田さん、電通の各務さんから頂いたアジェンダが、自分と会社の現在地を整理するのにとても有意義だったので、忘れないうちに書き留めておきます。
頂いた3つの問い
1. あなたの街づくりのアイデアは?
▶️こども参画まちづくり
まちづくりって範囲が広く、自分なりに「なんのためにやってるのか?」「自分である必然は?」をはっきりさせないと、フワっと終わりがち。
移住してから4年半経ちますが、当初は新型コロナの緊急事態宣言と前後していたため、リアル、対面のまちづくりは封印。
専門外ながら、全世帯にタブレット配布をはじめとするデジタル・フレンドリー政策を提言、実施していました。
新型コロナが落ち着いてからは、本来やりたかった、町民を巻き込んだまちのグランドデザイン作成、廃校活用基本計画などに従事。
ただし、デジタル推進も、グランドデザインも、廃校活用も、まちづくりっぽいけど、自分たちならではの特徴は?と問われると、それほど明確には言語化できていませんでした。
逆にこれは自分たちにしかできない!やりたい!のが、唯一4年半継続できている仕事、町内唯一の中学校で各学年15-24時間の総合学習プログラム「つの未来学」です。
「つの未来学」をきっかけに、町としてゼロカーボンタウン宣言を表明、具体的な政策づくりのため小学生の選抜チームを結成、毎年議会提言をして、100万円の予算も獲得。
昨年からは、中学生の地域クラブ「まちづくり部」を創部、ぼくらのオフィスの夕方は毎日、中学生6名でにぎわいます。
そんな小中学生たちと商店街の真ん中で「みちくさ市」を実施したり、東京や京都から誘致した高校生のスタディツアーで一緒にワークショップをしたり、ぼくらのまちづくりには、必ず小中学生がいます。
過疎地域に移住して、ぼくが一番やりたかったのは、まちづくりと教育を掛け合わせることで、いまもさらに加速させようと日々奮闘しています。
2. 怪我して学んだ失敗する街づくり?
▶️町長交代に影響されないしくみづくり
3つの問いを見て、即答したのがこの問い、「失敗」です!
最近すっかり自虐ネタにもしてますが、昨年の都農町長選挙で、町長が交代したことで、ぼくらのまちづくり関連の仕事はすべてなくなり売上の8割を失う経営危機。
なにが失敗だったかというと、町長が交代しても影響されないしくみをつくれなかったこと。
たとえば、4年かけて取り組んでいた廃校活用。基本構想・計画業務を受託して事業推進のためのデザインセンター設立まではいき、その次のステップとして政治や人事異動に影響受けないよう、民間主導のPFIスキームをつくりだすところまでいってたんです。
ただし、事業主体のSPCを組成するため、出資企業を募るところで町長選、そしてTHE END!
たらればは無意味ですが、もし半年早くPFIに着手できていたら、状況は変わっていたかもしれません。
ぼくがやりたいまちづくりは、教育や地域包括ケアとの交差点にあります。首長や自治体と一緒に取り組む必要があるんです。なので、町長交代や人事異動をあらかじめ織り込んだ上で、企画提案や事業推進をしていかないと、持続的な開発・運営にたどりつけないなぁ、ということが身に沁みてわかりました(現在進行形)
3. これが街づくりの真髄だ!
▶️Uターン起業家が増える!
まちづくりの真髄、言い換えれば、こんなことが起きたら最高だ!とぼくが思えるのは、Uターン起業家が増えることです。
都農町で28歳の学年は110人いますが、今現在、都農町に住んで働いているのは5人しかいません。
今年卒業した小学6年生89人は、10年後、20年後、いったい何人が都農町に住んで働いているのか。まちの未来に直結する課題です。
なので、ぼくができること、やりたいこととしては、一人でも多く、Uターンしたくなるきっかけをつくること。
そのためにやるべきことは、Uターンの阻害要因となる「仕事がない」「まちがつまらない」を自ら解決できるよう、起業できる力や、まちづくりに主体的に参画する体験を定期しようと日々奮闘してます。
4.まちづくりベンチャーの持続可能性
セッションは、以上のアジェンダも踏まえ、四者四様のまちづくりを語り合うことができ、とても学びや刺激をいただきました。
夜は、教育関係の起業家が語り尽くすCo-Creation Night。
教育をどうビジネスにするか?どうコラボできるか?
ぼくには到底できない資金調達や雇用をしている起業家たちの実例を聞きながら、結果的に、ぼくらの会社がやるべきこと、できることも鮮明に。
最終日、ソーシャルグッド・カタパルトの登壇者と審査員が一同に介してテーマごとにディスカッションする「ラウンドテーブル」
ぼくは、マザーハウス山崎さんが挙げたテーマ「大企業の動かし方」に参加
最近、東京の大企業や、県内の信用金庫とつながりができていたため、リアルにヒントがほしく最大集中の時間。
自分たちが過疎地で日々やってることが、目線を変えればコラボする価値にもつながるのでは、とおぼろげながら実感していたので、めちゃくちゃ参考になったし、すぐにアクションを起こせそうなネタ祭りでした。
ICCサミットの参加者で、相対的に地方創生や教育に関わる人はそれほど多くはありません。そのことはぼくにとっては大きなチャンス。
他の業界・業種に比べると、同業の起業家と距離は近づけられるし、ICCの良さでもある全員対等な感じで、協力できるところもありがたい限りです。
とかく、過疎地でまちづくりをやってると、情報不足・仲間不足に陥り井の中の蛙にならざるを得ず、実は移住者が新保守派になったり、既得権益にしがみつくこともあるなぁと感じてます。
定期的に、自分よりはるかに能力が高くて成果をあげている人や、想像を絶するハードシングに向き合ってる人と膝突き合わせて話せるのは貴重すぎて感謝しかありません。
ICCサミット運営スタッフのみなさん、代表の小林雅さんには改めて敬意を表して、心より感謝申し上げます!ありがとうございました!!