フルーツが強みのまちに問われる、スイーツやギフトの企画力
緊急事態宣言が明け、ありがたいことに都農町にいる僕らのところにも、訪れる人が再開し始めています。
9/13に開業したまちづくりホステルALAにも、毎日、複数のゲストが来てくれるようになってきました。
都農町に来たお客様を必ずご案内するのが「道の駅つの」。
都農町産のフルーツが人気で、九州・山口の道の駅「お土産ランキング」(じゃらん, 2019)でTOPになったこともあります。
生のフルーツが人気の一方で、スイーツやギフトはなかなかこれといっておすすめできる商品がないのが実情です。
「くだもののまち」として、特産品のフルーツをどう売るか?、「道の駅」に限らず、都農町にとっても重要な問題ではないでしょうか。
都農町に限らず、素材に恵まれているところは、恵まれないところに比べて加工する企画にあまり力が入れられてないケースも散見します。
言い換えれば、力を入れれば、もとの素材が良いので、もっともっと販路拡大につながるのでは!ということを期待して。
1.フルーツの消費動向
フルーツの消費は、全体的に減少の傾向にあります。
年齢別のデータを見ると、他の年代に比べて摂取量の多かった50代以上でも近年大きく減少しています。
核家族化が進み、家族みんなでフルーツを食べるというシーンが減った、ということもフルーツを食べなくなった理由の一つとして考えられます。
このままいくと、今後、フルーツの消費量はますます減っていってしまうおそれもありますね。
国内のフルーツの消費について、毎年調査を行っている公益財団法人中央果実協会の「果実の消費に関するアンケート調査報告書」を見ると、性別・年代ごとの消費の特徴、消費を増やすためのヒントが伺えます。
「果物を毎日は摂らない理由」は、
「他の食品に比べて値段が高いから」
「日持ちがせず買い置きができないから」
「食べるまでに皮をむくなど手間がかかるから」
の回答が多い結果に。
一方で、「果物の摂取理由」は、男女差が顕著に現れており、女性では「美容に良いから」の回答が多く、特に20代女性で割合が多いです。
「果物の摂取を増加できると思う方法」では、
「果汁(100%ジュース)」
「カットフルーツ」
「果物と野菜を組み合わせた手作りのミックスジュース/スムージー」
「果物を使ったスイーツ」
フルーツそのものとしてではなく、少し手を加えた加工品の生産を増やすことが消費拡大につながると言えそうです。
2.「道の駅」の品揃え
多くの「道の駅」が、地元の特産品の販売拠点として機能しています。
ぶどう・なし・柑橘類など、フルーツの生産が盛んな都農町の「道の駅つの」は、新鮮なフルーツを購入できることが好評。
九州・山口の道の駅「お土産ランキング」(じゃらん, 2019)ではトップになったことも。
道の駅「お土産ランキング2019」買ってよかった満足度の高い一品は?【九州・山口】
僕らがお手伝いさせていただいている「道の駅つの」のリニューアル基本計画策定にあたり、店頭で働く女性スタッフの皆さんにヒアリングを行った際に、「フルーツを使ったスイーツやデザート、ギフトが欲しいという声は多い」と伺いました。
僕らが聞くまでもなく、以前からスイーツやデザート、ギフトのニーズはあったと思います。
理由を推測すると大きくは2つで、1つは、フルーツそのものが旬ごとにすぐ在庫がなくなるほど売れていくこと。(加工する必要性が希薄)
2つめは、内部にスイーツやギフトの商品企画をする人材がいないため、どうしても委託会社からの持ち込み品の仕入れに終始してしまうこと
「道の駅つの」の場合は、圧倒的に町外客、かつ50代、60代の中高年層が多いため、今後は地元の子育てファミリーや町外の20代、30代の若者層にも支持されるスイーツやギフトの品揃えを充実させていく必要は高まりつつあるのではないでしょうか。
3.フルーツ6次化の成功例
地元のフルーツを使ったスイーツで注目を集める「道の駅」も登場しています。
高知県香南市の「道の駅やす」では、出店するカフェで地元産フルーツや野菜をふんだんに使ったアイスバーを製造。店頭だけでなく、ふるさと納税、大手百貨店のオンラインショップでも扱われています。
イートインでランチも提供する「道の駅」の実店舗は、女性も利用しやすいおしゃれな設え。
九州・山口の道の駅ランキングで、6年連続首位の「道の駅うきは」(福岡県うきは市)は、桃やいちごをはじめとした特産フルーツが人気。
福岡空港からも近い立地で、フルーツを気軽に楽しめるスイーツも充実しています。
同じく九州の「道の駅吉野ヶ里」(佐賀県神埼郡吉野ヶ里町)は2018年にフルーツカフェを新設。
地元産だけでなく、その時の旬のフルーツを楽しめるように、フルーツアドバイザーが全国からフルーツを取り寄せるこだわりぶり。
「道の駅」での販売はもちろん、ふるさと納税をはじめ、オンラインで販売できるフルーツのスイーツ。
フルーツの町の強みはまだまだ生かせそうです。